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大人気絵本シリーズ「パンどろぼう」、初の公式ビジュアルブック『いとしい いとしい いとしの パンどろぼうずかん』発売
大人気絵本シリーズ「パンどろぼう」、初の公式ビジュアルブック『いとしい いとしい いとしの パンどろぼうずかん』発売
(C)Keiko Shibata/KADOKAWA 「パンどろぼう展」大阪会場チケット情報も公開 - 株式会社KADOKAWA 株式会社KADOKAWA(本社:東京都千代田区)は、絵本シリーズ「パンどろぼう」から、「パンどろぼう展」の本展覧会の主な内容が収録された『いとしい いとしい いとしの パンどろぼうずかん』を2024年8月19日に発売します。 『いとしい いとしい いとしの パンどろぼうずかん』ご紹介  大人気絵本シリーズ「パンどろぼう」、初の公式ビジュアルブックが登場! 多数の絵本原画や絵本のためのラフ、アイデアを収録。パンどろぼうを始めとするキャラクター紹介や誕生秘話、作者・柴田ケイコ氏へのロングインタビュー、著名人からの寄稿、パンどろぼうへ50の質問など、子どもから大人まで、パンどろぼうの世界を存分にまるごと楽しめる1冊です。(描きおろしジャバラロングポスター&ケース入り仕様) 全国書店や一部オンライン書店のほか、展覧会会場でも販売します。展覧会会場でご購入いただいた方には、会場限定特典をお渡しします。 ・中面を先行公開! ・ジャバラロングポスターイメージ ・書誌情報 書名:いとしい いとしい いとしの パンどろぼうずかん 原作:柴田ケイコ 定価: 2,530円 (本体2,300円+税) 発売日:2024年8月19日 判型:242mm×215mm 仕様:ジャバラロングポスター・ケース入り ページ数:112ページ ISBN:9784041149249 ・全国の書店にて発売予定  https://www.books.or.jp/book-details/9784041149249 「パンどろぼう展」大阪会場の詳細が発表 阪神梅田本店での大阪会場の情報が更新されました。 前売券は7月20日(土)10:00からローソンチケットにて販売開始! ・大阪展 チケット情報 ■開催日時 日にち:2024年9月11日(水)~9月23日(月・祝) 時間:10:00~20:00 ※入場は終了時間の30分前まで ※最終日は午後5時まで ■料金(全て税込) 前売券:一般1,100円、高校生900円、中学生700円、小学生400円 当日券:一般1,300円、高校生1,100円、中学生900円、小学生500円 ■販売期間 [前売券] 7月20日(土)10:00~9月10日(火)23:59 ※Web(スマートフォン・PC)での受付は、9/10(火)22:00まで [当日券] 〇ローソンチケット 9月11日(水)~9月23日(月・祝)16:00まで 〇会場  9月11日(水)10時~9月23日(月・祝)16:30まで ■販売場所 ローソンチケット(サイトオープンは6月26日(水)10時予定) 販売ページURL https://l-tike.com/pandorobou/osaka/ (Lコード53087) ※当日券は会期中、会場でも販売します。 詳しくは各公式サイトをご覧ください。 ・「パンどろぼう展」公式サイト:https://www.pandorobou-ten.com/
PR TIMES 2024/06/27 17:01
大人気の絵本「パンどろぼう」が持ち運びに便利なミラーになってガシャポン(R)に登場!表紙デザインが可愛い「パンどろぼう 絵本ミラーチャーム」発売!
大人気の絵本「パンどろぼう」が持ち運びに便利なミラーになってガシャポン(R)に登場!表紙デザインが可愛い「パンどろぼう 絵本ミラーチャーム」発売!
ディスプレイ画像 ~シリーズ最新作「パンどろぼうとほっかほっカー」含む全5種をラインアップ~ - 株式会社バンダイ 株式会社バンダイ ベンダー事業部(本社:東京都台東区)より、株式会社KADOKAWA(本社:東京都千代田区)が刊行する人気絵本『パンどろぼう』(作・柴田ケイコ)のガシャポン商品「パンどろぼう 絵本ミラーチャーム」(1回300 円・税10%込、全5種)を2024年6月第5週より全国のガシャポンバンダイオフィシャルショップ、玩具売り場・量販店・家電店などに設置されたガシャポン自販機シリーズにて発売いたします。 商品情報ページ: https://gashapon.jp/products/detail.php?jan_code=4570118233004000 ■商品特徴 大人気の絵本「パンどろぼう」の表紙がデザインされたミラーチャームです。表紙部分を左右にスライドするとミラーとして使用することができ、全種ボールチェーン付きなので好きなところにつけて持ち歩くことができます。 ミラーとしての実用性はもちろん絵本のミニチュアとして飾っても可愛いコレクション性も抜群の仕様です。 シリーズ最新作「パンどろぼうとほっかほっカー」含む全5種となっています。 ・商品名  : パンどろぼう 絵本ミラーチャーム ・発売日  : 2024年6月第5週から順次発売予定 ・価格   : 1回300円(税込) ・対象年齢 :15才以上 ・種類数  :全5種 ・サイズ  :縦約5cm、横約5cm ・製品素材 :本体:PMMA・PET ・生産エリア: 中国 ・販売ルート: 全国のガシャポンバンダイオフィシャルショップ、玩具売場、量販店、家電店などに設置されたガシャポン自販機シリーズ ・発売元  :株式会社バンダイ ・ラインナップ ※最新の情報・詳細は商品情報ページをご確認ください。 ※掲載している写真は開発中のため、実際の商品とは多少異なる場合があります。 ■『パンどろぼう』シリーズご紹介 柴田ケイコによる『パンどろぼう』をはじめとした絵本シリーズ。 シュールでお茶目なキャラクターが人気を呼び、 数多くの賞を受賞しています。 公式サイト: https://ehon.kadokawa.co.jp/pandorobou/ 公式X(Twitter)アカウント:https://twitter.com/pandorobou/ 公式Instagramアカウント:https://www.instagram.com/pandorobou_news/ ■ 著者プロフィール:柴田ケイコ 高知県生まれ。絵本作品に、「めがねこ」シリーズ(手紙社)、「しろくま」シリーズ(PHP研究所)、「パンどろぼう」シリーズ(KADOKAWA)などがある。 公式サイト: https://www.shibata-illust.com/ ■「ガシャどこ?PLUS」で気になるアイテムや取り扱い店舗をチェック! 「ガシャどこ?PLUS」を使えば、商品名や店舗名で販売状況を確認することが可能です。 気になるアイテムを売っているお店や近くのお店の販売状況を簡単検索!ぜひご活用ください。 ガシャどこ?PLUS:https://gashapon.jp/shop/gplus_list.php ■ガシャポンバンダイオフィシャルショップとは 「ガシャポンバンダイオフィシャルショップ」とは、バンダイのガシャポン(R)新商品をすべて取り揃えている専門店です。 ガシャポンバンダイオフィシャルショップ公式ページ: https://bandainamco-am.co.jp/others/gashapon-bandai-officialshop/ ■バンダイのカプセルトイ事業「ガシャポン(R)」について 1977 年、バンダイは、当時20円の自販機が主流だったカプセルトイ市場に、異例の100円機で参入しました。 ハンドルを「ガシャ」っと回すと玩具が入ったカプセルが「ポン」と出ることから自社のカプセルトイを「ガシャポン(R)」と名付けました。多彩なキャラクターと時代のトレンドに合わせた豊富なラインアップを商品化し、発売以来、幅広いお客さまのニーズに「答え」続けています。 現在では、電子マネー対応自販機「スマートガシャポン」やインターネットでの商品購入が可能な「ガシャポンオンライン」も展開。これからもバンダイ「ガシャポン(R)」は、カプセルトイ市場をリードしていきます。 ※本資料に記載されている情報は 2024年6月26日現在のものです。 (C)Keiko Shibata/KADOKAWA 「ガシャポン」は株式会社バンダイの登録商標です。
PR TIMES 2024/06/26 11:01
和楽器バンド、無期限活動休止前ラスト新春ライブ【大新年会2024】をLeminoで独占無料配信
和楽器バンド、無期限活動休止前ラスト新春ライブ【大新年会2024】をLeminoで独占無料配信
和楽器バンド、無期限活動休止前ラスト新春ライブ【大新年会2024】をLeminoで独占無料配信  和楽器バンドの無期限活動休止前最後となった新春ライブ【大新年会2024 日本武道館 ~八重ノ翼~】が、3月1日から3か月間Leminoで独占無料配信される。 今年1月7日に東京・日本武道館にて開催され、デビュー10周年イヤーの幕開けとなった同公演。ライブ中盤には、スペシャルゲストとして樽美酒研二(ゴールデンボンバー)もサプライズで出演し、TBS系『SASUKE』では山葵と四兄弟としてタッグを組む樽美酒が、ステージ後方の9メートルの綱をどちらが早く手のみでよじ登ることができるかを競う企画で会場を大きく沸かせた。また、和楽器バンドは、アンコールでは2024年12月31日をもっての無期限活動休止を発表すると共に、10周年イヤーの活動一つ一つと大切に向き合い活動していくことを日本武道館に集まったファンを前に約束した。 なお、和楽器バンドは4月24日にオフィシャルファンクラブ『真・八重流PREMIUM』会員限定イベントの【真・八重流総会2024】を開催する。◎配信情報Lemino『Lemino presents 和楽器バンド 大新年会2024 日本武道館 ~八重ノ翼~』2024年3月1日(金)18:00 ~ 5月31日(金)23:59まで配信https://lemino.docomo.ne.jp/contents/Y3JpZDovL3BsYWxhLmlwdHZmLmpwL2dyb3VwL2IxMDE2NDM=Photo by KEIKO TANABE、上溝恭香
billboardnews 2024/02/27 18:36
和楽器バンド、日本武道館で開催された恒例ライブ【大新年会】で全力疾走をファンに約束
和楽器バンド、日本武道館で開催された恒例ライブ【大新年会】で全力疾走をファンに約束
和楽器バンド、日本武道館で開催された恒例ライブ【大新年会】で全力疾走をファンに約束  和楽器バンドが1月7日に東京・日本武道館で開催した恒例の新春公演のオフィシャルレポートが届いた。 伝統的な和楽器をロック・サウンドと融合させ、文字通り唯一無二の存在感で国内外のファンを魅了し続けている和楽器バンド。1月7日、恒例の新春公演を【大新年会2024 日本武道館 ~八重ノ翼~】と題して開催、新旧を織り交ぜたセットリストを、進化した最新テクニックと解釈とで表現した、デビュー10周年イヤーにふさわしい幕開けだった。アンコールでは、2024年12月31日をもっての無期限活動休止を発表。思わぬ告知に会場はどよめいた。しかしメンバーはあくまでも前を向き、10周年イヤーの活動一つ一つと大切に向き合い、活動していくことを約束した。 「Overture~八重ノ翼~」に乗せてスクリーンに映し出されたのは、舞い降りてくる8枚の白い羽根。ステージが明転すると、その羽根が化身したかのように、鈴華ゆう子(Vo)を中央に据え一列に並んだ8人の姿が出現。大歓声が響き渡った。「和楽器バンドのライブへようこそ! 武道館、行くぞ!」と叫んだのは、ライブの盛り上げ役を担う黒流(和太鼓)。1曲目から怒涛のアッパーナンバー「愛に誉れ」(最新アルバム『I vs I』収録)を放ち、8人の強烈な個性は、視覚聴覚、あらゆる感覚を刺激していく。 1stシングル「雨のち感情論」を畳み掛けると、超絶的なギタープレイをポーカーフェイスで取り込みながら、鈴華の歌に寄り添うツインボーカルを美しく響かせる町屋(Gt & Vo)。ファンはペンライトを持った手を突き上げ〈Oi !〉コールで盛り上がり、瞬く間に一体感が醸成されていく。神永大輔(尺八)といぶくろ聖志(箏)が奏でるイントロの雅やかなムードを、山葵(Dr)の勇ましいカウントで一変。メジャー・デビュー・アルバム『ボカロ三昧』(VOCALOID楽曲のカバーで構成)の1曲目に収められている「天樂」を披露した。蜷川べに(津軽三味線)、亜沙(Ba)は髪を激しく振り乱してダイナミックに演奏。8人は圧倒的な歌唱・演奏テクニックを駆使しつつ、その技巧を上回る熱量によって会場を沸き立たせていた。 続いて披露したのは、デビューから8年を経て再びVOCALOID楽曲のカバーに挑んだアルバム『ボカロ三昧2』収録曲群。