室井佑月「とりあえず、責任の所在をはっきりさせようや」 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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室井佑月「とりあえず、責任の所在をはっきりさせようや」

連載「しがみつく女」

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 福島第一原発事故の収束がいまだ見えないまま、東日本大震災からもうすぐ3年がたとうとしている。作家の室井佑月氏はあらためて問題を提起する。

*  *  *
 ねえ、そろそろきちんとしないとヤバいんじゃん? 福島第一原発よ。

 2020年には東京でオリンピックをすることに決まり、海外の視線も集めている。これ以上、すっとぼけつづけると、大変なことになるんじゃないの。

 これまで日本のことを心配してくれた外国人がとたんに日本の悪口をいい出したり、日本は信用ならないと東京オリンピックをボイコットする選手が続出したり……。

 年末にタービン建屋の観測井戸で、放射性ストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質が1リットルあたり210万ベクレル検出された。まさかの最高値。この観測井戸では値の上昇傾向がつづいておる。

 1月10日付の日刊ゲンタイには、「海外ネットメディア『Turner Radio Network』が先月28日、福島第1原発3号機から『放射性蒸気が発生している』『メルトダウンの始まりかも知れない』と報道。海外で大騒ぎとなった」と書かれていた。

 いずれも東京電力いわく、ハッキリした原因はわからず。原因は、福島第一原発が、収束宣言できる状態じゃなくて、コントロール下にも置かれていないからじゃん?

 今年になってからも、福島県いわき市の沿岸で取れたクロダイから、1キロあたり1万2400ベクレルの放射性セシウムが出たしな(13日付・日刊ゲンダイ)。

 権力者の都合で福島第一原発を語るのは無理があるんじゃ……。むしろ、福島第一原発の都合で、権力者は福島第一原発を語るべきだろ。

 そこがアベコベになっているから、事故の収束が見えてこない。

 1月9日付の読売新聞に、「汚染水タンクからX線対策怠り基準の8倍」と書かれていた。それが、「作業員の被曝量を増やす要因になっている可能性がある」とあった。

「タンク内の汚染水から出る放射線は主にベータ線で、物を通り抜ける力が弱い。しかし、ベータ線がタンクの鉄に当たると、通り抜ける力の強いエックス線が発生し、遠方まで達する」らしいのだ。

 紙面で首都大学東京の大谷浩樹准教授がこう語っている。

「タンクの内側にプラスチック製の壁を作るなどの対策でエックス線を減らし、作業員の被曝量も下げられる」と。

 なぜそれを最初にやらない? 経費とか発表する時期とか、そんなことを気にしている場合じゃないだろ。

 メディアは「ALPS」があるから大丈夫とそればかり。故障ばっかのあの機械に、ずっと手を合わせ祈ってろってか。

 東日本大震災から3年。とりあえず、責任の所在をはっきりさせようや。それをやらないから、権力者の都合に沿った嘘の報道ばかりになる。新たな問題が起きてしまう。

 原発事故後、原発の報道以外はほとんどがどうでもいい穴埋め記事のように、あたしには見える。

週刊朝日 2014年1月31日号


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室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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