10日(金)、気象庁はエルニーニョ監視速報を発表。エルニーニョ監視海域の海面水温が基準値より低いなど、ラニーニャ現象時の特徴が持続しています。この特徴が冬の終わりまで持続せずにラニーニャ現象の発生に至らない可能性もありますが、発生に至る可能性の方がより高くなっています。

10月の実況

10 月のエルニーニョ監視海域の海面水温は基準値より低い値で基準値との差は−0.6◦Cでした。太平洋赤道域の海面水温は中部から東部にかけて平年より低くなりました。海洋表層の水温は中部から東部にかけて平年より低くなりました。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年より不活発で、中部の大気下層の東風(貿易風)は平年より強くなりました。このように海洋と大気の状態にはラニーニャ現象時の特徴が持続しています。

今後の見通し

太平洋赤道域の中部から東部にかけて見られる海洋表層の冷水は今後東進して、東部の海面水温が平年より低い傾向をしばらくの間は維持すると考えられます。エルニーニョ予測モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が今後冬にかけて基準値より低い値で推移すると予測しています。冬の終わりから春にかけて予測値が次第に基準値に近づくとともに予測の不確実性が大きくなります。以上のことから、ラニーニャ現象時の特徴が冬の終わりまで持続せずにラニーニャ現象の発生に至らない可能性(40% )もありますが、発生に至る可能性の方がより高くなっています(60 %)。

※ラニーニャ現象とは、太平洋赤道域の中部(日付変更線付近)から南米のペルー沖にかけての広い海域で、海面水温が平年に比べて低くなり、その状態が1年程度続く現象です。ラニーニャ現象が発生すると、日本を含め世界中で異常な天候が起こると考えられています。