あっという間に茹で上がる『そうめん』は、暑い夏の調理で助かる食材のひとつでした。またきりりと冷やして、つるりといただく食べ方は、夏バテ回避にも役立ったかもしれませんね。そんな、夏に大活躍してくれたそうめん、残っていませんか?今回は残ってしまったそうめんを使い切るべく、美味しくいただくレシピをご紹介します。

そうめんのアレコレ

そうめんは鎌倉時代から作り始められたと言われていますが、当時は寺院で食べられていて、一般的な食事ではありませんでした。そうめんは漢字で書くと『素麺』となりますが、この素麺という表記が歴史の中で初めて記述されたのは室町時代になります。当時は宮中や寺院の宴会など、おもてなしの場面で食されるものでした。庶民の間でそうめんが食べられるようになってきたのは、江戸時代に入ってからになります。

そうめんは『手延べ製法』という伝統的な作り方で今でも作られているものがあります。作り方は、小麦粉に食塩水を加えてよく捏ねます。できた生地を丁寧に引き延ばして、一本の素麺に仕上げます。延ばす際には、生地を引きちぎらないように、捻(より)をかけて延ばし、「ねかし」と呼ばれる熟成をさせます。その後再び延ばします。この工程を何度も繰り返し、美味しいそうめんに仕上げていきます。

温!で食べるそうめん

☆なすそうめん☆

『なすそうめん』といえば、香川県の郷土料理ですが、少しアレンジを加えてみました。なすが美味しいこの時期ぴったりの温かい碗になります。優しい味わいで、身も心もホッとします。

<材料>3人前

そうめん 100g

なす 4本

ねぎ(青い葉の部分) 10cm

油揚げ 1枚

サラダ油 大さじ2

めんつゆ(3倍希釈) 大さじ3

顆粒だし 小さじ1

みりん 大さじ2

酒 大さじ1

水 700cc

<作り方>

1. なすはヘタを除いて、大きめのひと口大の乱切りにします。水を張ったボウルにさらして5分ほどおいて、しっかり水けを拭き取ります。

2. ネギは細かく小口切りにします。油揚げは食べやすい大きさの短冊切りにして、ザルに入れて、熱湯をまわしかけて油抜きをして、水けを切っておきます。

3. 鍋にサラダ油をひいて、中火で熱して、なすを加えます。なすに油が馴染んだら、蓋をして、時々、焦がさないように返しながら、柔らかくなるまで焼きます。

4. なすが柔らかくなったら、油揚げを入れて、水、めんつゆ、顆粒だし、みりん、酒を加え、蓋をして弱火で煮込みます。

5. 別の鍋で、そうめんを表示の通りに茹でます。茹で上がったら軽く流水ですすいで、水けをしっかり切っておきます。

6. 4.の具に味がしみたら、そうめんを加えて、中火にして、再びひと煮立ちさせます。

7. 器に盛り付けて、ねぎを散らせば出来上がりです。お好みで七味唐辛子を振っても美味しいですよ。

それでも余ってしまったそうめんは?

そうめんの賞味期限は、どのくらいか知っていますか?一般的には手延べそうめんであれば3年ほど。スーパーなどで手に入りやすい、袋入りのもので1、2年です。

うどんなどは乾麺でおよそ1年程度となっています。気になる保存の方法は、開封前のそうめんは直射日光を避けて、通気性の良いところで保存しましょう。開封後のそうめんは袋などに入れて冷蔵庫で保管するのがおすすめです。どちらの場合でも、ぜひ気を付けて欲しいことが『香り』です。そうめんは呼吸しているので、匂いの強いものや場所などの空気を吸ってしまいます。こもった場所や強い香りのものを避けて保存するようにしましょう。

「そうめんは古いものがいい」と聞いたことがありますか?本当のところは、実はYESでもNOでもあるんです。そうめんの製造は乾燥や湿度などの気候に大きく影響されるため、冬から春にかけて作られるのが一般的です。熟成させ、梅雨時期を越したものを新物、そこからさらに1年、再び梅雨を越したものを『古物(ひねもの)』と呼びます。さらにそこから1年、再び梅雨を越したものを『大古物(こひねもの)』と呼びます。ただし、自宅でただ保存するだけでは熟成が進まないので『古物』にはなりません。うまく保存できても、古ければ古いほど良いというわけでもなく、2、3年が限度となっています。賞味期限を守りながら、上手に保管ができると良いですよね。楽に美味しく食べられるそうめんは、1年を通して使いたい食材かもしれませんね。

参考:三輪山本 そうめんとは