乱高下するメロディーラインを鈴華が軽やかに歌いこなす「フォニイ」、山葵がドラミングの傍ら中国語の語りを担う「いーあるふぁんくらぶ」を畳み掛け、ハッピーなムードで会場を包み込んでいく。スクリーンには、〈ウォアイニー〉というフレーズを歌い終え、指でハートマークをつくって「謝謝」と挨拶する鈴華の姿が映し出された。 「日本武道館にお集りの皆さん、新年明けましておめでとうございます! 今日この場所、日本武道館にて開催できたことを、本当にうれしく思います。集まってくださって本当にありがとうございます」と鈴華は挨拶。大新年会が10回目を数えること、中でも武道館での開催は最多であり、今回で5回目になることを明かすと、「年始からいろいろ大変なこともありましたけれども……少しでも明るい気持ちで楽しい時間を一緒に過ごせたら、と思っています」と、世情を慮った。 コロナ禍の規制が撤廃され、声出し解禁となって初の大新年会でもある本公演。声を聴かせてほしい、と呼び掛け、「和楽器バンドのライブに初めて来たよって言う人?」(手が挙がる)、「10回以上来ている人?」(より多くの手が挙がる)、「海外から来てくださった人いるかな? From overseas?」(何人もの手が挙がる)など、様々な質問をしてファンの声を求め、コミュニケーションを取っていた。 スペイシーな通奏音に水音が響くSEに乗せ、いぶくろが煌びやかな箏の音色で旋律を奏でていく。すると、ステージ後方に鈴華がせり上がって来て、白地に黒のレースをあしらったドレスの裾がたっぷりと広がった。手を動かすと羽根が飛散するなど、鈴華の舞いと映像とがシンクロ。幻想的な演出で「月下美人」を表現した。間髪入れずに繋げた「細雪」では、黒流が逞しい背中を見せながら大太鼓を強く打ち鳴らすと、山葵が躍動的な8ビートで斬り込んでいき、町屋のギターと蜷川の津軽三味線がユニゾンする。鈴華の独唱も、全員の音が重なるアンサンブルも、それぞれに美しい。 J-POPの王道を行く主旋律を誇りつつ、神永の尺八といぶくろの箏が古の情緒を添える「雪よ舞い散れ其方に向けて」は、雪の結晶が舞い散るスクリーンを背負ってパフォーマンス。亜沙と蜷川はステージ上段へと移動してプレイを繰り広げていく。ここまで3曲のブロックは、和の風情を前面に打ち出しつつ、和洋の楽器が融合したハイブリッド・バンドならではのダイナミックな見せ場を連続して繰り出し、その世界観に惹き込んでいった。 メンバーを呼ぶ声が止まない興奮状態のオーディエンスに向けて、「皆さん楽しんでますね~!」と語り掛けた鈴華。コロナ禍における規制が撤廃されたことから、「マスクが無い笑顔が見られるのは久しぶりで、すごくうれしいです」と声を弾ませる。「10年もやっていると曲数がいっぱいあるから、何をやろうか本当に悩ましい。メンバーで話し合って決めたプログラムでお届けしております。今日しかないセットリストなので、楽しんでいただければと思っております」とファンに呼び掛けた。 「10年経つとね、変わります、いろいろ」と切り出した亜沙だったが、挙げた例は全て町屋の珍エピソードだったため、メンバーからも客席からも笑いが起きた。この10年を「第二の青春時代でしたね」と振り返った鈴華は、「和楽器バンドのメンバー8人が揃ったからこそ、初めて見た世界がいっぱい広がっていて、とにかく全てが新鮮で、たくさん経験させてもらったよね」と感慨深そうにコメントした。 町屋は「10年ものごとを続けるってとても難しいことだし、継続できることは素晴らしいな、と。30代の全てを和楽器バンドに注ぎ込んだ男なので」と笑うと、拍手が送られた。鈴華は、“八重ノ翼”というタイトルに因み、「舞扇子にメンバーのイメージカラー七色を入れ込んでみました。さらに、飛び立つような鳳凰を入れて、めでたい感じで」とデザインに込めた想いを明かし、「しっかり握りしめて祝舞を舞いたい」とメンバー愛を窺わせた。同時に、「いろいろな試みを詰め込んだライブにしていきたい。ライブは皆さんがいてくださってこそ完成されると思います」とファンの協力が不可欠である旨をコメント。声を出し、手を思い切り上げて共にライブを盛り上げてほしい、と呼び掛けた。 『I vs I』収録のドラマティックなミディアム・ナンバー「生命のアリア」を荘厳な照明と映像演出の中で披露した後、恒例のスマートフォン撮影・SNS投稿OKのコーナーへ。まずは、シンセベースに乗せた神永の尺八ソロ「虚夢」。続いては、電子和太鼓を打ち鳴らす黒流と2人の太鼓隊による3人のセッションがスタート。さらには神楽鈴を手に鈴華が登場、日本壮心流の2人(入倉慶志郎、入倉真之将)を迎え剣舞を繰り広げる「破邪の儀」を届けていく。 蜷川と町屋による津軽三味線&アコースティック・ギターセッションでゆったりと始まった「焔」。夕焼け色に染まっていくステージに亜沙と山葵が合流し、町屋は瞬時にエレキギターに持ち替えて、一気に聴き慣れた本来の「焔」のハードロックの世界へと会場を塗り替えていく。亜沙のベース音は耳だけでなく身体全体に響き、重厚なアンサンブルを支えていた。各自スポットを浴びながらエレキギター、ベース、ドラム、津軽三味線を激しくかき鳴らしていき、再び4人で音を重ね始めると、ステージは一気に明るさを増していく。 音を鳴らす喜びに満ちたメンバーの表情がスクリーンに映し出され、掻き回しの中で8人がステージに集結。蜷川が弾く三味線のイントロが鳴った瞬間、「おお!」と会場がざわめき、ライブに欠かせない人気曲「吉原ラメント」が始まった。和傘を手にして身を揺らしながらステージを端から端まで動き回り、花魁口調の歌詞をたおやかに歌う鈴華。神永と蜷川が向かい合って笑顔で演奏、かと思えば同時に町屋と亜沙は背中合わせになってプレイ。黒流と山葵は息の合った跳ねるリズムを打ち出していく。赤色が際立つ吉原遊郭のイメージ・アニメーションを背に、メンバーの生き生きとした姿、仲の良さそうな絡みがあちこちで目撃できる、ライブの醍醐味を味わえる1曲だった。 撮影タイムはここまでで終了。鈴華は「皆さん、完全にカメラマンでしたね」と観客を賞賛すると、話題は10年の歩みの振り返りへ。ミュージック・ビデオの懐かしい撮影裏話、2016年の初武道館ライブにまつわるエピソードなど、メンバーのクロストークで場を沸かせた。山葵は昨年末に出演した『SASUKE2023』第41回大会(TBS系)について語り始め、「ずっと皆さんにお伝えしたかったことがあって」と切り出した。自分自身を変えるため25歳から筋トレとスポーツを始めた経験を踏まえ、「人生いつから挑戦を始めても遅くない。人生で一番若いのは今日。これからも高みを目指して精進していきますので、見守ってもらえたら」と熱く呼び掛けた。また、黒流は、次世代に本物の音を届けるため、コロナ禍でスタートした“たる募金”プロジェクトについて語り、本物の楽器に触れてもらう機会として、この日は和太鼓を会場に飾っている旨をアナウンス。和楽器バンドとしての活動から発展して、メンバーが多様な視点を持ち、次世代へとメッセージを届けようとしている姿に感銘を受けた。 「次の曲は、白に包まれる世界で」(鈴華)と述べ、スマートフォンのライトを灯す協力をファンに呼び掛けると、和の情緒を湛えた名バラード「オキノタユウ」を披露。モノクロの海原を進む船、どこか懐かしさを感じる田園風景、空に羽ばたく鳥などが背後には映し出さていく。それは、直前のMCで語られた、それぞれの視点での未来への想いとリンクして感じられた。 「腹から声出せ! 騒ぐぞ武道館!」と黒流が煽り、「The Beast」(アルバム『I vs I』収録)からは再びテンション高く盛り上げると、そのボルテージを保ったまま「ドラム和太鼓バトル~対決武闘館~」へ。黒流と山葵のバトルは和楽器バンド恒例だが、この日はスペシャル仕様で繰り広げられた。「皆さんの邪気を祓いたいと思います!」と黒流は呼び掛け、2023年にあった嫌なことをファンは拍手に込め、音という形で黒流に投げる。黒流は受け取った邪気を山葵に投げ、次は山葵が黒流に、という具合にチャッパとシンバルをグローブ代わりに「カキン! カキン!」と鋭い音を鳴らしながらキャッチボール風のバトルがスタート。そこに太鼓隊(山田ケンタ・橋口隆之)が加わって4人でのラリーが続き、最後は「カキン!」という音が遠ざかっていき、「皆様の邪気が祓われました」という黒流の宣言で対決は終了。 かと思いきや、「倒したい最強のライバルをお呼びします」と山葵が告げ、煌々と輝くステージ後方にせり上がってきたのは、思いもよらないスペシャルゲスト。割れんばかりの大歓声の中「盛り上がってますね~!」と言いながら会場を見渡したのは、『SASUKE』では山葵と四兄弟としてタッグを組む樽美酒研二(ゴールデンボンバー)である。「音楽でもSASUKEでも、あなたに勝ちたいんです」と闘志を燃やす山葵に、「山葵くん。俺、音楽やってないから。得意なのはSASUKEだけ」とエアバンドであることを再認識させて観客を笑わせる樽美酒。ステージ後方には9mの綱が2本吊るされ、どちらが早く足を使わず手のみでよじ登ることができるかを競った。「山葵!」「研二!」という応援の掛け声に後押しされ、山葵が一足早く登頂。「応援ありがとう! 勝ったぞー!」とガッツポーズ。「先輩に花を持たせるのが普通じゃないの?!」と冗談めかして山葵をツッコミながら、樽美酒は「うちの山葵がお世話になっております。今回のSASUKEで結果が出せたのは、皆さまの応援のおかげだと思っております」とファンに挨拶。「ほら山葵、あんたからもお客様にお礼を言いなさい」と家族目線でコメント。最後には「じゃあね、お母さん帰るけど、一人で大丈夫?」と母親目線に。「引き続き和楽器バンドさんのライブを楽しんでください!」と会場を大きく沸かせて花を添えた。 「8人揃って、またここから盛り上がって行こうか!」と鈴華が叫び、ラストスパートを掛けていく。『ボカロ三昧2』でカバーした狂騒的なボカロ曲「ベノム」でボルテージを上げ、「星の如く」(すとぷりへの提供曲をセルフカバー)ではタオル回しで盛り上がり、一体感をさらに強めていく。「一緒に歌ってくれるかな~?」(鈴華)と叫んで始まった「暁ノ糸」は、次々と切り替わっていく自然界の映像をバックに、エモーショナルな歌と演奏を届けていく。山葵、亜沙がマイクを通さずとも口を大きく動かし、歌いながらプレイする姿が映し出され胸を打たれた。曲を披露し終えると一人一人の表情が画面にアップになり、ステージを去って行った。 会場からは〈堰を切って〉と「暁ノ糸」を歌い出すファンの声と手拍子が響き、それに応えるようにメンバーは再登場。鈴華はアンコールに感謝を述べた後、「今日はここで皆さんに大切なお話をします、聞いてください。私たち和楽器バンドは、今年10周年イヤーである2024年の12月31日をもちまして、無期限の活動休止をさせていただきます」と発表。会場からは「え~!?」「嫌だ!」などの声が上がった。「それ以降はそれぞれの活動に専念することになります。『なぜこの場での発表を?』と思われる方がたくさんいらっしゃると思いますが、和楽器バンドが大切にしてきた、この大新年会という場が、より多くの皆さんと直接顔を合わせて、生の声でお話ができる場だと思って今日の日を選びました。今日は私が代表してお伝えしますが、今日以降、メンバーも発信していきます」と言葉を重ねていく。 鈴華はデビューからの軌跡を振り返り「怒涛のように日々が過ぎ去って行きました。大きな大きな夢を持ってスタートした異色のバンド。今日の日まで変わらず夢を持ち続けて歩んでこられたのは、支えてくださった皆さんのおかげだと思っています。メンバー8人共、心から、心から感謝しています。ありがとうございます」と語り、全員揃って深く礼をした。「個性豊かな面白いメンバーだからこそ、『いつも答えが一つか?』というと、もちろんそんなことはないんですね。それぞれしっかりと考えを持っているので、意見が分かれることもあります。だけど、一回も喧嘩してこなかったんです。皆大人だから、必ず寄り添うという側の立場に立つのを経験しながら、チームとして一つの答えを出す。それの連続でした。今回の、チームとしての一つの答えが、活動休止。これは人生の過程において、今の私たちには必要である、ということを……きっと皆さん今とっても複雑な気持ちでいらっしゃると思うんですが、どうか受け止めていただければと思っています。10周年以後の私たちは、和楽器バンドという枠に囚われることがなく、自由な発想と個人のそれぞれのペースで、よりパワーアップをするためのスタートライン(に立つの)だと思います」と語った。 鈴華は、和楽器バンドをアベンジャーズにたとえ、「一人一人がヒーローみたいなんですよね。パワーアップする時間、必要なんです。ずっと10年間、猛ダッシュで走ってきたからこそ必要な時間であるということを、どうかどうか、受け止めていただければと思っています。そして、私は和楽器バンドが今まで培ってきた音楽の力をとっても信じています。ライブって同じものって絶対に、二度とないんですよね。