昨夏、ロシア、ウクライナ、バルト三国を周遊中にリトアニアに立ち寄った。ここは、第二次世界大戦中、杉原千畝という日本人外交官が、当時ヨーロッパで迫害されていたユダヤ人などに人道的見地からビザを発行して、避難するのを助けた国だ。ガイドブックを読むと、首都ヴィリニュスには、他のバルト三国の首都と同じように世界遺産に指定された美しい旧市街が残されている一方、ユダヤ人の国立ユダヤ博物館ホロコースト展示館や旧KGBの建物を利用したリトアニア人大量虐殺犠牲者博物館などがあるという。日本で普通に暮らしている限りは到底思い至らない残忍な歴史の展示で、ガイドブックを読んだだけでも恐ろしさにどきどきしてしまった。しかし、そのような集団による暴力について知っておく必要があると思い、ヴィリニュスの町を散策するときに、それらの博物館も訪れることにした。

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第8回 リトアニア 美しい町並と大量虐殺の記憶

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地球の旅人 東苑泰子の東遊西撮記

<プロフィール>

ひがしぞの・やすこ/東京都出身。ニューヨーク近代美術館でインターン中、世界中から集まる人々に出会って地球の広さに衝撃を受け、キャリアを変えて世界を見る旅をするために?結婚! 海外勤務もあるサラリーマンの夫に励まされ、これまで訪れた国は100ヵ国以上の「旅主婦」。翻訳家の父に鍛えられた語学力と健脚・健啖を活かして諸国を歩き、出会った人々、その街・その国の風景を抜群の反射神経でパチリ。ミャンマー祭り2013 日本・ミャンマー交流写真展、優秀賞受賞