活断層の上に立つと断定された敦賀原発2号機。なぜここまで時間がかかったのか (c)朝日新聞社 @@写禁
活断層の上に立つと断定された敦賀原発2号機。なぜここまで時間がかかったのか (c)朝日新聞社 @@写禁

 福井県にある敦賀原発2号機(日本原子力発電)の「廃炉」が不可避となった。原子力規制委員会の有識者会合が5月15日、原子炉建屋直下の断層を「活断層」と断定する報告書をまとめたからだ。委員会は、ほかに五つの原発でも調査を進めており、今後も「激震」が続くとみられている。

 安全性の低い原発は、即刻淘汰(とうた)されなければならないが、次に廃炉にすべき原発はどこか。作家の広瀬隆氏が緊急提言した。

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 大前提として、原子力規制委員会が「活断層と認めるか否か」を再稼働の基準にしているのは、完全に的外れです。過去に起きた大地震のほぼ半分は、表出している活断層ではなく、「未知の断層」が動いている。これは地震学の常識です。活断層があれば論外ですが、活断層がなければ地震が起こらないなんて、地震学のどこにも書かれていない。

 それを前提としても、敦賀原発の次に廃炉にすべきなのは、愛媛県の伊方(いかた)原発(四国電力)です。ここは、南海トラフ地震による甚大な津波被害が想定されるうえに、日本列島を形成する過程で生まれた最大の活断層「中央構造線」のほぼ真上にある原発なのです。南海トラフと連動して中央構造線も周期的に動いており、いまは「ひずみ」がたまった危機なのです。この活断層が動いたら直下なので、ひとたまりもありません。

 瀬戸内海に津波が入ってきたら、津波からの逃げ場もない。江戸時代に起こった宝永地震では瀬戸内海に津波が押し寄せ、死者は2万人に及びました。現在の人口なら、被害者は10万人以上でしょう。伊方原発は、次の再稼働候補のトップになっていますが、ただちに廃炉にすべきです。

 もちろん、これ以外の原発も同様に廃炉にすべきです。日本列島にある断層はすべて活断層であり、原発を立地して安全な場所など、どこにもないのです。

週刊朝日 2013年5月31日号