フォトギャラリー - 写真・図版 | AERA「ニッポンの課長」|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

AERA「ニッポンの課長」

このエントリーをはてなブックマークに追加

リングヂャケット
「スーツを、描く」
パターン室長 谷譲(39)
 レディースの洋服づくりも経験してきたが、あるとき「一生ものの、技を磨けないものか」という欲求が芽生えた。流行を受け、細部が変化することはある。しかし、スーツの根本には、決して変わることのない普遍的なデザインが流れている。谷譲は11年前、スーツのパタンナーを志した。
 たたいた門は、大阪府貝塚市に工場のあるリングヂャケット。1954年創業のスーツファクトリーである。スーツづくりには縫製、仕上げなどいくつもの工程があり、パタンナーはその“設計図”をつくる。入社間もない頃、社内の講習に飽き足らず、かつて通った大阪市内の服飾専門学校で“自主トレ”した。
 5年前、ベテランパタンナーが抜けたあと、パターン室長に抜擢された。工場長は目を細める。
「谷は運をつかんだんですわ。先輩が抜けて、顔つきがぐっと変わった。ええもんを作ることにかけては、間違いのない人間です」
 ファクトリーは驚くほど、静かだ。ミシンはていねいな仕事を重視するため、あえて低速。針をつかった手仕事の工程も多いため、1日の生産数は90着。生産数は少ないが、質にこだわった製品は、業界の誰もが「国産最高峰」と認める。谷は言う。
「たとえば肩回り。欧米人と違い、日本人は肩が前に出ている。その点を念頭に、フィット感がありながらも、余計なテンションがかからないパターンを引くことが大事なんです」
 重量感のあるウール素材を使っても、カーディガンのようにやわらかく、軽やかな着心地に仕上がる。
 そんな谷は、仕事に「求められた以上の手間をかける」という哲学を持っている。
 美しい背中のフィッティングなど、こだわるべき点はいくらでもある。注文主の想像の一歩先を行くからインパクトを生む。(文中敬称略)
写真:東川哲也 ライター:岡本俊浩

リングヂャケット
「スーツを、描く」

パターン室長 谷譲(39)  レディースの洋服づくりも経験してきたが、あるとき「一生ものの、技を磨けないものか」という欲求が芽生えた。流行を受け、細部が変化することはある。しかし、スーツの根本には、決して変わることのない普遍的なデザインが流れている。谷譲は11年前、スーツのパタンナーを志した。
 たたいた門は、大阪府貝塚市に工場のあるリングヂャケット。1954年創業のスーツファクトリーである。スーツづくりには縫製、仕上げなどいくつもの工程があり、パタンナーはその“設計図”をつくる。入社間もない頃、社内の講習に飽き足らず、かつて通った大阪市内の服飾専門学校で“自主トレ”した。
 5年前、ベテランパタンナーが抜けたあと、パターン室長に抜擢された。工場長は目を細める。
「谷は運をつかんだんですわ。先輩が抜けて、顔つきがぐっと変わった。ええもんを作ることにかけては、間違いのない人間です」
 ファクトリーは驚くほど、静かだ。ミシンはていねいな仕事を重視するため、あえて低速。針をつかった手仕事の工程も多いため、1日の生産数は90着。生産数は少ないが、質にこだわった製品は、業界の誰もが「国産最高峰」と認める。谷は言う。
「たとえば肩回り。欧米人と違い、日本人は肩が前に出ている。その点を念頭に、フィット感がありながらも、余計なテンションがかからないパターンを引くことが大事なんです」
 重量感のあるウール素材を使っても、カーディガンのようにやわらかく、軽やかな着心地に仕上がる。
 そんな谷は、仕事に「求められた以上の手間をかける」という哲学を持っている。
 美しい背中のフィッティングなど、こだわるべき点はいくらでもある。注文主の想像の一歩先を行くからインパクトを生む。(文中敬称略) 写真:東川哲也 ライター:岡本俊浩



おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい