当の本人よりも家族が先に気付くことが多いネット依存。「パートナーやわが子がそうかも……」と思ったらどうすればいいか。メール相談や予防に取り組む民間団体「エンジェルズアイズ」の遠藤美季(えんどうみき)代表に聞いた。

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 当団体ではメール相談を受けていますが、本人からの相談とご家族からの相談が半々ぐらいです。

 問題なのは、ご家族からの問い合わせのほとんどが本人にネット依存であるという自覚がなかったり、あるいは、自覚はあってもそれを認めていなかったりするという点です。

 ネット依存が重い場合、本人に問題意識が芽生えて「何とかしなければ」という気持ちにならない限り、ネット依存から脱却することはむずかしい。無理にやめさせようとして、本人の反発を買ってこじれるケースが多いのです。家族が心配してスマホや携帯を取り上げたところ、本人がキレて暴言・暴力行為に及んだという相談もありました。

 そういう場合、私たちは相談者にまず、「医療機関、学校ならスクールカウンセラー、精神保健福祉センターなどに相談し、第三者に間に立ってもらうように」と伝えています。専門家が近くにいなければ、職場の人でも、信頼の置ける友人でもいいと思います。学校に行っているお子さんなら、養護教諭でもいいでしょう。

 長時間にわたってインターネットをやっていると、目が疲れたり、頭が痛くなったりすることもあります。体調が悪そうに見えたら、眼科や内科などの受診を勧めてもいいかもしれません。正攻法ではありませんが、受診をきっかけにネット依存に気付いてくれるケースもあります。

 環境が変わって体を動かす機会が増えたら、夜は眠くなってスマホを見ないようになったとか、結婚や彼女ができたことをきっかけにネット依存から立ち直った男性もいます。焦らず、ゆっくり時間をかけて対応することが大事です。

 その間にご家族にやっていただきたいのは、ご自身のケアです。ネット依存の問題では、家族のほうが疲れてしまって、家庭崩壊や離婚につながるケースを何例か経験しています。そうならないよう、友人や周囲の人間などに愚痴を聞いてもらうなど、ときどきはガス抜きをして、ストレス解消を図ってください。

週刊朝日  2014年4月25日号より抜粋