山の神が消えた…1905年1月23日は日本狼が絶滅した日

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日本狼とは?

ニホンオオカミは、遺伝的には大陸のオオカミの一系統に由来し、日本へ渡来した時期はかなり古いものと考えられています。大陸のオオカミに比べて体格が小さく、6~7頭の群れで生活し狩りをしていました。
ヤマイヌとオオカミは同種とする説が有力です。
日本狼は明治38年(1905年)1月23日、奈良県吉野郡東吉野村鷲家口で、地元の漁師によって捕獲されたのを最後に、絶滅したといわれています。

日本狼はなぜ絶滅したのか

絶滅の理由としては、明治以降西洋犬の導入に伴い狼にも狂犬病やジステンパーなどの病気が蔓延したこと、家畜に害をなすため、人間による徹底的な駆除が行われたこと。住居である山が開発され、餌となる動物や住処が激減したことなどが重なったためと考えられます。

日本人の信仰の対象であったオオカミ(大神)

もともと狼はオオカミ(大神)ともいわれ、日本では古代から神として崇拝されていました。日本書紀の欽明天皇即位前記には、秦大津父(はたのおおつち)が狼を「汝は是貴(かしこ)き神にして、鹿(あら)き行(わざ)を楽(この)む」と言った話が記されています。
かしこき神とは、賢明さと邪悪さを兼ね備えており、そのために人間から畏怖される神という意味です。
日本人は農耕民族なので、田んぼや畑をあらす猪や鹿などの動物は害獣。それらの動物をとらえて食べる狼は山の神としてあがめられていたのです。
狼を神の眷属としてまつる代表的な神社は秩父の三峰(みつみね)神社と遠州水窪(みさくぼ)の近くにある山住(やまずみ)神社です。
狼のお札を家の入口に貼ると魔をよけるとされています。

狼と民話

「森の民」である西洋人は、、狩猟を生業としており、狼は人間と同じ獲物を取り合う敵でありました。
「赤ずきんちゃん」や「3匹の子豚」「狼と7匹の子やぎ」などの童話、狼男伝説など、西洋における狼は狡猾でずるがしこい、野獣としてとらえられ悪役として描かれることが多いですね。
対して、日本人は農耕民族ですから、狼を恐れ畏怖し尊敬の気持を持っています。
そのためか、人と狼の心あたたまる交流を伝える民話などが日本各地に多数残っています。
・まんが日本昔話 「狼のまゆげ」出展 広島の民話(原題オオカミ長者)
・送り狼など「佐久の民話」
→飲み会の帰りに送ってくれた男性が、突然豹変して女性を襲ってくるという話ではなく、日本狼が自分のテリトリーに入ってきた、人間を相手がテリトリーからでていくまで、確認のためついていくとの習性を伝承したもののようです。
「おおかみこどもの雨と雪」細田守監督
→このアニメでも狼は、人間の隣人として描かれていますね。

鹿、猪などによる森林被害

最近よくジビエという言葉をききませんか? ジビエ(仏: gibier)とは、狩猟によって食材として捕獲された野生の鳥獣のことをいいます。
日本では狼などの食物連鎖の頂点となる動物が絶滅してしまったため、野生の鹿が増え、農作物や森林を荒らすため、狩猟や有害捕獲し間引きが行われています。
狩猟時の遺骸を野山に廃棄することなく、食肉として有効活用を図るという取り組みが行われているため、私たちの食卓にもジビエが身近になってきたのです。
実は、この乱れた生態系を元にもどすため、日本に狼を再導入して復活させようという動きもあります。
日本狼の絶滅から100余年、現代の日本人は、狼と共存できるほど、成熟したのでしょうか。
山の神と共存するために、何を知り何を学ぶべきなのか、考えさせられます。

参考;死に絶えた山の神 日本人と狼信仰 谷川健一著

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