80年代リバイバルが止まらない意外なワケ 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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80年代リバイバルが止まらない意外なワケ

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本誌・作田裕史週刊朝日#ドラマ
2013年紅白歌合戦の舞台に勢揃いした「あまちゃん」のメンバー (c)朝日新聞社 

2013年紅白歌合戦の舞台に勢揃いした「あまちゃん」のメンバー (c)朝日新聞社 

 昨年、日本中を熱狂させた「あまちゃん」ブームは、ドラマに登場した1980年代の歌や踊りの再評価にもつながった。それは一過性で終わるかと思われたが、放送終了後、1年弱が経過した今でも、「80年代リバイバル」は続いている。その意外な理由とは──。

 一連の現象について、歌謡史や消費社会に詳しいライター・編集者の速水健朗氏はこう分析する。

「『あまちゃん』以降の流れは、80年代リバイバルというよりも、団塊ジュニア世代への再マーケティングの結果と捉えたほうがいいと思います。エンターテインメント業界には、新しいものを作るよりも古いものを再び売ろうという流れがある。以前は団塊世代に向けて、ビートルズのリマスター版やフォークのCDボックスを売っていましたが、これは、いわば『60年代評価』でした。そのターゲットが、最後の消費世代と見られるアラフォーの団塊ジュニアに移行して『80年代評価』となったのでしょう。また、コンテンツの主な作り手が、80年代に影響を受けた世代になったことも大きいと思います。たとえば、宮藤官九郎さんは44歳で、青春時代に吸収したのは80年代の音楽でしょう。だからこそ、作品には80年代の空気が出るし、その世代は人口も多いので、共感も得やすいのです」

 同じく、「団塊」というキーワードで読み解くのは、85年から87年に雑誌「よい子の歌謡曲」の発行人を務めた宝泉薫氏だ。

「ビートルズを信奉して、グループサウンズとフォークに熱狂し、学生運動で挫折した団塊世代は、自分たちが培った文化こそが“本物”だと信じて疑わず、あらゆる局面で影響力を持ち続けました。翻ってそれは、80年代に登場した松田聖子やおニャン子クラブなどは享楽的で軽薄だと否定されてきた歴史でもあります。80年代に熱くなった世代はずっとくすぶっていたわけです。そうした中、団塊世代が業界の第一線から徐々に退くようになり、現場が80年代を懐かしむことができる空気が醸成されつつあった中で、『あまちゃん』が大ヒットした。抑圧されてきただけに、弾け方も大きかったのだと思います」

 70年代ではなく、80年代が再評価されていることにも意味があるという。

「70年代の山口百恵やキャンディーズは、どこか戦後を引きずったような『重さ』がありましたが、80年代アイドルはそこから解放されたピュアな明るさ、軽さを持っていた。今の時代がそうしたポップな楽しさを希求しているということかもしれません」(宝泉氏)

 80年代という、熱を持ちながらもどこかフワフワしていた独特の空気は、今でも、つかみどころのない魅力で人々を魅了している。

(本誌・作田裕史)

週刊朝日  2014年9月5日号より抜粋


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