春と秋は暑すぎず寒すぎず、過ごしやすい季節という点で共通しています。ただ、ショップなどでは季節ごとに「春服」「秋服」として衣類を販売しており、両者を一緒くたにしている様子は見られません。では、春服と秋服にはどのような違いがあるのでしょうか。

今回は、春服と秋服の違いや、春服と秋服の兼用についてくわしく解説します。

そもそも春と秋の違いは?

春服と秋服の違いを解説する前に、まずは春と秋の違いをチェックしてみましょう。

春と秋は高気圧と低気圧が日本列島を交互に通過しやすい時期のため、天気が変わりやすいという点で共通しています。

また、気温についても夏や冬に比べると大きな違いは見られず、たとえば東京の春(3~5月)と、秋(9~11月)の平均気温は、前者が14.1℃、後者が17.9℃です。[注1]

ただ、春は夏に向けて気温がだんだん上昇していくのに対し、秋は冬に向けて徐々に気温が下降していきます。

寒い冬を終えた後の春は「暖かい」と感じる一方、暑い夏が終わった後の秋は「涼しい」と感じやすいなど、体感の差も春と秋の違いといえます。

[注1]気象庁:過去の気象データ検索 東京 平年値(3か月ごとの値)

春服と秋服の違い

春と秋の違いを踏まえつつ、春服と秋服の違いを3つのポイントに分けて説明します。

■1. 色の違い

陽射しが柔らかくなってくる春は、草木や花が芽吹いてくる季節です。そのため、春服はパステルカラーやシャーベットカラーといった淡くてやさしい色味を取り入れているものが多く見受けられます。

たとえば、桜を思わせるベビーピンクや、草木の緑を思わせる若草色、菜の花をイメージさせるレモンイエローなどです。これらの色はまとめて「春色」と呼ばれており、トップスやボトムス、アウター、ファッション小物のいずれかに取り入れると、ぐっと春らしいコーディネートになります。

一方の秋は、夏が終わり、寒さの厳しい冬に向かっていく季節ですので、活発なビビットカラーやマリンテイストの色が似合う夏に比べると、やや落ち着いたカラーが好まれます。実際、「秋色」と呼ばれるカラーには、紅葉を連想させる赤色やくすみがかった黄色、栗やさつまいもをイメージさせる茶色などが含まれており、大人っぽいシックな印象を与えます。

■2. 素材の違い

春は夏に向けてどんどん気温が上昇していく時期なので、服の素材も軽くて通気性の良いものが採用されます。たとえば綿やリネン、シフォンなどの素材は内部が蒸れにくく、見た目も軽やかで春のイメージにぴったりです。

一方の秋は、季節の深まりと共に気温が下がっていくため、秋服には保温性に長けた素材が多用されます。生地も春服に比べると厚みがあり、肌寒さに対応できる仕様になっています。

■3. デザインの違い

春服と秋服では、デザインのテイストにも多少の違いが出ます。たとえばチェック柄の場合、春は白地に均一の太さの格子柄が入ったギンガムチェックが人気ですが、秋服はさまざまな糸を使って綾織りにしたタータンチェックが定番となっています。

また、ワンピースやスカートなどに多用される花柄も、春服は色とりどりの花に草や葉などを組み合わせたボタニカル柄や、白地に黄色の小花柄といった明るめのデザインが多いのに対し、秋服はブラウンやベージュ、ネイビーといった落ち着きのある色に小花を散らした控えめなデザインが多く見受けられます。

春服と秋服を兼用するのはOK?

春服と秋服は、それぞれの季節に合った色味や素材、デザインを取り入れているので、春に秋服を着る、あるいは秋に春服を着ると、季節外れの印象を与えてしまう可能性があります。そのため、春服と秋服を兼用するのは難しいのですが、色や素材、デザインの選び方を工夫すれば、季節をまたいで着用することも可能です。

たとえば、色は白や黒、ベージュ、グレー、ネイビーなど、季節感の出にくいベーシックカラーを選ぶと、春秋兼用でも違和感を感じにくくなります。また、素材は極端に薄いもの、厚いものは避け、適度な通気性・保温性を兼ね備えた素材(綿やポリエステルなど)を選ぶと、暑さ・寒さに悩まされずに済むでしょう。

春服と秋服は色・素材・デザインに違いあり!兼用するなら季節感が出にくいものを選ぼう

春と秋はどちらも過ごしやすい季節ですが、暑い夏に向かっていく春と、寒い冬へ移行していく秋では、服の色味や素材、デザインなどに違いがあります。春服と秋服を兼用したいのなら、なるべく季節感が出にくい色・デザインを選ぶと共に、素材も綿やポリエステルなど年間通して着られるものを選択することが大切です。

ただ、春と秋のどちらにも寄らない中性的な服は、暑さや肌寒さへのカバー力がやや低いので、事前にその日の天気や予想気温をチェックすることをおすすめします。

天気予報専門メディア「tenki.jp」では、その日の天気や予想気温などの情報をもとに、快適に過ごすためのコーディネートを提案する「服装指数」を公開しています。春秋兼用の服を着て出かけようかどうか迷ったときは、ぜひ参考にしてください。