この5年ほどで、ドローンの存在はかなり身近になりました。ドローンによって便利になることが増えていますが、一方でニアミスや墜落などの恐れもあることから、「安全で安定した飛行」が最優先で求められています。安全なドローン飛行のために必要なものとして、今回は「飛行ルール」と「気象情報」について紹介します。

【空の産業革命】ドローンの活躍フィールドは拡大中

この5年ほどで、ドローンの存在は私たちにとってかなり身近な存在になりました。ドローンを利用した空撮がブームとなり、動画サイトで圧巻の風景動画を気軽に見られるようになったのも、ごく最近の話です。
ドローンの歴史を少し紐解いてみると、世界では、第二次世界大戦中の軍事目的での無人航空機の開発がはじまりだそうです。日本では、30年ほど前に世界初の産業用無人ヘリコプター(ドローンに分類される)が販売されて、主に農薬散布などに活用されてきました。
現在、ドローンの主な役割は『空撮』『農薬散布』などがありますが、その他にも実は様々な活用方法があると期待されています!
例えば、『物流(荷物輸送)』『災害への対応』などです。
人材が不足する物流現場では、山間部や離島地域への輸送・個人宅配などにドローンを活用し、業務効率化・顧客満足につながる有効なツールとして期待されています。また、災害時も人間が立ち入れない場所の捜索や復旧作業などで、ドローンによる無人で安全な作業が可能になります。このような様々なメリットから、国も民間企業も一体となって『空の産業革命(ドローンの産業実用化)』に取り組んでいます。

ドローンは様々な可能性を秘めています。
ドローンは様々な可能性を秘めています。

ドローンにも飛行ルールがあるって知ってた?

ドローンは、どこでも自由に飛ばせるわけでないこと・・知っていましたか?約2年前の平成27年12月10日、無人航空機(ドローン)の飛行ルールを定めた改正航空法が施行されました。
ドローン飛行に対して定められたルールでは、『飛行禁止空域』と『飛行の方法』が明確化されています。
★飛行禁止区域
・空港周辺
・150メートル以上の上空
・人家の密集地域
★飛行の方法
・日中(日の出から日没)での飛行
・目視(直接肉眼)の範囲内
・距離の確保(第三者または第三者の建物・自動車との間に30メートル以上の距離を保つことが必要)
・催し場所での飛行禁止
・危険物輸送の禁止
・物件投下の禁止
※国土交通省 航空局リーフレット「無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の安全な飛行に向けて!」より
ルールに定める『飛行禁止空域』での飛行や、『飛行の方法』とは異なる飛行を行う場合は、国土交通省への事前の申請が必要です。このようなルールがないと、ドローンと有人飛行機とのニアミス・衝突事故や、ドローン墜落による人・物への被害が避けられません。
しかし、将来的にはドローンの目視外飛行 や 人家の上空の飛行 が安全に出来るようにならないと、ドローンの産業実用化は夢物語になってしまいます。まだまだ課題はたくさんありますが、安全かつ効率的にドローンが飛び交う未来を目指し、経済産業省の『空の産業革命に向けたロードマップ』では、小型無人機(ドローン)の技術開発と環境整備を、国として積極的に取り組んでいくとしています。

出典:国土交通省リーフレット (無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の 安全な飛行に向けて!)
出典:国土交通省リーフレット (無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の 安全な飛行に向けて!)

【ドローン×気象】安全なドローンの飛行に必要なもの

ドローンが安全に飛行するために「気象」はとても大切な情報の一つです。たとえば、乱気流、局地的な豪雨、落雷、竜巻などによってドローンが安全に飛行できない、または墜落する恐れがあります。このような気象のリスクを避けるために、気象情報の把握が安全なドローン飛行の必須要件といえます。
しかし、ドローンが飛行する高度100メートル前後の詳細な気象情報が、今までほとんどありませんでした。
そこで、日本気象協会では将来的なドローン気象予測を念頭に、まずはドローン飛行空域の詳細な気象情報を取得しようと、実証試験を行いました。
ドローン初心者である安野(tenki.jpチーム)が取材した実証試験の様子は、明日のtenki.jpサプリでご紹介します♪