9月下旬から11月にかけて銀杏(ぎんなん)が出まわります。
あの独特のクセのある味わいは、好きな人にはたまりませんよね。
銀杏が取れるのは、ご存じのようにイチョウの木。公園や神社、街路樹などにイチョウの木があると、ついつい落ちている銀杏を探してしまうものです。
日本にはいろいろな場所にイチョウの木があり、なかには樹齢1000年以上のものもあります。
しかし、イチョウはもともと日本のものではなく、海外からやってきたものなのです。
「生きた化石」ともいわれる銀杏について、紹介します。

イチョウに実をつける銀杏の果実の中の種がいわゆる「銀杏」。地面に落ちたら食べ頃!
イチョウに実をつける銀杏の果実の中の種がいわゆる「銀杏」。地面に落ちたら食べ頃!

仏教伝来とともに、中国からやってきた銀杏

東京・明治神宮外苑のイチョウの並木など、黄金に輝くイチョウの美しさは、まさに秋の風物詩。
神奈川県・鶴岡八幡宮の樹齢約1000年の大イチョウの木が、2010年に強風により倒れたことも記憶に新しいですが、いま新たな葉が芽吹いているとか。その生命力の強さは、訪れる人を感動させ、パワースポットにもなっているそうです。
このようにイチョウは日本人に愛され、全国各地で見られるため日本特有のものだと思われがちですが、仏教伝来とともに中国から伝わったものなのです。神社仏閣で多く見られるのも、こうした理由からかもしれません。
イチョウが最も繁栄したのは、1億5千年前の大昔!恐竜が生きていた時代です。
古来17種だったイチョウは、その後、生態系の変化により次々に消えていきました。そして、わずか1種だけ地上に残り、いまも種を存続させています。それゆえ、イチョウは「生きた化石」ともいわれているのですね。その恩恵を、私たちは受けているというわけです。

昭和記念公園のイチョウ並木
昭和記念公園のイチョウ並木

これからの季節は、銀杏拾いが楽しみ

イチョウの木には雄(オス)と雌(メス)があり、実が付くのは雌(メス)の木だけです。
イチョウの葉が黄葉になりきる前から、銀杏(ぎんなん)が落ち始めます。狙い目は、台風など風が強く吹いた後です。
ただし、銀杏のトップシーズンを迎えるイチョウ並木付近には、戦歴豊富な銀杏拾い名手が存在することも!
ときには縄張り争いのバトルに発展することもあるので、以下のような心遣いを忘れないようなしたいものです。
❏神社仏閣などの敷地内では、「土地や建物の関係者にひと声かけて拾い始める」
❏公園などで銀杏を拾ったあとに水道を使った場合、「銀杏には臭いがあるため次に水道を使う人のためにも、最後に水道まわりをきれいに」
❏学校などでは、「学生に迷惑がかからないように」……。

実践! さぁ、銀杏を拾ってみよう

銀杏拾いに行く際は、長ぐつ、ゴム手袋、臭いが付着しずらいビニール製などジャンバーといった服装を心がけ、実を入れるビニール(二重が望ましい)、またはフタつきの壜を持参しましょう。
さらに、手順においても注意点があるので、確認しておきましょう。
❏注意点ひとつめ ➡ 銀杏の実を素手で触らない!
皮膚の弱い人は特にかぶれやすいので、ゴム手袋かビニール手袋は必須です(手袋を二重にすれば、より◎)。
実を取ったら、二枚重ねにしたビニール袋へ入れます(密閉できるものであれば、より◎)。
持ち帰ったら銀杏の果肉の中から種を取り出します(この種の部分が食べられるところです)。
❏注意点の二つめ ➡ こ果肉がかなり臭い!
種の取り方はいろいろありますが、取ってきた果実を入れたままスーパーの袋を揉むと果肉から種がとれるので、種が出てきたら拾い出してあげます(果肉の入った袋は口を縛ってゴミ箱へ)。
そして流水で種をしっかり洗い、きれいにして天日干しすれば、美味しくいただけます。この作業のときも手袋は忘れずに!
特定の場所で銀杏拾いをするときは、きちんと許可を取ってから行いましょう。
取れたての銀杏は格別です。この季節だけの、秋の贅沢な味覚をぜひ楽しんでみては。

ぎんなん焼き、美味しいですよね〜
ぎんなん焼き、美味しいですよね〜