イメージ写真 (c)朝日新聞社 @@写禁
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 人間が睡眠時に見る「夢」。これを自分の思うように操ることができたら……というのは、誰しも考えたことがあるのではないだろうか。専門家に話を聞き、夢を操る“とっておき”を探った。

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 専門家によると、「明晰夢(めいせきむ)」という夢の中では、自分が思うとおりに振る舞うことが可能だというのだ。富山大学の斎藤清二教授(臨床心理学)は、次のように説明する。

「明晰夢とは、夢の中で『これは夢だ。今、自分は夢を見ているんだ』と自覚できる夢のことです。また、夢の中での体験が現実と遜色ないほどクリアで、視覚や聴覚だけでなく、味覚や嗅覚、触覚などの五感があり、判断能力も存在します。明晰夢は見たい夢を見られるものではありませんが、夢の中で自覚的に振る舞えるので、夢の世界を冒険することが可能で、映画の主人公になったような体験ができます」

 ならばぜひとも、明晰夢を見てみたい。神戸松蔭女子学院大学の川中紀子教授(トランスパーソナル学)は、自身の実体験を踏まえてこう話す。

「まずは何より、夢に対して関心を持つことが大切です。夢を見たら、起きた後に夢の内容をできるだけ詳細に思い出し、『夢日記』をつけましょう。米国の神経生理学者であるスティーブン・ラバージは、明晰夢を見るための方法を紹介しています」

 そのなかで最もシンプルなのが、「1、私は夢を見ている」「2、私は夢を見ている」……と、数えながら、眠りにつく方法だという。

「慣れると、意識を保ったまま、夢の世界に入れるようになります。私も幼いころから明晰夢を見ていますが、至福感に包まれる魅力的な体験です」(川中教授)

週刊朝日 2014年1月3・10日号