ニューポート・デイズ/ビル・エヴァンス
ニューポート・デイズ/ビル・エヴァンス

巨匠ビル・エヴァンス伝説のニューポート・ライヴ
Newport Days / Bill Evans (Cool Jazz)

 マイルス音源が手薄になったときを見計らってマイルス関連ミュージシャンの新音源をご紹介するコーナー内コーナー。今回はジャズ・ピアノの巨匠ビル・エヴァンスのライヴです。マイルス関連といえば、エヴァンスは当然として、前半の5曲に参加しているドラマー、フィリー・ジョー・ジョーンズとマイルスの熱い関係も忘れるわけにはいかないでしょう。ちなみにこのCDはベースはエディ・ゴメス、しかしながらドラムスがフィリー・ジョー・ジョーンズそして後半がエリオット・ジグムンドとなっています。その間の時差は約10年、新旧エヴァンス・トリオのニューポート・ライヴがたっぷり楽しめます。

 ニューポートのライヴといえば、先般クール・ジャズからマイルスとキャノンボール・アダレイを抱き合わせた『ニューポート・デイズ』が出たばかり。今後は音源が底をつくまでシリーズとして発売されるのでしょうが、ぜひぜひゲイリー・バートンとキース・ジャレットの共演ライヴを発掘してほしいものです。そう、あのアトランティックの名盤『ゲイリー・バートン&キース・ジャレット』の発売と同時期にニューポート・ジャズ・フェスティヴァルで行なわれたライヴ、聴きたい人はたくさんいると思います。

 さてエヴァンスのニューポート・ライヴですが、前半は同業ピアニスト、ビリー・テイラー、後半は人気ヴォーカリスト、トニー・ベネットの司会で登場という豪華版。そして前半の1曲目はいきなり《ナルディス》ときて、まあこれはちょっとたまらん構成ではあります。いずれのライヴも音質良好、エヴァンスの熱心なマニア以外にもお薦めできます。

 演奏でおもしろいのは、断然フィリー・ジョーとの前半5曲でしょう。一般的には水と油といわれて敬遠されることの多い顔合わせですが、そもそもエヴァンスは過激な顔をもった激情型のピアニストであり、フィリー・ジョーの熱量とよく合うのです。そしてエディ・ゴメスが中和剤のような役目を果たし、このトリオ、バランス的にも最高ではないかと思います。

 一方、エリオット・ジグムンドを加えたトリオは、もうなんというのでしょうか、いや、なんともいわなくていいと思いますが、お馴染みのあのトリオとしての演奏が、ここニューポートでもくり広げられています。安定、実直、適度な刺激と挑戦と、いかにもこのトリオらしい演奏がつづきます。こういうカップリングCD,ワタシ、楽しいので好きであります。それではまた来週。

【収録曲一覧】
1 Nardis
2 Very Early
3 Some Other Time
4 Who Can I Turn To?
5 I'm Getting Sentimental Over You
6 Sugar Plum
7 Up With The Lark
8 Twelve Tone Tune
9 Someday My Prince Will Come
10 Minha (All Mine)
11 I'm Your Own Sweet Way
(1 cd)

1-5:Bill Evans (p) Eddie Gomez (b) Philly Joe Jones (ds)
1967/7/2 (Newport)

6-11:Evans, Gomez, Eliot Zigmund (ds)
1976/6/25 (Newport)