いつの時代にも存在する嫁姑問題。普通の家庭でも大きな問題だが、相撲部屋のおかみとなるとさらに大変になりそうだ。1970年に初代貴ノ花と結婚し、のちの横綱若乃花、貴乃花の2人の息子を育てながら、藤島部屋のおかみとして相撲人気を支えた、藤田紀子さんに話を聞いた。

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 私が23歳のときに結婚した先代貴ノ花は、姑が40代で産んだ、10人きょうだいの末っ子。私には祖母のような存在で、「のりちゃん」と可愛がってもらいました。親戚が多くて大変でしたが、無難にお付き合いしていました。

 それでも、嫌だな、と思うことがまったくなかったわけではありません。義兄のお嫁さんは、私のことを姑にいろいろと報告していたようでした。私の2人の息子が明大相撲部にいたとき、姑が「のりちゃんはしょっちゅう大学の相撲部に顔を出して、でしゃばっていると聞いたよ」と言うのです。

 当時、大会のたびに父母会が部員に食事を振る舞う慣習があったので、息子が2人もお世話になっている私が欠席しては父母の皆さんに顔向けできません。なんとか時間をつくって参加していたのにでしゃばっているだなんて。本当に心外でしたが、「それはね、行かなきゃいけないんですよ」とだけ、笑顔で答えました。

 何があっても反論せず、誰にも言わず、自分の胸に納めて忘れるように努めていました。夫に愚痴を言えばもめごとが大きくなるだけ。夫も苦しむし、誰の得にもならない。私たち世代は多かれ少なかれ、そんなふうに耐えてきましたよね。

週刊朝日 2014年1月31日号