なので、今年10周年に行われる一つ一つのステージを噛み締めながら、最後まで走り抜きたいと思っています。そんな私たちの10周年、変わらず皆様が温かく応援していただけたら、これ以上うれしいことはありません。私たちの人生と皆さんの人生が交差して、同じ時代に生まれて生きていて、それで出来上がっているこの世界を私はとてつもなく愛おしく思っているし、とてつもなく掛け替えのない、宝物だと思っています。こんな世界を築いてくれた皆さんに、“生きる”ということを支えていただきました。いつもエネルギーの交換会をしてくれて、ありがとうございます」と、胸に置いた手をファンに差し伸べては戻すジェスチャーをする鈴華。「10周年は今日から始まったばかりです。大切に言葉を紡ぎながら、それぞれのメンバーも発信しながら歩んでいくと思いますので、どうか変わらず見守っていただければと思います。よろしくお願いいたします」としっかりとした口調で語り、再び全員で深く礼。ファンは大きな拍手を送った。スクリーンに映ったメンバーは神妙な面持ちで、スクリーンに映し出されたメンバーの中には目を潤ませている人もいた。 「2024年は始まったばかりだから、いただいたアンコールは、皆さんと一緒に歌える曲を用意しました。皆、力を貸してくれますか?」と鈴華は声を震わせながら、「今日は1年のスタートなんです。10周年を祝う大新年会なんです!」と明るく呼び掛け、「皆、力を貸してくれるか!? 皆の声を聴かせてくれる? 和楽器バンド、10周年行くぞ! 付いてこい!」と呼び掛ける、一語一語の区切りでメンバーの鳴らす合奏が後押しした。披露したのは「BRAVE」。『I vs I』のラストに収められたこの曲は、コロナ禍の暗いトンネルを抜けた先をイメージした、明るく晴れやかなシンガロング・ナンバー。「もう一曲、盛り上がっていけるか? 皆、これで終わりってわけじゃないから」と鈴華は呼び掛けて、和楽器バンドがブレイクした起点のナンバー「千本桜」を放ち、大いなる盛り上がりの中でライブを締め括った。 4人ずつ2組に分かれてステージの上手側、下手側へと出向き、ファンに丁寧に挨拶するメンバーたち。「ありがとうございました。和楽器バンドでした!」という鈴華の挨拶に続き、全員揃って三度目の深いお辞儀をすると、いつまでも鳴り止まない拍手の中、「また会おうね! 皆、10周年目もよろしく!」(鈴華)と再会を約束した。無期限活動休止の告知はあまりにも衝撃的な発表だったが、1年をかけてファンへの感謝を伝えていく姿勢は誠実そのもの。残された一つ一つのライブ、あらゆる活動により真摯に向き合うためには必要な発表であり、タイミングだったのだろう。メンバー8人と、それを支えるファンが共に過ごす濃密なデビュー10周年イヤーはまだ始まったばかりである。Text by 大前多恵Photos by KEIKO TANABE、上溝恭香◎セットリスト【Lemino presents 和楽器バンド 大新年会2024 日本武道館 ~八重ノ翼~】0. Overture~八重ノ翼~1. 愛に誉れ2. 雨のち感情論3. 天樂4. フォニイ5. いーあるふぁんくらぶ6. 月下美人7. 細雪8. 雪よ舞い散れ其方に向けて9. 生命のアリア10. 虚夢11. 破邪の儀12. 焔13. 吉原ラメント14. オキノタユウ15. The Beast16. ドラム和太鼓バトル~対決武闘館~17. ベノム18. 暁ノ糸〈ENCORE〉1. BRAVE2. 千本桜
billboardnews 2024/01/12 18:21
1月号 作家 五十嵐佳子 Igarashi Keiko 幕末の女たちと私をつなぐもの
1月号 作家 五十嵐佳子 Igarashi Keiko 幕末の女たちと私をつなぐもの
『凧あがれ 結実の産婆みならい帖』 朝日文庫より発売中  時代小説を書きはじめて、丸八年になった。私の作品の主人公のほとんどが仕事を持つ女性である。稲荷ずし屋、読売書き、巫女、酒問屋の女将、茶店のおばあさん……本書『凧あがれ 結実の産婆みならい帖』の主人公、結実も産婆としてひたむきに働いている女性だ。  それは私自身がずっと働き続けてきたことと無縁ではない。大学を卒業して二年目から、ライターとして数々の出版社に出入りし、さまざまな女性誌の編集者とタッグを組んできた。  コムデギャルソン、ヨウジヤマモトなど日本のデザイナーブランドがファッション界に飛び出していった時代だった。どの編集部も熱気に満ち、早朝から夜遅くまで灯りが消えることがなかった。  パソコンもワープロもファックスもなく、「ぺら」と呼ばれる二〇字×一〇行の原稿用紙に、一行一七字詰めなら一七のところに赤線をひき、原稿を書く。間違えたら消しゴムの出番で、直しが重なると原稿用紙はよれよれ、手の縁は鉛筆のすれで真っ黒になった。  編集部の隅には「お局部屋」と呼ばれる机が並ぶ一角があり、朝まで缶詰めになることもあった。白々と空が明るくなると、妙にハイな気分になって、ライター仲間と軽口をたたきあったことを今もよく覚えている。  子どもが生まれ、生後四か月で職場復帰したものの、保育園のお迎えがあるので、午後三時スタートの取材までしか引き受けられなくなった。「そんなライター、使えねえ」といわれたこともあったが、時間制限があるのを承知で、二人目の子を抱えてからも声をかけ続けてくれる編集者に恵まれたのは幸運だった。  ライター時代の前半は、生きがい、自分のキャリアなど、いわば自分のために働いていたのだと思う。  夫が突然の心臓発作で亡くなって、私が家の大黒柱になったのは四六歳のときだった。仕事への向き合い方がそれから変わった。子どもたちを育て生きるために原稿を書く暮らしがいやおうなく始まったのである。次につながるように腰をすえて仕事をするようになった。小さな記事でも、読者の胸に響くものに仕上げたいと取り組んだ。自分はどう思うかを自問することなしに原稿は書けないが、少しずつ深く考えられるようになった気がした。切れ目なく原稿を書きながら、自分の中の扉や窓が開いて、その先に広がる新しい風景に出会うことも増えていった。  水木しげるさんの妻・武良布枝さんの『ゲゲゲの女房』(実業之日本社)を企画・構成し、それを原案とした朝ドラが生まれ、裏方ながら、自分が作った本を多くの人に読んでもらう喜びを味わうこともできた。  節約料理、収納、ガーデニング、旅、インテリア、ダイエット、美容、ファッション、人生相談、占い……取材してはさまざまな記事を書いてきたが、五〇代からは主に女優や作家などの人物インタビューを担当した。  仕事を通してたくさんの人に出会った。取材でなければ会うことができない、各界の第一線で活躍している多くの人々に直接お話を伺うことができたのは、本当に貴重な体験だったと思う。忌憚なく話ができる一生の友人も見つかった。一方、弱い立場の者にマウントをかけずにはいられない人や不倫で飛ばされた人など、バラエティーにはことかかない。  フリーランスという不安と隣り合わせの仕事を、まがりなりにも続けてこられたのは、人に恵まれ、書くことが好きだったからというのに尽きる。一方、仕事を続ける中で私が感じた喜び、悩みは決して現代特有のものではないとも思う。 『凧あがれ』は『むすび橋』『星巡る』『願い針』に続く産婆・結実の物語だ。本書の舞台は、維新前夜の慶応三年、倒幕軍が攻めてくるという噂でもちきりの江戸。思い人が歩兵隊として出陣した女、天狗党の乱後の粛清で親を殺され水戸から逃げて来た娘、江戸に火がかけられたときに備える大店の女房……時代が変わろうとする嵐が吹き荒れる中、結実と同僚のすずはこうした人たちに寄り添い続ける。子育て中で仕事を満足にできないすずの肩身の狭さ、どこまでこのしわ寄せを引き受ければいいのかという結実のもやもやにも向き合っていく。結実とすず、どちらも私である。  同時に、世の中の移り変わりに翻弄される江戸を書きながら、今、世界各地で起きている紛争の悲惨さ、人々の苦しみを思わずにはいられなかった。人は歴史に学ぶことはないのだろうか、と。  今は結実たちと別れるのがちょっと寂しい。けれど結実たちはこれからも八丁堀でわちゃわちゃしつつも、女たちに笑顔で寄り添い続けると思っている。
著者から 2024/01/11 16:00
<ライブレポート>ベリーグッドマン10周年を3万人が祝福、憧れの甲子園で溢れた“ありがとう”
<ライブレポート>ベリーグッドマン10周年を3万人が祝福、憧れの甲子園で溢れた“ありがとう”
<ライブレポート>ベリーグッドマン10周年を3万人が祝福、憧れの甲子園で溢れた“ありがとう”  ベリーグッドマンが、11月18日に【ベリーグッドマン ~甲子園 LIVE 2023~】を兵庫・阪神甲子園球場にて開催した。  本公演は、ベリーグッドマン結成10周年と阪神甲子園球場100周年を記念したスペシャルライブ。阪神甲子園球場100周年記念事業アンバサダー(アーティスト)を務めるベリーグッドマンにとっては、ずっと目標に掲げてきた甲子園での念願のライブとなった。今年の4月から9月には【~Road to 甲子園~】と冠した47都道府県ツアーを完走。新たな決意とともに当日を迎え、またその思いを見届けようと全国からファンが詰めかけ、チケットはソールドアウトしていた。 開演時間を少し過ぎた頃、会場の大型ビジョンには「LIVE」の文字が映し出される。見えてきたのは、上空から見える3万人の観客で埋めつくされたリアルタイムの甲子園球場だ。そこからベリーグッドマンの足跡映像と続き、次にステージ裏にスタンバイするRover、MOCA、HiDEXの姿が映し出され歓声が上がる。そして甲子園のサイレンとともにライブが“プレイボール”すると、高校野球を観て制作したという、まさにこの聖地にふさわしい「ハイライト」が流れ出した。〈ずっと描いてた夢の場所へ〉との歌い出しで、高校球児とベリーグッドマンの思いが甲子園で重なり、胸が熱くなる。そのまま「チョベリグ」「Future」「ベリーグッド」とノンストップで進み会場のボルテージを上げていくと、会場もクラップやペンライト、タオルを振りまわし、11月の寒空の下でも熱気を帯びていく。次にMOCAが「ここで歌いたかった!」と叫び、数々のプロ野球選手が登場曲として起用した「ライトスタンド」、そして「ライオン」へと続く。そして「特に大切な曲」だと披露した「Hello」では、〈願えば叶う〉と会場全体でシンガロングした。 Roverが「阪神甲子園球場にようこそおいでくださいました。ベリーグッドマン最大規模のワンマンライブです。ありがとうございます!」と挨拶すると、すかさずMOCAが「なんか、アイドルになれた気分。すごい不思議」と、会場の新鮮な雰囲気に他のメンバーも頷く。またMOCAは高校3年生の時、春と夏の甲子園に出場したものの、ベンチに入れずスタンドから見ていたというエピソードも披露。17年後に戻ってきた甲子園はまた違う景色に見えていただろう。 2塁側にあるメインステージからダイヤモンドの形をした花道を通り、ホームベースをかたどったサブステージへと移動した3人。ここで「阪神タイガース、日本一おめでとうございます!」と、突如アドリブで「六甲おろし」を熱唱し、会場全体で大合唱がおこる。未だ優勝の余韻が残る甲子園は、さながら優勝祝賀会の雰囲気となった。実はこの時、登場曲にベリーグッドマンの曲を起用している、阪神タイガースの大山悠輔選手、中野拓夢選手も会場に駆けつけており、祝賀モードに手を振って応える姿も見られた。その後、「コンパス」「B.G.M」「1988」「Chill Spot」「ミクロコスモス」をメドレーで披露すると、HiDEXが口を開く。「ちょっとみんなにお願いがあるんです。今日僕誕生日なんですよね、ここに立てたことに感謝したい人がいて……まず、僕ら3人のオカンにみんな拍手してあげてくれへんかな」と話すと大きな拍手が巻き起こり、「この一曲は支えてくれた母親へ歌いたい」と届けられたのは「おかん~yet~」。そして、トミーズ雅ともコラボした「これからもよろしくな」、「この10年、真の思いは変わってない」と「Mic」をしっとり歌い上げると、ライブはいよいよ後半戦へ。 衣装チェンジしたメンバーが“べリグダンサー”と共にステージに登場すると、「オドリバ★ジャポニカ」で会場の雰囲気は一変し、一気にブチ上がっていく。ここから「GroovyでDancingなParty」「ウグイス(Remix)」とノンストップで駆け抜け、クラップとペンライトが乱舞。「ファンファーレ」では、「負けんなよ!」と応援団の3人が「フレー、フレー、フレー!」と背中を押す。本編最後、Roverが「嬉しくて嬉しくてたまらないです。皆さんに応援して頂いてここまで来られました。11年目、新しいベリーグッドマンと言いたいところですが、これからも変わらず歌に向き合っていく3人でいたいと思います。もう一回、同じ10年を味わわせてください」と挨拶。そしてメンバーにとっても憧れの場所、甲子園への感謝の気持ちを自分たちなりに表現したという、阪神甲子園球場100周年記念事業応援ソング「CLASSIC」を披露した。 