第91回 ヒット・チャートで1番になったビートルズと、ビートルズのそっくりさんライヴ『レット・イット・ビー』 |AERA dot. (アエラドット)

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第91回 ヒット・チャートで1番になったビートルズと、ビートルズのそっくりさんライヴ『レット・イット・ビー』

文・小熊一実

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 ビートルズの解散は、1970年4月10日、28歳のポール・マッカートニーが脱退を発表したときにさかのぼる。ジョン・レノンもまだ、29歳だった。このあと裁判沙汰になり、法的に正式に解散したのは、71年ということになる。

 もっとも、ビートルズ4人揃っての活動がなくなったというだけで、4人がそれぞれにソロ活動を続けたことは、言うまでもない。ポール・マッカートニーは、最近も来日して、日本のファンを喜ばせている。

 一方、ビートルズ関連の商品も定期的に販売されている。
 ビデオ・テープが発明され、一般発売されると、映画の『ハード・デイズ・ナイト』『ヘルプ』『マジカル・ミステリー・ツアー』『イエロー・サブマリン』などがパッケージ・ソフトとして販売された。その後、レーザー・ディスクになり、DVDになり、ブルー・レイと新しいメディアの誕生と共に再発売され、そのたびに話題になった。そして、熱烈なユーザーはその最新のメディアを購入し、「映像がきれいだ! 音が素晴らしい」と喜んだ。わたしも、レーザー・ディスクとDVDは一通り購入し、持っている。そういえば、レーザー・ディスクで映画『レット・イット・ビー』が発売されたが、すぐに販売中止となり、当時、数万円のプレミア料金がついたものだ。そして、映画『レット・イット・ビー』は、現在でも正式なパッケージ商品としては販売されていない。今、販売されているのは、いわゆる海賊盤だ。

 音源で言えば、LPレコードから、CDに移行してきた。最近では、ステレオとモノラルの2種類が併行して販売されたりもしている。LPも再発された。US BOXとして、米国盤のセットも販売された。マニアには説明不要だが、ビートルズの初期の頃は、米国盤と英国盤では、LPの曲目も順番も違っていた。日本盤というのもあって、これもまた、曲目も順番もジャケットも、米国盤と英国盤のどちらとも違うものだった。

 そういえば、わたしが中学生の頃に聴いていた日本盤では、演奏が始まる前にエコーのようなものが録音されていて、この音はなんだろう?と思ったものだ。録音テープの転写によるものらしい。英国盤や米国盤にはなかったものだ。

 とはいえ、メディアの変化に対応したものはともかく、新しい音源や映像ということで特筆すべきものといえば、『ザ・ビートルズ・アンソロジー』となるだろう。特に映像版は、ビートルズのメンバーの肉声と映像で、彼らの歴史を追うことができる。また、80年に亡くなったジョン以外のメンバーは、このプロジェクトのためにインタビューを受け、ビートルズの過去を振り返る映像もある。そして、その中には、ビートルズが演奏している姿やプロモーション映像も、多数含まれていた。それまで見たこともないジョンやポールやジョージの動く姿に、感動したものだ。あ、リンゴも忘れてはいけない。何しろ、ビートルズが来日した頃は、リンゴ・スターが一番人気があったのだ。

 さて、話は、2015年11月6日に世界同時発売された『ザ・ビートルズ1』についてだ。このシリーズ、英国と米国でヒット・チャート1位になった曲を集めたベスト盤の一種なのだが、いくつかのバリエーションが存在する。もともと、2000年に発売されたCD『ザ・ビートルズ1』の最新盤なのだが、今回は、音源だけでなく、映像もついているところが新しい。

 簡単にバリエーションを説明すると、CDだけ、DVDだけ、ブルーレイだけ、そして、それぞれの組み合わせ、ということになる。アナログ・レコードもある。そしてそのなかで、『ザ・ビートルズ1~デラックス・エディション(完全生産限定盤)(CD+2ブルーレイあるいはDVD)』は、特別だ。今回のポイントは、ヒット・チャート1位になった曲を映像つきで見ることができるということなのだが、このデラックス・エディションには、ボーナス映像ディスクとして、もう1枚ついている。そこには、オリジナル・ミュージック・ビデオの別ヴァージョンや、1位にならなかった曲の映像も入っているのだ。しかも、曲によって差はあるものの、その画像の美しさは驚嘆に値する。そして、サラウンド、ステレオともに、素晴らしい音質だ(ブルーレイの感想だ)。

 ビートルズの音楽は、学生時代からことあるごとに聴き続けている。今でもオークションで見つけては、英国オリジナル・モノ盤などを買ってしまうくらいだから、ちょっとやそっとのことでは驚かない自信があった。しかし、このブルーレイの2枚を見て聴いているうちに、中学や高校時代に記憶がさかのぼっていくような錯覚に襲われ、独りで感嘆の声をあげてしまった。これまで多くの時間をかけて探しまくり、高額な価格で手に入れた海賊盤のビデオが無意味になってしまった瞬間だったが、それを越える感動を覚えた。見飽きるほどの映像も、聞き飽きてしまったかと思う音楽も、その質があがるだけで、新しい感動を導いてくれるものなのだと知った。

 それから、もうまもなくであるが、ビートルズのそっくりさんによるトリビュート・ライヴ『レット・イット・ビー』も開催される。ビートルズの様々な時代の演奏を服装や楽器もオリジナルに忠実に再現されるという。今回の日本公演では、66年の武道館ライヴも再現されるという。プロモーション映像の再現を生の臨場感で見ることができるかもしれない。
 それから、ビートルズの曲だけをライヴ演奏で聴かせる店もある。そのうちに、このコラムの名物企画(笑)『音楽の聴ける店に行こう』シリーズでも取り上げたいと思う。

 年末にかけて、ビートルズを楽しむなんて、素敵じゃないですか。 [次回11/25(水)更新予定]

■ライヴ情報はこちら
http://www.let-it-be-japan.com/index.html
■参考1:ビートルズの曲をライヴで聴けるお店「アビーロード」
http://www.abbeyroad.ne.jp/index.htm
■参考2:このコーナーの過去のビートルズ関連のコラムです
 第81回 ポール・マッカートニーが日本武道館でライヴをやるということ
 第60回 わたしが一番好きな時期のポール・マッカートニー
 第45回 あるがままに LET IT BE~レット・イット・ビー~
 第36回 Dream Powerジョン・レノン スーパー・ライヴ2013 その2
 第27回 ポール・マッカートニーがやってくる! その2
 第26回 ポール・マッカートニーがやってくる!


(更新 2015.11.11 )


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プロフィール

小熊一実(こぐま・かずみ)

 1956年生まれ。プロデューサー。このサイトの前身「JAZZ STREET」に引き続き、「Music Street」の企画編集を担当。ジャズ、ロックはもちろん、クラシック、歌謡曲からアヴァンギャルドまで、聴きまくっている音楽狂。音楽以外にも、落語会やロボット・イベント、映画も製作している。ここでは、ジャンルを超えて、趣味に走ったライヴ情報をお届けしたい。補足情報をfacebookに掲載します、見て下さい。https://www.facebook.com/kazumi.koguma

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