見てくださいこの美しい「タング」の数々! ダクソフォンて楽器だけど美術工芸品でもある(撮影/谷川賢作)
見てくださいこの美しい「タング」の数々! ダクソフォンて楽器だけど美術工芸品でもある(撮影/谷川賢作)
『リッスン・トゥ・ザ・ダクソフォン展』の会場に入ってすぐのところにあるインスタレーション「ダクソフォンの森」(音楽はもちろん内橋和久さん)。不思議な世界にひたれます(^o^)(撮影/谷川賢作)
『リッスン・トゥ・ザ・ダクソフォン展』の会場に入ってすぐのところにあるインスタレーション「ダクソフォンの森」(音楽はもちろん内橋和久さん)。不思議な世界にひたれます(^o^)(撮影/谷川賢作)

 世界には私たちが知らない楽器がまだまだいっぱいあります。少し前に、あざみ野コンテンポラリーvol.5『リッスン・トゥ・ザ・ダクソフォン展』に行ってきました。楽器を知ってもらうには、音を聞いてもらうのが一番てっとり早いので、まずはこの楽器の音色を聞いてみてください。(注1)

 どうです? おもしろい音でしょ! 初めての音体験ではないですか? この映像はきっかけにすぎないので、興味のある方はどうぞネット上の探索を経た後、ぜひ生でダクソフォンを体感してください(そのためには、内橋和久さんのライヴにみんなで行きましょう!)。今回はこの楽器の紹介を前フリとして、いつも堅苦しいなと感じていることについて楽に気ままに書いてみたいと思います。

 話がとぶのをお許し頂きたいのですが、私は自作の合唱曲のピアノ伴奏を、自分が弾く時には、書いた音符どおりに弾くことはまずありません。私が弾く時には、その日の合唱の響き、ハコの音響、ピアノのコンディションなどにあわせて、コードネームをベースに自由に即興で弾きます。「じゃ、なぜ曲集にする時には大譜表に音符を全部書くのよ?」と質問されると答えに窮してしまうのですが、それは譜面上でメロディとリズムを見て、コードネームを見て、そこからの発想で自由に弾けない人のために、あくまでも参考(基本形)として書いているのであって(あと、出版社には「納品」のルールというものがあるらしく……(^_^;))演奏のヒントのようなものなのです。誤解のないように言っておくと、そういう手法(コードネームで弾く)のほうが優れているからみんなそうしなさい、と言いたい訳ではありません。そんな風にやることも音楽を即興的に生き生きとさせる一つのすばらしい方法だし、どうしてそれがもっと広がらないのかな、といつも不思議に思っているからこその柔らかい提案がしたいのです。

「作曲という行為は一人の芸術家の世界を具現化したものであり、彼の言わんとすることのすべては譜面上にあるので、その探求と実音化に我が身を捧げなさい!」
 ちょっと皮肉に書きましたが、私はそういうスタイルをまったく否定しません。が、それが決して「音楽」、もっとオーバーに恥ずかしく言えば「音楽芸術」の主流(=誰もが目指すべきこと)ではないことを、今一度力説したいです。特に、こどもたちに向けて。

「リッスン・トゥ・ザ・ダクソフォン」=「ダクソフォンを聞こうよ!」でしょ。この楽器を試しに弾いてみたこどもが、「この音おもしろいね。でも今やってることって遊びだよね? もしこの音を音楽にする場合は譜面をください。きちんと練習します」なんて言う寒い会話は想像したくないのですが、あなたたちが普段合唱や吹奏楽をきちんと「アンサンブル=チームワーク」としてやっていることと、今ダクソフォンで「音実験」していることは、根底で通じているんだよ、どちらもすばらしい音楽の醍醐味じゃん! ということが、本当にこどもたちわかっているのかな? と時々心配になることがあります。そして我々おとなは、そのことを柔らかく目配せして伝えているのでしょうか? 「コンクールの存在は大きいからなあ。音楽はスポーツではないのだけど(ため息)。

 下記、内橋和久さんのインタビュー(注2)もぜひご覧ください。すてきです! 私と同じ「はみ出し者」(あえて、いじけた言い方(×_×))の仲間である、彼や「アートフォーラムあざみ野さんの仕事をほめちぎりたいです。 \(^O^)/[次回7/14(月)更新予定]

(注1)https://www.youtube.com/watch?v=mtu1fJhqOt0
(注2)https://www.youtube.com/watch?v=iSyGXvDsqsY

■谷川賢作 ライヴスケジュール
http://tanikawakensaku.com/live/