アンコールでは、メンバーおよびべリグダンサーとともに、阪神タイガースのマスコットであるトラッキー&ラッキーがサプライズ登場。MOCAもタイガースのヘルメットに法被を着用し、「Good Time」では踊れ騒げのお祭り状態に。そしてアンコールでは、HiDEXのバースデーを全員でお祝い。人生最高の誕生日となったと語るHiDEXが「ここまで来るのも険しい道のりだったし、大変なこともたくさんあった。2人にムカついたこともあれば、自分自身にムカついたこともあるし、コロナでベリーグッドマンを辞めた方がいいんじゃないかと思ったこともあったけど、まっすぐまっすぐ進んできたから今日があると思います」と、「雑草」を披露した。続けて、コロナ禍で高校球児や多くの子供達が涙していた時、何かできないかとの思いでつくられた「Dreamer」へ。そして、同じくコロナ禍でメンバーも苦しい思いをしていた時にできたという曲「アイカタ」では、Roverはこの曲を甲子園でいちばん最後に歌いたかった、そして「相方(メンバー)のために歌わせてください」と語る。曲中、Roverが感極まり声を詰まらせる場面もあったが、そこへそっと寄り添うMOCAとHiDEX。ベリーグッドマンをDJとして支えるMANA-Bも加わり、4人ガッチリ肩を組み甲子園の空に花火が咲いて、ベリーグッドマンの甲子園ライブが終幕した。「応援してくれるみんなへの感謝祭にしたい」と語っていた今回の甲子園ライブ。冒頭から終わりまで“ありがとう”で溢れ、ベリーグッドマンとともに歩んだ全ての人へ、その思いがストレートに伝わったに違いない。また、ライブ終演後の取材で語られた「僕たちはスターにはなれないし、そこが目的ではない。スーパーヒーローになろうという気持ちで頑張りたいと思う」というRoverの言葉に、彼ららしさを感じた。この10年、ストレートな思いを歌うことで、常に誰かの背中を押し続けてきた3人。2024年の全国ツアーも決定し、甲子園ライブの翌日には、新曲「となり」もリリースされた。11年目をスタートさせたベリーグッドマンは、これからも“となり”に寄り添うスーパーヒーローでいてくれることだろう。TEXT:森島良子PHOTO:KEIKO TANABE / YUSUKE OKADA
billboardnews 2023/11/24 18:06
崎山蒼志、東名阪クアトロツアー完走 オフィシャルレポート到着
崎山蒼志、東名阪クアトロツアー完走 オフィシャルレポート到着
崎山蒼志、東名阪クアトロツアー完走 オフィシャルレポート到着  崎山蒼志が、10月29日に愛知・NAGOYA CLUB QUATTROで【3rd Album Release Tour -燈火-】の千秋楽を迎えた。以下、本公演のオフィシャルレポートを掲載する。 8月にリリースした『i 触れる SAD UFO』のリリース記念として行われた、今回の東名阪クアトロツアーは、崎山(Vo./Gt.)、有島コレスケ(Ba.)、守真人(Dr.)に加え、クジラ夜の街のギタリスト山本薫を迎えた4ピースバンド編成で行われ、本編では全18曲を立て続けに演奏。 アルバムの表題曲となる「i 触れるSAD UFO」からスタート。ぽつぽつと語るMCとは裏腹に「プレデター」では縦横無尽にステージを暴れまわり、崎山が全身から放つエネルギーで会場内も呼応するようにヒートアップ。アルバム曲を中心に構成されたセットリストの中、話題の「燈」でしっとり聞かせた後、デビュー曲「Samidare」でのギターかき鳴らしで一気にボルテージが上がり、会場内の熱気は最高潮に。ヒット曲「嘘じゃない」や「覚えていたのに」「I Don't Wanna Dance in This Squall」など披露し、バラエティに富んだ楽曲と変幻自在のギターとパフォーマンスで観客を魅了した。 最後は「太陽よ」でこれぞ崎山蒼志という圧巻の弾き語りを披露。アンコールでは飽き足らず、ツアーのラストを飾るダブルアンコールでは、「i 触れる SAD UFO」を再披露。すべてを出し切った充実感と熱気にあふれ、会場が一体となり大団円を迎えたツアーファイナルとなった。 また、12月22日には崎山蒼志のアーリーベストともいえるホールワンマンライブ【崎山蒼志 The Best 2018-2023】の開催も決まっている。Photo by KEIKO TANABE◎セットリスト【3rd Album Release Tour -燈火-】2023年10月29日(日)愛知・NAGOYA CLUB QUATTRO1. i 触れる SAD UFO2. In Your Eyes3. 舟を漕ぐ4. Pale Pink5. いかれた夜を6. 覚えていたのに7. Heaven8. I Don't Wanna Dance In This Squall9. プレデター10. Swim11. 嘘じゃない12. 翳る夏の場13. 燈14. Samidare15. 過剰/異常16. My Beautiful Life17. 水栓18. 太陽よEN1. 剥れゆく季節にEN2. 潜水EN3. i 触れる SAD UFO◎公演情報【崎山蒼志 The Best 2018-2023 】2023年12月22日(金)東京・The Garden Hall
billboardnews 2023/10/30 15:43
Novelbright「横浜アリーナまで10年掛かりました」、結成10周年ライブのレポート到着
Novelbright「横浜アリーナまで10年掛かりました」、結成10周年ライブのレポート到着
Novelbright「横浜アリーナまで10年掛かりました」、結成10周年ライブのレポート到着  大阪発5人組ロックバンドNovelbrightが、【結成10周年記念LIVE「Novelbright LIVE TOUR 2023-ODYSSEY-FINAL SERIES-」】を開催した。 9月24日の地元大阪・大阪城ホール公演に続き、10月15日には神奈川県・横浜アリーナにてファイナル公演を実施。懐かしいナンバーも織り交ぜた集大成的なセットリストを用意し、日本全国、更には海外からもこの日を共に祝うため駆け付けたファンと共にバンドの節目を祝った。 始まりを告げる厳かなチャイムが鳴ると、スクリーンには、2013年の結成から路上ライブ、メジャーデビューといったバンドの歩んできた歴史をアニメーションと英文による“叙事詩”で表現した映像が映し出された。ズームバックすると、それを控室で観ている竹中雄大(Vo.)の姿が現れる、という演出。カメラは控室を出て廊下を歩く雄大を追い、山田海斗(Gt.)、沖聡次郎(Gt.)、圭吾(Ba.)、ねぎ(Dr.)らと合流、いよいよステージ袖へと辿り着く。会場には「時を刻む詩」のイントロが鳴り、アリーナにせり出したセンターステージに5人は登場、ファンは大歓声を上げた。歌詞にあるように、Novelbrightの<ここまでの険しかった道のり>を描き、<50年後の未来>もファンと共に刻むことを約束するこの曲を、メンバーは互いに向き合ってエモーショナルにパフォーマンス。ライブはのっけから深い感動に包まれていた。 5人はメインステージへと移動すると、「ランナーズハイ」がスタートし特効の火柱が炸裂。スクリーンが5分割され、メンバーがここで初めて大写しになる。雄大は「横浜アリーナ、序盤からもっとガンガン行こうぜ!」と煽って「開幕宣言」へ雪崩れ込むと、会場には明るいムードが見る見るうちに広がっていく。終盤、「横浜、聴かせてくれ!」(雄大)と呼び掛けて♪ラララでファンの声を求める。コロナ禍によるライブの規制が解除され、ようやく戻ってきた懐かしい情景だが、Novelbright にとっては、2020年のメジャーデビュー後、今年になって初めて体験した合唱なのだった。 「seeker」では一気にダークなモードに切り替わり、赤いレーザー光線が広大な会場に網を張るように巡らされ、ファイアーボールも噴出。聡次郎が掻き毟るギターリフが焦燥感を掻き立てる。ラスト、雄大が天を仰いで響かせたロングトーンには大拍手が起きた。圧倒した後に放った「嫌嫌」ではミラーボールが輝き、ピンクやグリーンなどポップなネオンカラーがステージを彩る中、ディスコ&ファンクに乗せ、女性一人称の詞世界を大人っぽく披露。こうした振り幅で驚かせ、オーディエンスの心を揺さぶるのもエンターテインメントの力であり、Novelbrightのレパートリーの多彩さの証である。 ねぎのドラムソロに乗せて手拍子が起き、イントロに乗せて雄大が「スタンドの人、元気ですか?」「二階の人、元気ですか?」「アリーナ元気ですか?」と呼び掛け、最後に「横浜元気ですか?」と尋ねると特大の歓声がファンから戻ってくる。始まった「ラストシーン」はTVアニメ『弱虫ペダル LIMIT BREAK』のオープニングテーマとしての書き下ろし曲だったが、この曲もやはり<辿り着くまでの道>を歌っており、10周年を迎えたNovelbrightの軌跡とも重なって聴こえる。映し出されるメンバーの表情は、晴れやかだったり感慨深そうだったり、心で何を思いながら歌い、演奏しているのかを想像させた。最後のサビはファンに声を求め、一体感の中で曲を終えた。<Wow Wow>というコーラスに続いて「ハミングバード」が始まると、ステージ背後からスモークが噴き出し、ピアノに乗せて雄大は歌い始める。ゆったりとしたビート感で始まりつつ、躍動的なリズムパターンを織り交ぜながら、5人の音が一つの塊となって大きな渦を生んでいく。冒頭の<Wow Wow>に戻り、ねぎのドラムロールが鳴り止みプツッと途絶えるように曲が終わると、「ありがとう」と囁いた雄大。会場は拍手に包まれた。スクリーンに海が映し出され「Friends for life」が始まると、ファンは手をウエーブさせながらリズムに身を委ねた。雄大の滑らかな英詞ヴォーカルに、圭吾のベースがカウンターメロディーのように絡んでいき、呼吸がピッタリと合った演奏を聴かせていた。 「今日はついにツアーファイナルということで。大阪城ホールもやってきて、先月10周年を迎えました」(雄大)と語り始めた後、感動のMCになるか? と思いきや、海斗の髪色が赤、黄色、今回は緑という信号カラーであることをイジって、画面に三分割で画像を映し出して笑わせた。 サングラスを着けた状態で初めてライブをしていたねぎが、一瞬外し、「カッコいい?」と尋ねるとファンからは歓声が上がり、「今月ハロウィンでしょ? 先取りしました。TRIK OR?」との呼び掛けには「TREAT!」と声が揃った。5人での雑談風トークが微笑ましく、和やかなムードが楽しめるのもNovelbright のライブの持ち味である。「皆さん、一体感作っていきましょうか?」(雄大)との呼び掛けから、「明日は月曜日ということで、月曜日にピッタリな歌を」と紹介して、Novelbright が新境地を見せたポップなラブソング「愛とか恋とか」を軽やかに披露した。圭吾がキーボードを操作してシンセベースを奏でているのも新鮮。スクリーンには、レコードプレイヤー、空、ひまわり、桜、落ち葉、雪の積もった樹の枝、座る人のいないベンチなど、想像を掻き立てるイメージの断片が次々と映し出され、ストーリーを想像させた。 続いて披露した新曲「面影」は、美しいメロディーに彩られたロマンティックなラブバラード。<君以外出逢わなくていい>という究極の恋を思わせるフレーズが胸を打つ。海の映像はやがて星空へと移り変わっていた。色とりどりの水玉模様を成す繊細な光のイメージ映像を背に、雄大が代表曲「ツキミソウ」を歌い始めると、立ち尽くして聴き入るオーディエンス。やがてバンド演奏が加わり、鮮烈な赤い照明に切り替わると、曲に込められた感情の高まりを5人で表現していく。演出によってではなく、5人の表現そのものによってこの名バラードの文学性に改めて気付かされた、迫真のパフォーマンスだった。「Cantabile」はブルーとグリーンのレーザー光線が放たれ、ミラーボールが天井に星空を作り出し、スクリーンにも宇宙空間の映像が投影された。雄大のヴォーカルにはパワーがあったが、同時に、微細なビブラートが掛かった透明な歌声はヒーリング作用を感じさせる。 じっくりと聴かせる曲たちで表現力の深まりを感じさせた後、メンバーはセンターステージへ。観客の距離の近さに驚き、「欠伸してたら分かるよ」(雄大)と笑っていたのは伏線で、次曲は<欠伸さえも愛しく思えた>と歌う「夢花火」。ピンスポットに照らされながら海斗が爪弾くギターで幕開け、雄大、やがて3人が合流するアコースティックアレンジで届けた。聡次郎のギターソロも情感豊かで美しく、まるで歌うような調べだった。 スペイシーでアンビエントなSEが流れると、会場のムードはまたしても一変。ステージの上段に海斗、聡次郎、圭吾、ねぎが並び4人だけでの「INST」セッションを披露した。海斗はアコースティックギターを弾いていた次の瞬間にはエレキギターのライトハンド奏法を見せつける。