寒くなり乾燥を感じる季節となってきました。寒くて外に出たくなくなる季節ですが、そんなときこそ外を眺めるのがおすすめ。冬の空気は澄んでいますから、天気のよい日に広い景色を見渡してみるのも爽快でしょう。
都内で見晴らしのよい場所といえば東京の東池袋にあるサンシャイン60の展望台があります。来年、開業40周年を迎えるサンシャイン60。開業当初から時代をリードする存在だった池袋のランドマークに迫ります。

池袋の象徴「サンシャイン60」
池袋の象徴「サンシャイン60」

平和を願う慰霊碑とともに

サンシャイン60が開業となったのは1978年のこと。こちらの土地には1970年まで東京拘置所が置かれていたのですが、戦後、GHQの支配下に置かれていたころは「巣鴨プリズン」とも呼ばれていました。実はこちらの拘置所、第二次世界大戦で戦犯となった東条英機らの死刑が執行された場所だったのです。ご存じでしたか?
1952年には、GHQの支配下から日本に移管され、東京拘置所として稼動していました。ちなみに、1966年までは現在の東池袋一帯は「巣鴨」の地名だったのです。そのため、「巣鴨プリズン」と呼ばれていたわけですね。1971年には、現在の場所である葛飾区小菅に東京拘置所が移転となり、その後、東京拘置所の跡地を利用してできたのが現在のサンシャイン60というわけです。
1978年に開業したサンシャインシティは水族館、プラネタリウム、劇場など様々な施設を備えた「日本初の複合都市施設」として注目を集める存在となりました。また、サンシャイン60近くにある東池袋中央公園の一角には平和祈念慰霊碑があります。この東池袋の一帯は、戦争の悲劇を背負った場所から、新たな時代へと変化を遂げたのでした。

東池袋中央公園にある慰霊碑
東池袋中央公園にある慰霊碑

アジアで最も高いビルの誕生

1978年、サンシャイン60が日本を代表する複合施設として華々しく開業を迎えました。その高さは239.7mで、当時はアジアで最も高いビルとしても話題を集めました。
高さ60階もの高さを誇るビルのため、エレベーターの速度にも注目が集まりました。その最高速度は分速600mにもおよぶといいますからかなりのスピードですね! 1993年に横浜ランドマークタワーが建てられるまでは、世界一の速度を誇るエレベーターだったのです。

世界初にチャレンジ、サンシャイン水族館

1980年代に大ブームを起こしたサンシャイン水族館。当時、人気だったのはウーパールーパーやラッコでした。今では他の水族館でも多く見られる生き物ですが、このころは展示している施設が少なかったため、全国からサンシャイン水族館にたくさんの人が訪れました。まさに、日本の水族館をリードする存在といっても過言ではないでしょう。
そして、サンシャイン水族館は次なる仕掛けを生み出します。
2011年8月に「天空のオアシス」というコンセプトのもと、大規模リニューアルを図りました。目玉となったのは世界初の展示「天空のペンギン」です。透明のプールを泳ぐペンギンを下から見上げるように観察できるのです。まるで、高層ビルが立ち並ぶ大都会の上空でペンギンが空を飛んでいるような構図になります。
――かつての大ブームにとどまらず「攻め」の姿勢を見せるサンシャイン水族館にこれからも注目ですね。また先日、水槽で魚が大量死というニュースがありましたが、一日も早く元気な魚たちが集まってくることを願いたいものです。

世界初展示「空飛ぶペンギン」
世界初展示「空飛ぶペンギン」