強姦などの罪で起訴されたこの被告に言い渡された判決は「懲役20年」だ。5人の少女に生涯ぬぐい難い心の傷を負わせた24歳の男は、今後どんなに服役態度が悪くても、一切悔悛(かいしゅん)の情を示すことがなくても、さらにその犯罪性向が矯正されなかったとしても、44歳で確実に出所し、社会復帰を果たす。これが果たしてこの罪に対しての社会的に正当な罰だろうか?

 それにしても、関西でニュースキャスターをやっているにもかかわらず、判決を報じる小さな記事がきっかけで事件の全容を知った我が身を恥じる。

 被害者の人権を守ることと、その犯罪自体を「なかった」ことにして闇から闇に葬ってしまうことは違う。もしこの事件が発覚した時点で、被害者の人権に細心の配慮をしながら、どんな犯罪が起きていたのかを詳しく報道していたなら、犯罪者にはそれにふさわしい罰が与えられていたのではないかと悔やむ。

※週刊朝日 2012年8月31日号