今冬は寒く、冷え対策をしている人も多いのではないか。冷えが体によくないのは、女性だけではない。男性にとっても「万病のもと」で、EDといった意外な症状を引き起こしているという。さらに、日本薬科大学学長で、百済診療所院長の丁宗鐵(てい・むねてつ)さんは“冷え”への間違った対処法が認知症を招くと指摘する。

「加齢とともに代謝が悪くなり、体温はだんだん下がりますが、脳が冷えると神経活動が衰えてしまう。冷えたままではボケにもつながります。脳も酵素の働きが支配をしているので、1度温めれば1.7倍は活性化するんですよ。とくに今の時期、帽子やえり巻きで積極的に脳を守るべきです」

「頭寒足熱」という言葉があるが、大きな間違いだと丁さんは言う。

「『頭温足熱』でないと意欲も減退するし生命力が落ちる。のぼせるほどの熱さは逆効果ですが、高齢者は寝るときにもナイトキャップやえり巻きを着用するのがお勧め。頭を温めることは、EDにも効きますよ」

 広まった通説や誤解が、かえって体を冷えさせることもあるようだ。例えばお風呂。湯船にゆっくりつかるのはもちろんいいが、洗い方を間違えると逆効果。「70歳を過ぎたら、体を垢すりなどでゴシゴシこすってはだめ。皮脂腺の分泌が悪いので、こすると余計に冷えやすくなるのです」。

 丁さんによれば、高齢になれば冬場は手ぬぐいで体をぬぐい、石鹸で「週一度程度」洗えば十分という。湯の温度は38〜40度くらいがいいが、何が何でも湯船につからなくてもOK。「シャワーだけのときは、前もって寝床を温めておけばいいんです」。

週刊朝日 2013年2月8日号