地方から首都圏や関西圏の大学に進学し、子どもが一人暮らしを始めると、家計の負担がはね上がる。複数の子どもの下宿時期が重なればなおさらだ。そんな地方の保護者にぜひご紹介したいのが、地方の優秀な学生を集めようと、大学側が進める取り組みだ。地方出身者にやさしい大学の取り組みを紹介する。

 学生寮などの寮事業を展開する共立メンテナンスが、今春、大学進学で一人暮らしを始める予定の子どもがいる親400人を対象に実施した調査によると、94%の親がなんらかの心配事を持っていた。最も多かったのは「きちんと食事をとれるか」(68.8%)、2位は「健康管理ができるか」(63.8%)、3位は「犯罪に巻き込まれないか」(59.5%)だった。駿台予備学校情報センターセンター長の石原賢一氏がこう話す。

「ストーカー事件などが報道されると保護者は不安になるため、安いうえにセキュリティーがしっかりしている学生寮は今後ますます増えていくでしょう」

 早稲田大は今月、通学に便利な中野駅から徒歩約9分の場所に「国際生寮WISH」をオープンする。日本人と留学生合わせて872人が入居でき、寮費は光熱費込みで5万3千円。住み込みの寮長・寮母が生活をサポートし、24時間警備員常駐などセキュリティーは万全だ。

 自治医科大、福岡女子大(1年次)のように全寮制の大学や、新潟大のように予約型奨学金の奨学生の寮費を無料にする大学もある。そして、学生寮の多くでは、親の心配事の1位だった「食事」の面倒をみてくれるメリットもある。

「食事」については、大学で安くて栄養バランスのよい朝食を提供しようという動きが広がっている。朝食を100円で提供しているのが京都産業大。

「京都市北保健センターが2011年に実施した調査で、朝食をほとんど食べない人と週2~3日しか食べない人を合わせると32%という残念な結果が出たため、朝食をしっかり食べてもらおうと始めました。200円の食事を100円で提供する差額分は学生健康保険互助会が負担しています」(学生部の堀田幸平氏)

 立命館大も昨年12月から京都と滋賀の両キャンパスで100円朝食を導入した。

「本学は約6割の学生が近畿以外の出身者です。『100円朝食ができたから、ちゃんと朝ご飯食べなさいよ』と、親子の会話にもなっているようです。学生からは『朝ご飯を食べると勉強に集中できるようになった』という声も出ています」(広報課)

週刊朝日  2014年3月14日号