圭吾もスラップ奏法とメロディアスなフレーズ演奏と、ベーシストとしての二つの異なる顔を見せた。聡次郎の華やかなギターサウンド、ねぎのパワフルなドラミングもたっぷりと味わわせ、4人それぞれの見せ場を堪能させた「INST」を終えて階段を降りてくると、大拍手の中で雄大が合流。スクリーンには月夜の森のイメージが映し出され、ダークメロディアスなナンバー「夜空に舞う鷹のように」に突入、「INST」で高まった熱をそのまま注ぎ込んだ圧倒的な勢いのまま駆け抜けた。メジャーデビュー曲「Sunny drop」を放つと、歌も演奏もエンジン全開のパフォーマンス。メンバーが左右の花道へと頻繁に歩み出ていたのはこの曲に限らないが、定位置から離れられないねぎも、この曲ではスティック回しを繰り返しているのが見えて、溢れる気持ちが遠くまで届いてきた。 「バラードで休んだでしょ? 一緒に踊り狂おうぜ!」(雄大)と呼び掛けて「フォーリン・ヴィーナス」へ。ダンサブルなビートに乗せてファンは身を揺らし、<Wow Wow>のコーラスを重ねていく。「もっと行けるだろ、横浜!」(雄大)と更に煽り、自ら手を肘に打ち付けてクラップも誘導。海斗は激しく頭を振って、カッティングに没入している。横浜アリーナを埋め尽くすオーディエンスが手を挙げ、一斉にジャンプする光景は壮観で、大いに盛り上がる一曲となった。曲が終わって一旦静けさが広がると、声を嗄らしてメンバーの名前を口々に呼ぶ声が会場に響き渡っていた。 横浜アリーナでワンマンライブを行なうのは初であり、「横浜アリーナまで10年掛かりました」と雄大。「ようやくここまで来たな、じゃなくて、もっともっとここから行きたい」と勇ましく宣言すると大きな拍手が送られた。コロナ禍でメジャーデビューしたバンドであり、ファンが声を出すこのようなライブを行えるようになったのは「今年ようやく」だと感慨深そうに述べ、「ファンの皆のマスクをしていない顔を見たのも今年初」としみじみ語った。「どこから来たのか?」をファンに問い掛けると、日本全国から来場していることが分かり、更にはタイ、香港、イギリスなど海外から来たという声も挙がって、Novelbright の人気の広がりと結成10周年記念LIVEの特別さを改めて感じさせた。 イントロに乗せ「ラストスパート、しっかりとロックバンドしていけたらな、と思います。ここからは悔いのないように! いろんなこと我慢してきたんでしょ? 乗り越えたから今があるんでしょ? 音楽の力を噛み締めようぜ!」(雄大)と叫ぶと、「青春旗」を披露。タオルと手旗を握り締めて振り、ファンはNovelbright の音楽を全身で楽しんでいて、スクリーンに大きく映し出された幸せそうな表情に胸を打たれた。メンバーも満面の笑みで、圭吾と聡次郎は向かい合ってじゃれ合うようにしてプレイ。ステージの上、下の区別なく喜びや楽しさが溶け合うような至福の時間だった。 「Morning Light」では雄大がセンターステージへ移動し、更にステージを降りてアリーナ外周を練り歩きながら熱唱、ファンと至近距離でコミュニケーションした。メインステージへ戻ると、ねぎの周りに四人が集まってプレイ。「Wow Wow」のファンによる合唱が重なり、雄大は渾身の力を込めて歌い終え、4人はエネルギッシュな音でかき回し。「これこれ! ずっと求めてました、ありがとう!」と雄大は感謝を述べた。「Novelbright をつくって先月で10年になりました。ご存知の通り、オリジナルメンバーは俺だけで……」と語り始め、メンバー歴はまちまちであることに言及。“ODYSSEY”ツアーには「10周年に向けての旅路という意味があって。『オリジナルメンバーは俺だけ』なんですとずっと言ってたけど、正直、俺だけじゃ続かなかったと思います。この4人と出会ったお陰でこの日を迎えられた」と語り、「“この5人”で10周年でした!」と覚悟を決めるように明言した。結成以来、様々な歌を歌ってきながら「クソッ!ていうジレンマがずっとあった」と思い通りにならなかった悔しさを滲ませながらも、「この曲で横浜アリーナに来られたと思ってます」と告げて「Walking with you」を披露。Novelbright の人気、知名度を飛躍的に押し広げた特別な曲である。ファンへ向けて熱く語っていたセンターステージを離れ、雄大はメインステージへと向かって歩きながら歌い始める。4人の元に戻ると、各メンバーに近付いて目を合わせるように向き合うなどして歌い、“この5人”であることの大切さを噛み締めているようだった。ラスト、雄大を先頭にメンバーが続いてセンターステージへと移動し、感情が全開になった歌唱と演奏を轟かせる。跪いて仰け反った雄大は「最高だぜ、横浜!」と叫んだ。4人はメインに戻り、ねぎと向き合って最後の音を鳴らしてフィニッシュ。大拍手が響き渡った。 静まり返った会場で際立っていたのは、興奮を抑えきれない観客たちの、ひときわ大きなメンバーコール。温かなトーンのSEが流れる中、雄大は「いろんなことがあったツアーでしたけど、本当に初めて皆さんと一緒にめちゃめちゃいっぱい歌えて、物理的にも近い距離でやって……。辞めるタイミングなんて10年もあればいくらでもあったけど、この景色が見られたなら、Novelbright を守り抜いてよかった」と言葉を噛み締めた。「皆さんもたくさん大変な時を過ごしてきたと思います。コロナ、ウザかったから……。『なんで今?』と思ったし、初めての日本武道館はシーンとした中で、俺の中では正直、『武道館をやった』と言えない」と複雑な胸中も明かしていく。「俺らも今はこうしてキラキラ見えているのかもしれませんが、怠いなぁとか、明日が来なければいいのにとか思う時もある。皆と一緒です。どんなにニコニコしている人でも、家でも悩むことはもちろんあるし、悩みのない人間なんていないですから」とファンの想いに寄り添った。「今日来てくださっている皆が、あなたが、一人ひとりが、毎日過ごす、毎日生きていく日々の積み重ねって結構大変だよ? 大変な中、皆毎日生きていくということを諦めず乗り越えてくれたお陰で、俺らは10年間走り続けてこられた」と語り掛け、「皆さんに感謝してもしきれないほどの愛と感謝と、僕が逆にたくさんの元気と勇気をもらっています、本当にありがとう!」と述べると大拍手が起きた。「10年を振り返るのは今日までで、あとは進むだけなので、ここから見とけよ!という感じですよ。『ここまで来たぜ!』じゃなく、『こっから行くんやで?』という気持ちで。『付いてきて』じゃなくて『一緒に叶えていきたい』と思ってます」と頼もしいコメント。この先コロナ禍以外の大変なことが起きたとしても、「こんな時代を乗り越えた、こんな時代を勝った仲間がいますからね、ここにたくさん」と連帯感を繰り返し述べて、「皆のこれから先の未来を少しでも、とかじゃなくて全力で幸せにできる自信がある」と力強くコメント、これからもNovelbright の11年目、いや、死ぬまで! 共に生きていこうぜ!」と熱くシャウトした。 「この曲を歌える時が来たからね、聴かせてください!」と呼び掛けて、「Wow Wow」の朗らかなコーラスから始まる「拝啓、親愛なる君へ」を披露。歌というよりも叫びそのもののような感情剥き出しのヴォーカル、演奏で最高潮のボルテージに達すると、続いては「流星群」をしっとりと届けた。客席にはファンがスマートフォンのライトを揺らして“星空”を生み出し、スクリーンには流れ星が降り注ぐ夜空が映し出されていて、会場全体で眩い光の情景を立ち上げていた。「ありがとうございます! 11年目もよろしくお願いします!」(雄大)と感謝を述べて本編を終えた。 ファンは手拍子と共に<Wow Wow>と「拝啓、親愛なる君へ」の合唱パートを歌い始めて、そのアンコールに応じて圭吾がまずはステージに戻ってきた。INSTで暗い中ステージ上段へ移動する際、海斗のヘアが暗闇に浮かび上がり、「蛍光色のカツラが独り歩きしている」ように見えて「緊張がほぐれた(笑)」と笑わせると、照明スタッフに暗転をリクエストして再現。ステージ上も客席も区別なく、会場は大きな笑いに包まれていった。「全くしゃべっていない」と圭吾に指摘された聡次郎は「おはよう!」と明るく挨拶。メンバーも同じように「おはよう!」と代わる代わる挨拶し、男性ファンの雄叫びが沸くメンバーもいれば女性ファンの黄色い歓声を巻き起こすメンバーもいて、それに対するツッコミややっかみを言い合う場面も微笑ましかった。雄大が「60歳まで生きるとして……」と語り始めると、圭吾は「<50年先>って歌ってるのに、足りなくない?」と指摘する一幕に笑いが起きる一幕も。雄大は「70歳まで」に想定を延長しつつ、「ねぎくんが70歳の時にもその笑い方やったらめちゃめちゃおもろいけどな」と、聴く人を幸せにするねぎの明るい笑い声に言及。喉の強さを羨んでもいた。「今回、“ODYSSEY”というタイトルには、10年という意味も込めてますので、18歳の時につくった曲をやります」と「Photo album」を披露。スクリーンにはメンバーの表情が大写しになる。海斗のクリーンなアルペジオで幕開け、雄大はマイクスタンドを両手で握り締めて固く目を閉じ、切なさを帯びたメロディーを切々と歌い届けた。 曲を終えると、「来年はアルバムを出します。ツアーも回ります。今まででいちばんデカいこともやるので」(雄大)と今後の活動予定に期待を持たせると、「Novelbright の10年の道のりを込めた曲をつくりました。この後21時に配信されます」と紹介して新曲「ODYSSEY」をパフォーマンスした。ファンはステージ上の5人へと手を捧げ<Wow Wow>とコーラス。希望の光を感じさせ、高揚感に満ちたナンバーで、10年の道のりを慈しみながら未来へと駆け出していくようなパワーを感じさせた。 「僕ら毎回、ツアーの後に裏ファイナルをやっていて。10月18日、東京渋谷のO-Crestで250人の裏ファイナルやります」(雄大)と告知。その溢れるエネルギーには驚くばかりだ。「来年もいっぱいライブやりますんで、来てください」(雄大)と語り掛けた。10周年を到達点とすることはなく、理想を高く掲げ突き進んでいくNovelbright。彼らの11年目は既にスタートを切っている。Text by 大前多恵Photo by Keiko Tanabe、Kyoka Uemizo◎セットリスト【Novelbright LIVE TOUR 2023 ~ODYSSEY~ FINAL SERIES】2023年10月15日(日)神奈川・横浜アリーナ01.時を刻む詩02.ランナーズハイ03.開幕宣言04.seeker05.嫌嫌06.ラストシーン07.ハミングバード08.Friends for life09.愛とか恋とか10.面影11.ツキミソウ12.Cantabile13.夢花火14.INST15.夜空に舞う鷹のように16.Sunny drop17.フォーリン・ヴィーナス18.青春旗19.Morning Light20.Walking with you21.拝啓、親愛なる君へ22.流星群- Encore -23.Photo album24.ODYSSEYhttps://Digster.lnk.to/thesetlist_novelbright 
billboardnews 2023/10/17 16:46
<ライブレポート>梶浦由記のパレードはこの先も続いていく――30周年ライブ東京公演を振り返る
<ライブレポート>梶浦由記のパレードはこの先も続いていく――30周年ライブ東京公演を振り返る
