ハイキングというと夏や秋のイメージが強いですが、冬のハイキングでは他の季節にはない景観を楽しめるという魅力があります。ただ、夏や秋に比べると、服装選びでいくつか注意しなければならないポイントがありますので、冬のハイキングを計画している方は、服装の選び方をしっかりチェックしておきましょう。

今回は、冬のハイキングに着ていく服装の選び方や注意すべきポイントについて解説します。

冬のハイキングに着ていく服装の選び方

冬に限らず、ハイキングや登山の服装は、それぞれ異なる役割を持つアウターレイヤー、ミドルレイヤー、ベースレイヤーを重ね着する「レイヤリング」が基本となります。どんなレイヤーを選ぶかは季節によって異なりますが、冬のハイキングでは気温の変化が大きくなることを考慮し、冷え対策や汗対策を徹底することが大切です。

ここでは、冬のハイキングに着ていく服装選びのポイントを4つご紹介します。

■1. アウターレイヤーは雨・雪・風に耐えられるものを選ぶ

一番外側に羽織るアウターレイヤーは、雨風などから体を保護する役割を担っています。冬の場合は降雪の可能性もありますので、防水性・防風性・防雪性に長けた冬山用のアルパインウエアを選ぶのがおすすめです。

また、冬のハイキングでは、なるべく汗をかかないよう、体が暖まってきたらアウターを脱いで体温調節する必要があります。そのため、アウターレイヤーはこまめに脱ぎ着できるよう、着脱しやすいデザインのものを選ぶのがポイントです。

■2. ミドルレイヤーは吸湿速乾性が高く、動きやすいものを選ぶ

アウターレイヤーのすぐ下に着るミドルレイヤーは、体温を保ちつつ、ウエア内の蒸れを防ぐ役割を担っています。そのため、保温性と吸湿速乾性を兼ね備えたフリースや、ウインドブレーカーなどに代表される防風性に長けたウインドシェルなどを着用するのが基本です。

また、アウターレイヤーは防水・防風・防雪に長けている一方、着心地はごわごわしてやや硬めなので、その下に着用するミドルレイヤーは動きの邪魔にならないよう、ストレッチのきいたものを選ぶのも大切なポイントです。フリースなどに比べるとやや値段は上がりますが、防風性や吸湿性・通気性に優れ、かつストレッチが効いて動きやすいソフトシェルを着用すると、体温を保ちながらスムーズに動けます。

■3. ベースレイヤーは吸水拡散できるものを選ぶ

素肌の上に直接着用するベースレイヤーは、ハイキング中の汗冷えを防ぐ役割を担っています。気温が低いときでも、体を動かすとかなり大量の汗をかきますので、汗をすばやく吸収・拡散し、常にドライな状態をキープできるものを選ぶのがポイントです。具体的には、メリノウールやポリエステル製のアンダーウエア、Tシャツなどを着用すると、汗をかいてもさらっとした着心地をキープできます。

■4. ボトムスは足さばきのよいものを選ぶ

ハイキングでは山道をたくさん歩きますので、ボトムスは足さばきのよいストレッチ素材のパンツを履くのがおすすめです。ハーフパンツやスカートを履く場合は、その下に保温機能やサポート機能を兼ね備えたタイツを合わせると、防寒と足の保護に役立ちます。

冬のハイキングに必要不可欠なアイテム

冬のハイキングに必ず持っていきたいアイテムを3つご紹介します。

■1. 帽子・手袋・防寒ソックス

冬山は麓に比べると気温がかなり低くなりますので、保温性のある帽子や手袋、防寒ソックスの着用は必須です。いずれも厚手のものがおすすめですが、綿素材は水を吸ってしまうので、吸湿速乾性に長けた化繊やウール素材のものを選びましょう。

■2. トレッキングシューズ

登山用に作られたトレッキングシューズは、山登りの際に足を保護し、歩行をスムーズにしてくれるアイテムです。防水性や撥水性にも長けているので、雪道や湿った山道を歩いても足元を濡らさずに済みます。舗装されたハイキングコースを歩く場合はローカットやミドルカットでかまいませんが、長時間歩行する場合や、凹凸のあるコースを歩く場合はハイカットモデルがおすすめです。

■3.バックパック

ハイキングでは、水筒や食料、カメラ、地図、コンパスなどいろいろな道具を用意しますが、これらのアイテムはすべてバックパックに詰めて持ち歩くのが基本です。バックパックにはさまざまなサイズがありますので、背負いやすく、かつ自分の体型に合ったものを選びましょう。

冬のハイキングに行くときに注意すること

冬のハイキングに行く際、特に注意したいことを3つご紹介します。

■1. 事前に天気を確認する

山と麓では天気に大きな違いが生じることもあり、平地では晴れているのに、山では吹雪いているというケースも珍しくありません。悪天候の中、冬山にハイキングに行くのは非常にリスクが高いので、数日前から現地の天気を確認するのはもちろん、出かける直前の予報にも目を通し、安全にハイキングできるかどうかしっかりチェックしましょう。

■2.きちんと整備されたコースを歩く

冬はハイシーズンの夏や秋に比べるとハイキング客が少なくなるため、道に迷っても周囲に助けを求めづらくなります。特に冬は周囲が雪で覆われて道が判別しにくくなりますので、きちんと整備されたコースを選ぶのがポイントです。

■3.早めに下山する

冬は冬至(12月21日or22日)をピークに昼の時間が短くなる季節ですので、14~15時くらいになるとだんだん日が傾き始めます。日が落ちてくると気温がぐっと低下するうえ、周囲も暗くなってきますので、早い時間に上り、早めに下山することを心がけましょう。

冬のハイキングに着ていく服装は、防寒・汗冷え対策を徹底しよう

冬山は平地に比べて気温が低いうえ、天気の急変によって雨や雪に降られる可能性もあります。冷たい外気から身を守るのはもちろんですが、大量にかいた汗を放置していると体温が奪われてしまうので、防寒に加えて汗冷え対策も行うことが大切です。また、ハイキングに行くときは数日前から現地の天気をしっかりチェックし、安全にハイキングを楽しめるかどうか念入りに確認するのを忘れないようにしましょう。

天気予報専門メディア「tenki.jp」では、エリアごとの予想気温に合わせて適切な服装を提案する「服装指数」を公開しています。服装指数は10日先まで掲載していますので、冬のハイキングに行く予定がある方は、現地の服装指数をこまめにチェックし、天気や予想気温に適した服装選びを心がけることをおすすめします。