レバ刺しをこよなく愛する人類を「レバサシアン」と呼ぼう。このレバサシアンが集う「レバ刺し帝国」がいま、滅亡の危機に瀕している。厚生労働省が7月1日から、生食用の牛レバー販売を禁止するためだ。禁止まであと1カ月。早くもレバ刺しが消えつつあり、レバサシアンは街中を流浪している。

「レバ刺しはなくても生きていけると思われて狙われたのだろう。レバ刺しが食べられるなら、消費税が20%になってもいい」

 こう語るのは、「レバ刺し友の会」の高田マサヲ会長(47)。レバ刺し帝国の大豪族である。13年前に作った組織は会員約50人。会則、会員証を作り、専用ホームページで情報発信をしている。

 高田会長日く、「日本人の2人に1人はレバ刺し好き、3人に1人は大好物」。その言を信じれば、レバサシアンは4千万人に達する。

 高田会長は、「合法的に食べられる海外にレバ刺しツアーに行きたい。レバ刺しがグローバル化するかもしれない。国内に、衛生管理の行き届いた"レバ刺し特区"を作れば経済も潤っていいのでは」。

 業界団体によると、レバ刺し禁止による経済的損失は400億円という。

※週刊朝日 2012年6月15日号