<ライブレポート>梶浦由記のパレードはこの先も続いていく――30周年ライブ東京公演を振り返る  梶浦由記のライブツアー【30th Anniversary Yuki Kajiura LIVE vol.#18 ~The PARADE goes on~】の日本公演が8月20日にNHK大阪ホールにて幕を閉じた。 今年、See-Sawとしてメジャーデビューしてから30年という節目を迎えている梶浦の、その30周年を記念したライブが今回のツアーにあたる。本記事では、8月16日にLINE CUBE SHIBUYAで行われた東京公演2日目をレポートする。 本ツアーの醍醐味は、今年4月にリリースした梶浦のソロ・プロジェクト、FictionJunctionのアルバム『PARADE』の収録曲が軸に展開されていることである。今回、あえてゲストボーカルを招くことはせずに、梶浦が“歌姫”と呼び、アルバム『PARADE』にも参加しているKAORI、KEIKO、YURIKO KAIDA、Joelle、rito、LINO LEIAの6人がボーカルを務めていることは、後述する12月開催の日本武道館での【30th Anniversary Yuki Kajiura LIVE vol.#19「Kaji Fes. 2023」】が控えていることを考慮すれば、また趣向の異なるライブとも言えるだろう。 例えば、2曲目に披露された「夜光塗料」はアルバムではASCAがボーカルを務めているが、今回のライブではritoがその歌声を担っている。さユりへの提供曲「それは小さな光のような」(編曲は江口亮)は、本作『PARADE』でKEIKOをボーカルにして、今回のライブでも包み込むようなアレンジへと生まれ変わっている。そういった点では、アレンジはそのままに歌い手だけが変わるということはライブならではでもあり、6声バージョンとして披露された「蒼穹のファンファーレ」は、その最たる例である。 「ことのほかやわらかい」に始まり、「Parade」で幕を閉じる本編を経て、アンコールラストは「蒼穹のファンファーレ」と、アルバム『PARADE』をセットリストの軸に置きながら、梶浦の30年の軌跡を辿るような珠玉の楽曲が散りばめられているのも特徴的だ。それはFictionJunction名義にとどまらず、See-Sawや梶浦由記としての楽曲まで。LINO LEIAがボーカルを取ったFictionJunction YUUKA「暁の車」に始まり、「優しい夜明け」「君がいた物語」(See-Saw)、「zodiacal sign」(梶浦由記)、「stone cold」(FictionJunction)という怒涛の流れは、待ってましたと言わんばかりの会場全体の空気とその期待に応えようとする梶浦率いるボーカル、ミュージシャンたちの間にグルーヴが生まれていくのを感じるほどだった。序盤のMCで梶浦が「ご自由にお好きなように音楽を楽しんで」と話している通りに、着席スタイルで楽曲の世界観に浸るのもそれはそれで良さがあるが、お馴染みの振り付けで会場全体に一体感が生まれる「zodiacal sign」は、【Yuki Kajiura LIVE】を象徴する画と言えるだろう。 「stone cold」からMCを挟んで「moonlight melody」へと流れるパートで、梶浦は「ラララとかでもいいから歌ったり、踊ったりしてほしい」と会場に集まった観客に呼びかけていた。梶浦のライブでは誰がボーカル、コーラスという区別はなく全員がボーカルであり、さらにミュージシャンも「フロントバンドメンバーズ(頭文字を取って、FBM)」と呼び、例に挙げればメンバー紹介ではマニピュレーター(大平佳男)もしっかりとステージ袖から登場し、挨拶をする。これは梶浦の「ステージの上はみんなが主役」という思いが元になっており、彼女は会場に集まったファンに対しても「今日の主役はあなた」と伝えている。 この日、梶浦は会場が同じ渋谷だったということで2008年に渋谷O-WESTで開催された1stライブを回顧しつつ、その時に集まった約500人も、この日LINE CUBE SHIBUYAに集まったファンも変わらず、たった一人のあなたであると語りかけていた。たくさんの出会いや縁が繋がって、梶浦由記の“パレード”は形作られている。11月に台北、香港、上海を巡る【The PARADE goes on】のアジアツアーを経て、12月にはAimerやASCAといったゲストアーティストを迎える日本武道館2デイズでの【Kaji Fes. 2023】が控えている。ストーリーの主役はあなた――梶浦の変わらぬ思いを乗せて、この先もパレードは続いていく。Text by 渡辺彰浩
billboardnews 2023/09/11 18:16
小島慶子「『人権デューデリジェンス』の理解と実施を 芸能界の搾取の構造を今こそ改めて」
小島慶子 小島慶子
小島慶子「『人権デューデリジェンス』の理解と実施を 芸能界の搾取の構造を今こそ改めて」
エッセイスト 小島慶子    タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。 *  *  * 国連ビジネスと人権の作業部会は7月24日~8月4日にかけて訪日調査を行い、ステートメントを発表した(撮影/写真映像部・佐藤創紀)    ジャニーズ事務所の性加害事件は極めて悪質で深刻なものです。引き続き詳細に報じることが不可欠ですが、これを一事務所だけの問題として矮小化(わいしょうか)するべきではありません。問われているのは、エンターテインメント業界とメディア企業が、芸能界で働く人の人権を軽視してきたという極めて根深い構造的な問題です。それを強く指摘したのは、今年7月に来日して調査を行った国連ビジネスと人権の作業部会です。8月に出されたステートメントで「この業界の搾取的な労働条件は、労働者に対する労働法による保護や、ハラスメントの明確な法的定義の欠如と相まって、性的な暴力やハラスメントを不問に付す文化を作り出しています」と業界全体の人権軽視を問題視。女性記者の性虐待被害に放送局が一切の救済措置を講じないという事例や、アニメ業界での極度の長時間労働や不正な下請け関係、不当な契約についても言及。そうした事例の一つとしてジャニーズ事務所の問題にも言及しています。国連の作業部会は、ジャニーズ事務所だけを問題視しているのではないのです。ステートメントでは「あらゆるメディア・エンターテインメント企業が救済へのアクセスに便宜を図り、正当かつ透明な苦情処理メカニズムを確保するとともに、調査について明快かつ予測可能な時間軸を設けなければなりません」と厳しく指摘しました。メディア企業が「過去を反省し、勇気を出して報じ続ける」のなら、ジャニーズ問題のみではなく、放送局と芸能事務所が出演者やフリーランスのスタッフたちの人権を軽んじてきた実態と、構造的な問題をこそ掘り下げて報じるべきです。と、ある制作者に提言したら、「他に報じなくてはならないことがたくさんあるので」とかわされました。この体質を速やかに改め、人権デューデリジェンスの理解と実施を徹底してほしいです。 ◎小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。寄付サイト「ひとりじゃないよPJ」呼びかけ人。 【こちらもチェック!】 小島慶子さんのコラム「幸複のススメ!」はこちら! ※AERA 2023年9月11日号
小島慶子
AERA 2023/09/07 07:00
小島慶子「今日も誰かに『まさかの事態』 “幅広い国民”誰もが安心して暮らせる制度を」
小島慶子 小島慶子
小島慶子「今日も誰かに『まさかの事態』 “幅広い国民”誰もが安心して暮らせる制度を」
エッセイスト 小島慶子    タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。 *  *  *  人生には何が起きるかわかりません。事故や病気に襲われることも。万が一の時は、と伴侶と話している人も多いでしょう。 「そろそろ養子縁組をしようかとも考えている」。そう語っていた知人は不慮の事故に遭い、彼の長年の伴侶は、生死の境を彷徨(さまよ)う愛する人のそばに駆けつけることができませんでした。二人は同性カップルだったからです。知人の親族が病院に掛け合って、伴侶はようやく病室に付き添うことができたそうです。知人は伴侶の呼びかけに反応し、やがて意識を取り戻して、少しずつ回復に向かっています。  先日、ある裁判の報道がありました。伴侶を事故で亡くした女性が、事故の裁判に遺族として出廷することができなかったのです。同性カップルであることが壁となりました。自治体のパートナーシップ制度に登録していましたが、実質的な助けにはなりませんでした。女性は「養子縁組をしておけば」と悔やみつつ、亡き伴侶が望んでいたのは、同性婚で二人が公的に認められることだったと涙ながらに語りました。また、伴侶を犯罪被害で失い心身に打撃を受けて困窮した人が犯罪被害者等給付金を求めて起こした訴えが「異性の事実婚と同性の事実婚を同等に扱う社会通念が醸成されていない」と棄却された事例もあります。 【こちらもチェック!】 小島慶子さんのコラム「幸複のススメ!」はこちら! 今年2月、岸田首相の発言や秘書官(当時)の侮蔑発言を受け、性的少数者の当事者や支援団体は法整備を求める緊急記者会見を東京都内で開いた    岸田首相は同性婚について「法律的に制度化すると幅広い国民にさまざまな影響が出てくる課題だ」と一貫して後ろ向きの姿勢を示しています。今実際に、法律が整備されていないがゆえに国民に深刻な影響が出ているのです。世論調査では同性婚に6割以上の人が賛成しています。誰であっても大切な人と安心して生活でき、万が一の際には支援を受けられる制度こそが、幅広い国民に利するものです。今日も誰かに「まさかの事態」が起きています。同性婚実現に猶予はありません。 ◎小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。寄付サイト「ひとりじゃないよPJ」呼びかけ人。 ※AERA 2023年9月4日号
小島慶子
AERA 2023/08/31 07:00
SUGIZO率いるSHAG、【WHAT IS JAM?】集大成ライブで語った”次の夢”
SUGIZO率いるSHAG、【WHAT IS JAM?】集大成ライブで語った”次の夢”
SUGIZO率いるSHAG、【WHAT IS JAM?】集大成ライブで語った”次の夢”  SUGIZO率いるサイケデリック・ジャムバンド、SHAG主催のライブイベント【WHAT IS JAM? Vol.8 “THE 1st ANNIVERSARY”】が、8月11日に横浜ベイホールにて開催され、ライブレポートが到着した。 「この前のSHAGのライブはどうでした? 今、僕が一番やりたいのがこのバンドなんです!」……SUGIZOが私に向かって目を輝かせてこう言ったのは昨年の1月……2021年12月にSHAGのブルーノート東京公演に足を運んでから、1か月後にお目にかかったときであった。そして「日本でジャム・シーンをもっと盛り上げていきたい」とも。そのSUGIZOの思いが形となったのが、音楽の多様性・可能性に満ちたバイブラントなライブ・ジャム・シリーズ【WHAT IS JAM?】である。2022年8月11日に【Vol.1“New Dawn”】と題して船出を切った同イべントは、東京のみならず、神戸、京都、名古屋など各地で回を重ね、1年後の記念すべき8月11日に【Vol.8“THE 1st ANNIVERSARY”】が開催された。 会場となった横浜ベイホールは、本来は2階のホールへとつながるエントランス部分もMODULAR BOOTHと題してtatata5やYumi Iwaki、Kenichi Takagi、坪口昌恭、HATAKENが、それぞれユーロラック・モジュラーシンセなどによる演奏を繰り広げる。また、2階のホールでも会場後方にDJ BOOTHのコーナーが設けられ、この日はGIVE UP GUYSが出演。このあたりも【WHAT IS JAM?】ならではの魅力である。 そのGIVE UP GUYSがビートの効いた音楽を場内に響き渡らせ、観客はすでにテンションが上がっている中、記念すべき1周年のステージにトップで登場してきたのは、SHAGでもキーボードを務める別所和洋が率いる5人組のパジャマで海なんかいかない、だ。ネオソウルやジャズをルーツとしながらも、エクスペリメントなサウンドを追求するグループだけあって、エレクトリック・ベースのHarunaとドラムのSeiyaの繰り出す抜群のグルーヴとリーダーBessho(別所和洋)の洗練されたハーモニーの上で、FiJAとChloeが張りのある歌声で6曲を披露。のっけからハイ・エナジーなパフォーマンスに魅了されまくる。 2番手は、セネガル人で打楽器ジャンベの達人オマール・ゲンデファル率いるAfro Begue。SHAGでベースも務めるKenKenが2020年から参加し、昨年にはキーボードにNaotoを新たに迎えてさらにパワーアップした同バンドなだけに、強烈なアフロ・グルーブが繰り出され、そこにオマールのジャンベが炸裂するのだからして、盛り上がらないはずがない。さらに2曲目からサプライズ・ゲストでシアターブルックの佐藤タイジがギターで参戦して観客は大喜び。会場ごと揺れんばかりのノリノリ状態になっていた。 そして、3番手にいよいよSHAGが登場。2020年のファースト・アルバム『The Protest Jam』に収録の「Initiation of Rebellion」で幕を開けると、続いては完全インプロビゼーションによる演奏へ。類家心平の天空を突き刺すようなトランペット・ソロやSUGIZOのアグレッシブなギター・ソロが炸裂。結果、SHAGの持ち時間が切迫するほどの大熱演が展開され、演奏の最中にKenKenから「時間大丈夫?」という言葉が飛び出すほどであった。続いては、パジャマで海なんかいかないのChloeが加わり、1997年にリリースしたリミックス3部作のうちの『REPLICANT TRUTH?』に収録されていた「REPLICANT DELIVER...」を歌ったのだが、このバァージョンをライブで披露するのはこれが初めてということで、貴重極まりない。そして、ラストはChloeに替わってアルト・サックスのパトリック・バートリーが加わり、KenKen作曲の「KAMOGAWA」へ。