オウム真理教による地下鉄サリン事件の特別手配犯、菊地直子容疑者(40)が逮捕され、最後の1人、高橋克也容疑者(54)にも捜査の手が伸びている。高橋容疑者は実家のある横浜市からさほど離れていない川崎市内で潜伏生活を送っていた。

 一連のオウム事件には、いまだ残された謎が多い。しかし、今回の逮捕がこれらの解明につながるという見方は少ない。

 ジャーナリストとしてオウム事件を取材してきた参議院議員の有田芳生氏が言う。

「高橋も菊地も教団内での地位は低く、重要な秘密を知っているとは思えない。残念ながら、新事実が出てくることには期待しないほうがいい」

 高橋容疑者の父はオウム事件以前に他界し、横浜市内の実家に住んでいた母も昨年、亡くなったという。

「近所では『オウムのおばさん』と呼ばれて有名だった。気難しい人でしたが、オウムの話題になると気まずそうにその場を離れてましたね。ずっと在宅介護を受けていて、たまにお孫さんが来ていたけど、最後は老人ホームで、ひとりぼっちで亡くなったみたい」(近所の主婦)

 彼らの"戦い"が成し得たことは、ただ不幸をまき散らすことだけだった。

※週刊朝日 2012年6月22日号