今日はゴールデンウイーク後半の平日。
昨日で長期連休が終わってしまった人、あるいは、今週日曜までお休みの人……とひきこもごもですが、今年の海外出国者数は対前年比0.3%増の約1620万人。
日本人の旅行意欲は堅調のようですが、「海外旅行・行きたい国」などのアンケートでいつも上位にランクされるのが東南アジア。中でも、日本人が訪れることが多いのはタイ、そしてその首都バンコクではないでしょうか。
おそらく、バンコクに行った方なら必ず耳にしているはずの音楽をご紹介しましょう。

懐かしく響く音楽

ねっとりとしたバンコクの熱い空気の中で、のんびりした、どこかあか抜けない、そして何だか懐かしく響く音楽。
それが「プレーン・ルーク・トゥン」(「田舎育ちの子」という意味で、「プレーン」は歌の意味)です。
タイは長い歴史を持つ国ですから、伝統的な楽器を使って伝統的なスタイルで演奏される音楽も存在します。
それらはおもに中国やカンボジアの強い影響を受けているようです。西欧のポップスやロックと変わらないフォーマットのバンドロックやアイドル歌謡もたくさんあります。
一方で、ルーク・トゥンは日本の一昔前の歌謡曲のような雰囲気、コブシの効いた節回し、何となくあか抜けないアレンジを特徴とした、タイの民衆にもっとも浸透している大衆歌謡です。
1950年代にタイの古典音楽や民謡をベースにしてアメリカのジャズやカントリー、ラテン音楽などの影響を受けてバンコクあたりで生まれ、流行歌化し、次第にそのスタイルが定着してきたとされています。
その後、電気楽器の比重も高くなり、音楽もロック調になったり、80年代にはタイ東北部イサーン地方の伝統音楽の要素が取り入れられるなど、変化しています。

「タイの演歌」

また、ルーク・トゥンの歌手は大勢の芸人やダンサーを大型バスで引き連れて、地方を巡業し、ド派手なステージを一晩中繰り広げることでも有名です。
タイでは農閑期である乾期になると、お寺の境内などでこんなコンサートが毎日どこかで行われています。
ところで、なぜタイで、ルーク・トゥンがこんなにポピュラーなのでしょうか。
急速な経済発展を遂げたといっても、なんといってもタイは農業国です。
国民の半分以上は農民ですし、多くの農民はバンコクに出稼ぎに来ています。
ルーク・トゥンの歌詞はこれらの農村出身者の日常生活が主なテーマです。
これが、「タイの演歌」とも呼ばれるゆえんでしょう。
その曲調は、私たち日本人が聞いてもなんとなくノスタルジックな気分になります。
日本で気軽に聴ける音楽というわけではありませんが、タイレストランなどでリクエストしてみるのもいいかもしれません。
GW中にタイ旅行を満喫された人も多いことでしょう。
次回、バンコクへリピートされるときには、「タイの演歌」に耳をすませてみてはいかがでしょうか。

バンコクのシンボル「ワット・アルン」
バンコクのシンボル「ワット・アルン」