マイナー調のバラードから一転してファンキーな16ビートが交互に登場する構成が特徴で、聴衆をどっぷりと曲に引き込みながら、同時に乗せまくっていたのが実に印象的であった。 さらに、SHAGのステージが終了後、SUGIZOは1階エントランスのMODULAR BOOTHでHATAKENとコラボを展開し、ベースのKenKenもホール後方のDJ BOOTHでGIVE UP GUYSと一緒にプレイし、観客の目を釘付けにしてもいたのも見逃せなかった。 その興奮冷めやらぬ中、4番手にステージに登場してきたのは、1995年に結成され、2006年にアルバム・デビューして以来、日本のジャム・シーンを牽引してきたSPECIAL OTHERSだ。SUGIZOは以前から同バンドに注目していて、今回の記念すべき【THE 1st ANNIVERSARY】の出演へと至った。先月の7月25日に配信したばかりの「Falcon」からスタートすると、今年5月25日に配信された「Bluelight」と6月25日に配信された「Bed of the Moon」と新曲を軸にし、加えて、それらの合間にその場のインプロビゼーションがかなり展開されていたのは特筆に値する。最後に人気曲「BEN」が飛び出したものの、スペアザをよく知るファンにとってはかなり新鮮なステージだったのではないだろうか。終演後にメンバー4人に聞いたら、やはり【WHAT IS JAM?】をかなり意識したとのことで、お互いにそれぞれの出方を見合いながら演奏をしていった、と口を揃えて言っていた。と同時に、スペアザのインプロバイズにおける底力を見せつけられたとも言え、非常に興味深いステージであった。加えて【WHAT IS JAM?】の持つ超が付くほどの重力……恐るべし! そのSPECIAL OTHERSの演奏が終了すると、ステージにはこの日出演した4つのバンドのメンバー、それにゲスト陣も含めた全員が登場しての一大ジャム・セッションへと突入。20人以上がところ狭しと一同に揃う眺めだけでも壮観だが、E7コード一発によるその場の完全インプロビゼーションの上で、それぞれがソロを回していく様も圧巻! 同じドラムを4人のドラマーが代わる代わる叩き、キーボードにはバンドからの鍵盤奏者に加えてモジュラーシンセサイザーで出演していた坪口昌恭も参入。ボーカルの女性ふたりもその場で即興の歌詞を付けて歌い、場内は興奮の坩堝と化す。そして、なによりも出演している当事者たちが心からこのイべントを楽しんでいるのが伝わってくる象徴的なシーンでもあった。 これまでの【WHAT IS JAM?】シリーズでも、ステージ上でSUGIZOとKenKenが一貫して発してきた言葉「What Is Jam? This Is Jam!」の通り、出演者と観客とが一体となって音楽を楽しむ……これこそがまぎれもなくジャムだ。イべント終了後、SUGIZOは「ここ数年の間にWHAT IS JAM? でのフェスを実現したい!」と熱く語っていたが、その日が確実に近づいているのが感じられる、大盛り上がりの【Vol.8“THE 1st ANNIVERSARY】であった。TEXT  石沢功治(Koji Ishizawa)PHOTO Keiko Tanabe◎公演情報【WHAT IS JAM? VOL.8 “THE 1ST ANNIVERSARY”】2023年8月11日(金・祝)神奈川・横浜ベイホールセットリスト<パジャマで海なんかいかない>Dream Journey shortTripLet Me KnowRainBetween the LinesElectric<Afro Begue>BegueDiogal DawalKhebateBoul bayi<SHAG>Initiation of Rebellionfree jam REPLICANT DELIVER... featuring ChloeKAMOGAWA featuring Patrick Bartley<SPECIAL OTHERS>FalconBluelightBed of the MoonBEN
billboardnews 2023/08/14 18:22
3年ぶりに帰国した日本人が驚いた「ヤバい日本」
3年ぶりに帰国した日本人が驚いた「ヤバい日本」
海外旅行地としての日本人気はとどまるところを知らないが…(写真はイメージ/Gettyimages) 2023年5月、コロナが感染症法の5類に移行されると同時に海外からの入国制限も撤廃され、観光業界ではインバウンドによる景気の促進が大きく期待されていると聞く。中国をはじめとするアジア各国からの観光客が主力なのだろうが、欧州の人々の間でも海外旅行地としての日本人気はとどまるところを知らない。  実際、イタリアに暮らす私の周りでも、「ようやく日本に行けて嬉しい!」と声をかけてくる友人、知人がとても多い。コロナ前からそういう人たちはもちろんいたのだが、今は待ってました!とばかりに友人たちは興奮気味。それに加えて、ちょっとすれ違っただけのような人まで私が日本人とみると、声をかけてくる。先日も病院で看護師さんたちが「私の息子は8月に日本へ行くチケットを予約したのよ!」「あら、私も行きたいけど、どこの代理店がいいかな?」と私に話しかけるでもなく盛り上がっていた。  日本の8月は暑くて気の毒だなあ、と思いながらも、自分の国が人気があるのはとても嬉しく、誇らしい気持ちになる。アニメが大好き、柔道をやっている、など日本が大好きという人は以前からいたが、そうでない“普通”の人たちが、「行ってみたい国」として日本をあげるのは、10~15年以上前にはそれほど多くなかったように思う。日本人気は今、日本人の私が思う以上に沸騰中のようだ。 日本って、変じゃない?  だがそんなイタリアの人たちの日本愛、そして日本の旅行業界や政府の期待をよそに、私は心配していることがある。それは、大きな期待を持ってやってくる旅行者たちが、期待通り満足し、日本への愛をキープしたまま帰国の途についてくれるだろうか、ということだ。  なぜそう思うかというと、実は私は昨年末、コロナで足止めを食らっていた多くの海外在住者同様、3年ぶりにやっと帰国することができた。その日本滞在中に「日本って変じゃない? 世界からズレてるよね?」という違和感をあちこちで感じたからだ。 東京・品川駅のホームに書かれていた案内図。色分けされ、一見わかりやすいようだが、よくみると英語表記はとても小さく、いろいろな文字が縦横入り混じり複雑だ/2022年12月 筆者撮影  インバウンドを期待し、観光立国たろうとするなら、日本の公共交通機関などの案内表示は、とてもお粗末で不親切だという気がした。もちろん、昔に比べたら英語、中国語、韓国語などの案内標識は各所で増えている。だが、まだまだ全然足りないし、内容が駅によって統一されていなかったりなど、わかりにくい。  あまりにわかりにくくて驚いたのが、京浜急行品川駅のホームで、地面に描かれていた乗車口や列車の案内表示。  何色もの色できれいに塗り分けられていて、××行きはここへ並んで、◯○に止まる列車は何両編成の列車の何号車で、と小さな文字でこと細かく書かれている。その脇に、付け足し程度の英語も添えられている。だが、その色分けの意味やら、何かを示しているらしい数字(おそらく電車の車両数)やら、英語やらが複雑に、縦横入り混じって書かれた案内は、じっくり時間をかけて解読しなければわからない。  急いでやってくる電車に乗る時に、パッと判断するためにはあまりにも複雑怪奇な説明だった。日本生まれ育ちの日本人で、読み書き理解に不自由のない私でもそうなのだから、外国人にとっては至難の業だろうと思った。  自分たちが作った案内表示などが、本当に見やすくてわかりやすいかどうかを、鉄道各社の皆さんは確認しているのだろうか? 日本人特有の丁寧さで時間をかけて細かく作ったことは一見してわかるが、それがイコール利用者に役に立つとは限らない。「日本は生産性が低い」とか「島国特有の自己満足」などという言葉を最近のメディアで時々目にするが、この駅の表示を見てそれらの言葉が頭に浮かんできた。そう考えると、欧米の観光客が満足するかどうかよりも、日本の未来が心配になってくる。あまり役に立たない作業に時間を割き、諸外国との競争に乗り遅れているとしたら、そちらのほうが深刻だからだ。 情報の不足は親切さでカバー?  複数の路線が入り混じり交差している都市部の駅では、切符を券売機で買うのも慣れていないと本当に大変だ。繰り返すようだが、日本生まれで30歳まで東京に住んでいた私も、今では複雑怪奇な路線図を見上げ、最終目的地を探し、乗り換えはどこで何線に乗って、だからいったい、いくらの切符を買ったらいいの?と悩むことしばしば。  幸い、日本にはSuicaやPasmoなど便利なものがあるので活用できればあまり頭を悩ませずに済むのだが、東京でSuicaを使って乗車し地方まで行ったら、降車駅ではSuicaが使えず、違反切符を買わされるなんていう落とし穴もあるらしい。ひと続きの旅なのに、途中で使えなくなるなんて、日本在住の人だって知らないのでは?と実体験を語ってくれたのは、オランダ在住の日本人フォトジャーナリストの女性だ。 某人気ラーメン店にて。人気のトッピングの説明も日本語のみなので、外国人観光客は適当に挑戦してみるしかない?/オランダ在住フォトジャーナリストKeiko B Gotoさん提供  そんなふうに不都合が起きた時、日本で活躍する強い武器が「親切さ」だ。駅の券売機の前で悩んでいる外国人がいれば、出てきて買うのを手伝ってくれる駅員さん。お年寄りや海外在住者がSuicaのチャージの仕方やスマホアプリの使い方、見方がわからないで悩んでいれば、さっとあちこちから手が伸びてきて代わりにやってくれて驚いたという話も聞いた。最近は物騒になったとは言っても、やはり日本は平和なのだ。スリやコソ泥が多い国からやってくる旅行者は、取られるのかと思ってビックリするという。英語苦手意識が強い人が多いのか、黙って手を出しやってくれようとするのだという。  だがそういう個人レベルの親切さで、サービスの不備をカバーするのは限度がある。各企業や団体で、外国人受け入れのためのシステムをもっと見直すべきではないだろうか。若い世代の観光客なら、そもそも駅の案内表示などに頼ることなく、地図アプリを活用してスイスイ歩くし、アプリの使い方に悩むこともない。  だが観光客は若い人ばかりではない。むしろ、ある程度の年齢を重ねている層の観光客こそお金をたくさん落としてくれるはずだから、大事にしなければならない。 環境問題についての意識が低すぎる  昨冬、欧州ではウクライナ戦争の影響でエネルギー費が高騰した。CO2排出問題とも相まって、イタリアでは暖房の設定温度は18度にせよ、という政府からのお達しが出ていた。  イタリアのほとんどの集合住宅は、ガスで温めた温水を巡らせるセントラルヒーティング暖房が一般的。温度設定は管理人室などでコントロールされていて、個人が勝手に変更することはできない。例年なら室温は25度程度に設定し、真冬でも家の中では半袖で過ごしたりする贅沢好きのイタリア人たちも、この冬は18度で我慢していた。18度がどれぐらい寒いかというと、私は家の中でもセーターの上にライトダウンが手放せなかった。それでもじっと座って原稿を書いていると手がかじかんでくる、そんな寒さだ。  寒い暮らしに慣れてしまったせいだろうか。東京で過ごした3週間はとにかく暑かった。レストランも、デパートも、駅の構内や電車の中も、暑くて暑くて、もはや快適を通り越し不快でしかなかった。ところが他の人たちはみんな涼しい顔をしてスマホを眺め電車に揺られている。日本人って変温動物なの? それとも暑くてつらいけど、行儀がいいから文句を言わずに我慢している? もしかしてコートの下は超薄着とか?  イタリアで今、市場に並んでいるイチゴ。形もサイズもバラバラだが、土と太陽の栄養をしっかり吸い込んだ力強い味がする/2023年6月/イタリア・トリノ/筆者撮影  エネルギー不足、そして環境問題が大きく心配される今、あんなふうにエネルギーを贅沢に、無駄に使うのは、思い切り意識が低すぎるとしか言いようがない。かつて、日本のていねいな「お客様は神様」的サービスは素晴らしいと信じられてきたが、環境破壊を食い止める必要がある今、鉄道各社は考えを改めるべきだ。今年の冬は暖房は控えめにして、環境への負荷をできるだけ抑えます、皆様ご協力お願いいたします、と宣言したほうが、最終的には利用者からの評価も上がるのではないだろうか? 全員がコートを着ている電車なんか、暖房は限りなくゼロに近くしたっていいはずだ。 クリスマスにイチゴを食べたがる日本人  イタリアでこんな記事を見た。  タイトルに書かれているイタリア語「Giappone, 100 euro al kg per le fragole “al cherosene” 」、これを直訳するなら「日本、灯油風味のイチゴ、キロ100ユーロ」となる。