身近なパワースポット! 江戸城を取り囲むように配された黒・白・青・赤・黄の「五色不動」の秘密

2015/12/23 16:30

その昔、現在の皇居は江戸城の本丸であり、その場所を中心として、 国の中枢を担う都市に災いが起こらないよう結界が貼られていました。 代表的な結界のひとつとして、不動尊を祀る5つの密教寺院を結んだ五色不動が知られています。 今回は、天下太平の願いと江戸を守護する目的で江戸城を取り囲むように設置された、 五色不動の秘密に迫ります。

目黒不動── 天台宗滝泉寺の手水場(JR目黒駅から徒歩15分)
目黒不動── 天台宗滝泉寺の手水場(JR目黒駅から徒歩15分)
江戸の天下太平を願う五色の不動 江戸五色不動とは、目白、目赤、目黒、目青、目黄の不動明王像が置かれた5つの地域のことを意味します。 江戸の鎮護と天下泰平を願って、三代将軍・家光が治めた寛永年間(1624~43)に成立したと伝えられます。 寛保元年(1741)に書かれた平直方の『夏山雑談』(寛保元年)によると、江戸城鎮護のために不動明王像を造立し、王城鎮護の四神にならい江戸城の四方に配置したのが目黒・目白・日赤・目青の四不動とあります。 つまり、もともとは5つではなく4つであり、青龍・白虎・朱雀・玄武の4色の四神獣に見立てたという説もあるのです。 のちの時代になって、四不動に目黄不動尊を加えた五つの不動尊を五色不動(五眼不動)として新たに意味づけたのかもしれません。
五色不動の結界の中心にある江戸城(現在は皇居)
五色不動の結界の中心にある江戸城(現在は皇居)
実は、目黒、目白という地名の由来! あまり知られていない意外なこととして、五色不動は「目黒」や「目白」といった地名の由来でもあるという事実があります。 不動明王のいかつい姿と、東京のオシャレな人気スポットのイメージは、とても結びつかないので不思議ですが、実はこの二都市は、江戸(東京)にとって非常に重要な、外側と内側をつなぐ境界なのです。 五色不動のなかでも、目黒と目白と目赤の3つはとくに古いとされ、今でも昔と変わらない場所に置かれています。一方、お寺が廃寺になったり、戦災で焼けたり、区画整理のために移動をよぎなくされるなど、目青不動、目黄不動は以前とは異なる場所に置かれているそう。 江戸時代に定められた場所から、移動したものもあり、昔そのままの状態ではないものの、昔と変わらずに祀られ続けている五つの不動像。忙しく動き続ける都市の喧騒のなかで、決して動かない“不動”のものとして、今でも首都を守り続けているのです。
ハイソな街・目黒。トレンドタウンの一角に目黒不動が所在
ハイソな街・目黒。トレンドタウンの一角に目黒不動が所在
なぜ五つの不動は「五色」で表現されるのか? このような「五色」の考えのもとにあるのは、密教の「五大」の要素であると考えられます。真言宗や天台宗などの密教では、万物を生成する要素として、地(黄)、水(白)、火(赤)、風(黒)、空(青)、の5つが存在すると考えます。この五要素はそれぞれ、東・西・南・北・中央という方角にも当てはめられます。 他方、中国の「陰陽五行説」が関わっていると唱える説もあります。万物は木火土金水という5つの要素で成り立つという五行説に、陰と陽の相反する属性が生滅を繰り返すという陰陽思想が結びついたものが「陰陽五行説」であり、これは日本人の生活のさまざまな点に影響を与えている思想です。 密教と陰陽思想の考えは少し異なりますが、いずれにしても、世界の万物を要素に分けてとらえるアジア特有の思想であり、「五色」の色のなかには、私たちのルーツにかかわるモノの見方が反映されているのでしょう。
五大明王の中心を担う不動明王
五大明王の中心を担う不動明王
そもそも不動明王ってどんな仏さま? 不動明王は、日本では「お不動さん」と呼ばれ、古くから親しまれてきた。観音さまとお不動さんは、庶民の間で絶大な人気があったのです。 通常は天台宗や真言宗などの密教寺院に祀られている不動明王は、密教に特有の尊像であり、全宇宙そのものである大日如来が人々を教え諭すために、厳しい形相(怒った顔)で現れたものであるとされます。 マンダラの中では、5つの明王(五大明王)のリーダーでもある不動明王。火焔を背負い憤怒の形相をして、右手にもつ利剣(降魔の剣)で邪悪なものを打ち砕き、羂索という縄で衆生を救い上げ正しい道へ導くといわれています。 邪魔をする悪魔を退治し、ときには弱い態度を厳しく戒め、私たち人間の迷いを鎮めてくれる存在。少し恐いけど、人間思いの頼れる存在である不動明王に出会える最も身近な場所が江戸の五色不動であり、その場所に行くことで、日常を変えるようなパワーを得られるかもしれません! 《参考》 【目黒不動】 天台宗滝泉寺/目黒区下目黒3-20-26/JR目黒駅 徒歩15分 【目白不動】 真言宗豊山派金乗院/豊島区高田2-12-39/都電学習院下 徒歩2分 【目青不動】 天台宗数学院/世田谷区太子堂4-15-1/新玉川線・世田谷線 三軒茶屋駅 徒歩2分 【目赤不動】 天台宗南谷寺/文京区本駒込1-20-20/地下鉄南北線 本駒込駅徒歩2分 【目黄不動】 天台宗永久寺/台東区三ノ輪2-14-15/地下鉄三ノ輪駅 徒歩1分 天台宗最勝寺/江戸川区平井1-23-32/JR総武線平井駅徒歩 約20分
火炎を背に、剣と縄をもつ憤怒の不動明王像
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