週刊朝日でしかわからないフクシマの現実 (1/4) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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週刊朝日でしかわからないフクシマの現実

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現代の肖像 小出裕章 (eAERA) [Kindle版]

今井一著/会田法行写真

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◆回収しきれない放射性物質、いかにこれに対応すべきか◆
(元原子力安全委員会委員長代理・住田健二)

 1、2号機はこれまでの報道で予知していたとおりだった。しかし3号機建屋の破損ぶりは無残としかいいようがない。水素爆発はチェルノブイリ原発の事故でも大破損の原因になっていたので心配され、知識としては知っていたつもりだったが、これだけ激しい爆発で建物がぶっ飛ぶような事態になるとは、お恥ずかしい話ながら、予想できなかった。

 運転休止中の4号機には、使用済み燃料プールに大量の燃料集合体が保管されていた。このプールで燃料集合体が再び核分裂を起こし再臨界が起こったとの見方も出ていた。正確な中性子測定データが発表されていないので完全に否定はできないが、大丈夫だったようだ。しかし、今回初めて眺め得た建物の裏側の崩壊からは、大きな余震に見舞われれば、プールの燃料集合体が大量に崩れ落ちてこないか心配になった。原子炉の炉心部のような厳しい遮蔽(しゃへい)に囲まれていないので、炉心数個分の大量のウラン燃料が崩れ落ちると、たいへん厄介なことになる。何らかの建屋補修が急務だが、高い放射線量の場所での作業は、容易ではないだろう。

 それと、東京電力は、4号機の破損について3号機から配管を通して水素が漏れて爆発したと説明しているが、これも金属の表面の組成変化を調べれば、水素爆発が原因かどうか、漏出経路も特定できるはず。爆破や材料工学の専門家にも意見を聴いて解明すべきだ。

 一般論になるが、これだけ大きな原発の事故は過去に例がない。放出された放射能はチェルノブイリ原発事故の10分の1と言われているが、1号機から4号機の原発の中にはチェルノブイリの何倍もの放射性物質がまだ残されている。早急にこれらを封じ込めるだけでも大変な作業だが、この先数十年にわたり、これらをしっかりと封じ込め続けなければならない。

 その大問題にはほとんど前例がない。日本が自分たちで答えを出さなければいけない。その点からも国が責任をもって後始末の方向を明示すべきで、事業者まかせにならぬようにしてほしい。それには、さまざまな立場の専門家が意見を出し合って、対策をよく考える必要がある。現状はどうだろうか、手を抜かず正面から取り組め、と言っておきたい。それにつけても、もっと情報をオープンにすることが大切。公開性、透明性はぜひとも必要。原子力三原則の「自主・民主・公開」の原点に立ち返るべき時点にきている。

 たとえば、東京電力は炉心の核燃料を回収する計画を発表しているが、果たしてこの状態から溶けてぐちゃぐちゃになった燃料を完全に取り出せるのか。この動画では内部の状態がわからないが、主要な構造や建造物の外観形状は無事だとしても、汚染された建物や機材までをとなると大変。原発全体を片づけるのには、膨大な費用がかかるだろう。それと、同時に忘れてはならぬことは、全体としてものすごい被曝(ひばく)量が予想される作業になる。住民感情を考えると、完全に更地に復元することが望ましいが、現実的な選択肢として、ここを回収しきれない放射性物質などの半永久的な貯蔵地として、使わせてもらうことをお願いしなければならないこともありうるのではないか。
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すみた・けんじ 1930年、大阪府生まれ。大阪大学名誉教授。原子力安全委員会委員、同委員長代理を歴任。日本原子力学会会長も務めた



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