街ゆく人々が“しかめっ面”をして歩く今夏。7月に続いて8月も“特別”といえる暑さが続いています。この暑さは大人だけでなく、夏休みに入って生活のリズムが乱れがちな子どもにとっても体調不良につながり兼ねませんので、大人も子どもも体調管理が大切です。
この時季、私たちが普段よく耳にする「夏バテ」の言葉は、「不定愁訴」と同じく特定の病気としてまとめられない漠然とした体の不調の訴えを指すため、対策が遅れて悪化すると他の症状を引き起こす要因に。さらに「偏った食事」「睡眠不足」に暑さが追い打ちをかけると、熱中症のリスクもUP! そこで今回は、夏休み中の子どもの夏バテ対処法について考えます。

あなたの夏バテの原因、もしかしたら自律神経の乱れかも?

夏バテの自覚症状には「睡眠障害」「慢性的な疲れ」「食欲不振」などがありますが、「頭痛」「気分がすぐれない」「めまい」「ふらつき」といった体調変化が生じると、それは夏バテや夏風邪ではなく「熱中症かも?」と考えたほうが賢明です。
そうした症状を放置していると、「手足のしびれ」「筋肉のこむら返り」「吐き気」「立ちくらみ」「嘔吐」「倦怠感」「虚脱感」といった熱中症の顕著な症状が現れ、さらに重症化すると「返事がおかしい」「意識消失」「けいれん」「からだが熱い」といった状態に陥ります。※参考/厚生労働省HP
こうした点から普段、夏バテの症状を感じている人は、その症状を放置せずに「熱中症予防=夏バテ解消」と考えて、食事や入浴などを見直すことが大切です。
そこでまずは、夏バテの原因から考えていきましょう。
大きな原因として考えられるのは、自律神経の乱れです。
自律神経とは自分の意思とは関係なく、刺激や情報に反応して体の機能をコントロールしている神経のこと。
「交感神経」と「副交感神経」の二つの神経がバランスをとりながら働くことで、体温の調節、規則的な心臓の拍動、全身への血液循環、食べ物の消化……など、生命維持にとって必要な機能を調節しています。自律神経が正常に働くことで、私たちの身体を健康な状態を保っているのです。
夏の高温多湿の環境下では、常に体温を一定に保とうと自律神経がフルに稼働することで疲弊してしまいます。さらに、室内の空調による冷えや、暑い屋外との温度差、栄養バランスの偏りなどでも自律神経は乱れがち。その結果、体の調節がうまくいかなくなり、夏バテが起こるとされているのです。

自律神経の乱れが生じやすい、高温多湿の夏
自律神経の乱れが生じやすい、高温多湿の夏

夏バテを防ぐ生活習慣を、早速今日から!

夏バテを防ぐには疲れをとり、汗をたくさんかくことが大切です。そのために気をつけたい点は入浴、睡眠、発汗、食事、運動、水分補給などの生活習慣です。また、熱中症を防ぐために脱水対策も重要です。
では、具体的にどんなことに注意をしたらよいのでしょう。早速、順番に見ていきましょう。
◇お湯にゆっくりと浸かる入浴を!
夏場はシャワーですませがちですが、汗をかいてリフレッシュするには、38~40度くらいのお湯にゆっくりと浸かりましょう。
入浴後、体の深部体温が下がるタイミング(入浴1時間くらい後)に、眠りにつくのがベストとされていますので、夜更かしが続くなど生活リズムが乱れがちな子どもには、入浴時間を工夫しながらリズムを改善してみましょう。
◇就寝前に寝室を除湿して、快眠を!
ついつい夜更かしが増えがちな夏休み。十分な睡眠時間を確保することがとても大切です。ただし、ベッドが湿った状態だと気持ちよく眠れないので、就寝前に寝室を除湿しておくのもおすすめ。室内を快適に保つための室内の温度は約28度、湿度は50〜60%を目安にしましょう。

睡眠が足りていない時には、昼寝を活用するのも効果的
睡眠が足りていない時には、昼寝を活用するのも効果的

◇汗をしっかりかくことも、夏バテの予防に!
エアコンのきいた部屋で、テレビやゲームなどにのめり込みがちな夏休み。暑さに気をつけながらも、体を動かす時間を作りましょう。
人は汗で体温調節をしているため、汗をしっかりかくことも夏バテ予防につながります。日差しの強い日は熱中症の危険がありますので、気温が低く、日差しも弱めの朝や夕方に運動するのがおすすめです。その際、帽子や飲み物などの準備もお忘れなく!
◇夏バテかな?と思ったら、ビタミンB1を!
疲労回復にはビタミンB1をたくさん摂りましょう。ビタミンB1は糖質をエネルギーに変えるために必要な栄養素。糖質ばかりを摂ってビタミンB1が不足すると、疲れやすくなってしまいます。ビタミンB1を多く含むのは豚肉や大豆、うなぎ、玄米など。夏バテ気味の様子なら、積極的に食べさせてあげましょう。
また、体の熱を取る食材としてトマト、きゅうり、なす、ゴーヤ、みょうが、ピーマンなどの夏野菜もおすすめです。

夏休み明けに体調を崩さないように、今から気をつけてあげましょう
夏休み明けに体調を崩さないように、今から気をつけてあげましょう

◇冷たいもの摂りすぎはNG!
暑い日が続くと、ついつい食べたくなる冷たいもの。気がつくと口当たりのよい冷たいジュースやアイスを口にしていませんか?  子どもが自分で冷蔵庫を開けて、飲み食いをしているようなら要注意です。
冷たいものの食べ過ぎは胃腸への負担が大きく、食欲減退や下痢などの症状も引き起こしがち。冷たいものはほどほどに。水分を補給する際は常温のものがおすすめです。
◇忘れてはいけない水分補給!
熱中症予防のためにも水分補給はとても大切です。ただし、冷たい水をガブガブと一気に飲むのではなくこまめに飲むことが大切。家で過ごしている時にも、一人ひとりに麦茶などを入れた水筒などを用意しておいて、自由に飲めるようにしておけば、ご両親もラクちんですね。
── 夏バテは早めのケアが大切。はっきりとした自覚症状がなく、大丈夫だと油断しているうちに、夏バテ症状が顕在化することがあります。夏休み中の子どもの生活は不規則になりやすいので、元気に新学期を迎えるためにも、大人が生活習慣に配慮して、しっかりと様子を見てあげることが大切です。
ぜひしっかり体調管理をして、楽しい夏をお過ごしください。
参考/厚生労働省HP、味の素HP、ほか

冷たいものの食べ過ぎはNGですが、こまめな水分補給を!
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