ニューヨークタイムズに掲載された記事をもとに書かれた、この皮肉たっぷりのイタリア青果業界誌の記事は、日本の美しく立派なイチゴを紹介しながらも、その生産方法に大きく疑問を投げかけている。  いわく、日本人は地産地消を大切にし、旬の走りのものに高いお金を出すことを惜しまない国民性があるが、そこから発した極端な「イチゴマニア」を満足させるために日本のイチゴ農家がとった方法は、環境に深刻な影響を与えている、とある。  本来、春から初夏の産物であるイチゴを、クリスマスに合わせた寒い時期に無理やり生産するため、温室を温める灯油が大量に使われているのだ。記事に記されている、イチゴ生産によるカーボンフットプリント(※)はぶどうの8倍、みかんの10倍以上になるというデータは、イタリア人記者が勝手に書いたものではなく、滋賀県立大学で環境問題を研究する吉川直樹氏の調査結果だ。 (※カーボンフットプリントとは、商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算して、商品やサービスにわかりやすく表示する仕組み)  世界中で干ばつや豪雨、熱波や森林火災など異常気象による被害が増え続け、食糧生産などにも深刻な影響を与えている今、クリスマスに真っ赤なイチゴがたっぷり乗ったショートケーキを食べることのほうを優先し、環境問題は見てみないふりをする日本人の自分勝手さを知ったら、欧米の人々はどう思うだろう。ちなみにクリスマスにイチゴショートを食べるのは、日本特有の習慣で、クリスマス本場の欧州にショートケーキは存在しない。  日本人は優しくて親切で、地震などの災害が起きても暴動は起きないし、忘れ物をしても必ず帰ってくる天国のような国と思い込んでいる外国人は多い。実際、本当にそういう部分もある。しかし世界中が深刻に環境問題を心配し、努力している時に、経済と消費者最優先の日本は、あまりにも遅れていると軽蔑されてしまうのではないかと、心配になるのだ。 いまだに多すぎるプラスチックと過剰包装  環境問題といえば、日本にはいまだにプラスチックがあふれているし、簡易包装を目指すと言いながら、イタリアに暮らし慣れた私から見たら、出羽守だと叱られるかもしれないが、まだまだ過剰包装だらけだと言わざるを得ない。分厚いプラ袋で個包装されたお菓子が、さらに何重ものきれいな箱に入れられている。日本の食材のゴミを捨てるたびにため息が出る。  こう書くと、「そんなことはない。日本だって努力している企業や個人はたくさんいて、とても先進的な取り組みをしている!」という声が聞こえてきそうだ。  確かにその通りで、勉強熱心な日本の企業や人々は、世界でもニュースになるような取り組みをしているケースもある。だがその何倍、何十倍もの企業、団体はいまだに古い体質で、環境問題よりも「お客様にきれいな状態の商品をお届けする」ことを重要視し、プラスチックの使用削減などが実現できていないのでは、という感じがとてもした。そして消費者もそれに慣れてしまっていて、あまり深く考えることなく、そのまま受け入れてしまっているのではないだろうか?  たとえば私がイタリアへ持ち帰るために買い込んだ日本食材の多くはプラスチック製の袋入りで、その背面には透明プラスチックの丈夫そうなプレートが入れてある。プラの使用量多いなあ、いったいこれはなんのために?と考えてみると、お煎餅や乾燥わかめが袋の中でずれたり、壊れたりしないためだとわかる。  商品がきれいに見えて、割れたり型崩れを起こさないことは売るために大事なことかもしれない。顧客の利益をとことん追求し、ていねいなサービスを提供することは日本の素晴らしい美徳だった。だが世界中でプラスチックフリー運動が起きている今、日本だけが変われずにいるように見える。自分ファーストでワガママな国民性のイタリアでさえ、もともとプラスチック製だったものが紙に変わるなど、どんどん変化しているのに。  たとえばスーパーでパックされた肉を買ってみると、肉が触る部分だけ薄いラップのようなもので覆われた紙製の容器に代わっている。イタリア人が朝食によく食べるビスケット、クッキーの類いは個包装されていない大袋入りで、開封後に湿気たり壊れて粉々にならないように工夫するのは、消費者側の問題、という姿勢は以前からだ。  日本が大好きで何度も日本を旅しているイタリアの友人も「日本のお菓子のパッケージなどは本当に素敵で美しいけれど、全然サステイナブルじゃないよね」と残念そうに、しかしズバッと、私に言った。こんなふうに思われて、日本から離れていく人が増える、日本を軽蔑する人が増える。それを私はとても心配しているのだ。
インバウンド
東洋経済オンライン 2023/07/26 07:00
元KalafinaのKEIKO、AL『CUTLERY』リリース
元KalafinaのKEIKO、AL『CUTLERY』リリース
元KalafinaのKEIKO、AL『CUTLERY』リリース  KEIKOが、ソロとして3枚目のアルバム『CUTLERY』をリリースした。  アルバムには、2022年7月から12月まで毎月連続配信リリースを行ったデジタルシングル「ひとりじゃないから」「Alcohol」「夜の嘘と」「キライ。」「Close to you」「天邪鬼」の6曲に加えて、アルバム用に新たに制作された新曲4曲を含む全10曲が収録されている。  CD発売に先駆けて、アルバムの先行配信も各配信サイトで行われている。 ◎KEIKO コメント  ソロ活動3年目にして3枚目のアルバムリリースという事、とてもとても嬉しいです。スピード感ある活動の中で『CUTLERY』を制作させて頂けて携わってくださった方々に本当に感謝の気持ちです。ありがとうございます。  様々な日常感、そして女性を主人公にした一曲一曲になっています。皆さんの好みの女の子、見つけて頂けたら嬉しいです。 ◎リリース情報 アルバム『CUTLERY』 2023/2/8 RELEASE <初回生産限定盤 CD+Blu-ray+アナログ盤(EPサイズ)+フォトブック48P> AVCD-63417/B~C 13,000円(tax out.) <CD+DVD> AVCD-63418/B 4,800円(tax out.) <CD ONLY> AVCD-63419 3,200円(tax out.)
billboardnews 2023/02/08 00:00
元KalafinaのKEIKO、AL『CUTLERY』ジャケ写・アー写・収録内容公開
元KalafinaのKEIKO、AL『CUTLERY』ジャケ写・アー写・収録内容公開
元KalafinaのKEIKO、AL『CUTLERY』ジャケ写・アー写・収録内容公開  KEIKOが、2月8日にリリースするルバム『CUTLERY』のジャケット写真とアーティスト写真、そして、アルバムの収録内容詳細を公開した。  気になるジャケット写真とアーティスト写真は、薄緑のチュールドレスに身を包み座り込むKEIKOの、透明感や儚さ、そして、どこか神秘さも感じさせる雰囲気が印象的なビジュアルとなっている。  また、初回生産限定盤のジャケット写真はアルバムタイトルの『CUTLERY』が表現された可愛らしいアートワークとなっており、美しさと可愛らしさが詰まった作品となっている。  アルバムの収録内容は、2022年7月から12月まで毎月連続配信リリースを行ったデジタルシングル「ひとりじゃないから」「Alcohol」「夜の嘘と」「キライ。」「Close to you」「天邪鬼」の6曲に加えて、アルバム用に新たに制作された新曲4曲を含む全10曲が収録される。  Blu-ray/DVDには、本作品のために収録されたスタジオライブ映像「LIVE Session at Amazon Music Studio Tokyo」が7曲も収録され、KEIKOの歌声の魅力が詰まった豪華なライブセッション映像となっている。  さらに、初回生産限定盤にはフォトブック48ページとアナログ盤(EPサイズ)が入った、豪華BOX仕様のスペシャルパッケージとなっている。 ◎リリース情報 アルバム『CUTLERY』 2023/2/8 RELEASE <初回生産限定盤 CD+Blu-ray+アナログ盤(EPサイズ)+フォトブック48P> AVCD-63417/B~C 13,000円(tax out.) <CD+DVD> AVCD-63418/B 4,800円(tax out.) <CD ONLY> AVCD-63419 3,200円(tax out.)
billboardnews 2023/01/12 00:00
肌だけでなく全身が乾燥する季節 「潤い体質」のための漢方ケアを専門家が紹介
肌だけでなく全身が乾燥する季節 「潤い体質」のための漢方ケアを専門家が紹介
漢方ケアで健やかな美を維持しましょう ※写真はイメージです (c)GettyImages  カサカサの乾燥肌(ドライスキン)、目の乾燥(ドライアイ)、口の乾燥(ドライマウス)、鼻の乾燥(ドライノーズ)……。空気が乾燥していると、身体のさまざまパーツで、不快な乾燥症状が起こりやすくなり、風邪などの感染症にかかりやすくなる心配も考えられるといいます。そこで今回は、日本の漢方のルーツである中国の伝統医学「中医学」の専門家が【乾燥対策】をご紹介。身体の中から潤う体質づくりを心がけ、乾燥シーズンを乗り切りましょう! * * * ■「腎(じん)」の衰えが潤い不足の要因に  最近では、乾燥によって起こるさまざまな症状を症候群「ドライシンドローム」として捉えるようになっています。その要因は、エアコンの使用、パソコンやテレビ、高カロリーな食事、口呼吸、睡眠不足など、多岐にわたる生活環境の問題と考えられていて、秋や冬の乾燥する季節は特に症状が起こりやすくなります。  中医学では、乾燥の症状は、身体の潤い成分である「津液(しんえき)」や「血(けつ)」が不足することで起こると考えます。また、身体の潤いの源となる要素「腎陰(じんいん)」の不足も乾燥を招く要因に。「腎」は加齢とともに衰え、腎陰も不足しがちになるため、年齢を重ねると身体の潤いは減少していきます。高齢の人は特に意識して、腎をケアするよう心がけましょう。  身体の乾燥が続くと、喉や鼻の粘膜が乾いて免疫力が落ち、かぜを引きやすくなったり、感染症にかかりやすくなったりする心配も。また、アトピー性皮膚炎の悪化や咳、便秘といったさまざまな不調にもつながるので、しっかりケアをして乾燥知らずの「潤い体質」をめざしましょう。  <チェック>カラダの中から乾燥対策!  身体の乾燥対策の基本は、五臓の「腎」の働きを整えて、潤いの源となる「腎陰」を充実させること。また、乾燥の症状に合わせて、「肺」、「脾胃(ひい)」(胃腸)、「肝(かん)」(肝臓)などをケアすることも大切です。 ■基本のケア「腎」の養生 <気になる症状>乾燥症状、ほてり、めまい、耳鳴り、髪が抜けやすい、白髪、記憶力の低下、腰痛、冷え、頻尿、舌の色が淡い、舌苔が少ない <改善ポイント> 五臓の「腎」にある「腎陰(じんいん)」(水や血などの身体を潤す要素)は、「全身の潤いの源」と考えられています。そのため、腎の働きが健やかで腎陰がしっかりあれば、身体の根本的な潤いを保つことができるのです。  腎は生殖、成長、発育などの働きを持つ臓器ですが、加齢とともにその機能が徐々に衰えがちに。同時に、腎陰も加齢に伴い減少し、年を取ると身体全体の潤いが不足してしまうのです。 「潤い体質」を保つためには、まず腎の働きを整えることが基本。高齢の人、慢性疾患のある人などは特に腎の機能が衰えがちなので、しっかり養生するよう心がけましょう。 <摂り入れたい食材>●腎を養い、潤いをアップする【豆類・種実類】くるみ、銀杏、松の実、クコの実、蓮の実、黒豆、黒ごま【野菜類】山芋、よもぎ、にら、黒きくらげ【魚介類】えび、牡蠣、なまこ、海藻類【肉類】牛肉、羊肉【香辛料】シナモン 腎を養い、潤いをアップする食材「黒豆」 イラスト:ねもとしょうが / PIXTA(ピクスタ) 【タイプ1】口の乾燥(ドライマウス) <気になる症状>口や喉の乾燥、味覚障害、口内炎になりやすい、舌が乾く※糖尿病、シェーグレン症候群、過食、ストレスなどの症状にも注意 <改善ポイント> 唾液の分泌が減り、口の中が乾燥する症状。ストレスや暴飲暴食などで「脾胃(ひい)」(胃腸)に負担がかかると、脾胃の潤いが不足して唾液も少なくなってしまいます。口や喉の乾燥を感じる人は、脾胃の働きを健やかに整え、潤いを養うよう心がけましょう。 <摂り入れたい食材>●胃腸の潤いを養う大根、百合根、りんご、豆腐、れんこん など 胃腸の潤いを養う食材「大根」 イラスト:eri / PIXTA(ピクスタ) 【タイプ2】鼻の乾燥(ドライノーズ) <気になる症状>鼻の乾燥感、鼻の中のかさぶた、鼻血、空咳、かぜを引きやすい、味覚の減退、舌の乾燥※慢性的な鼻炎、気管支炎、喘息などの症状にも注意 <改善ポイント> 鼻の状態は「肺」と関わりが深く、肺の潤いが不足すると、鼻の粘膜も乾燥しやすくなります。鼻や喉の粘膜が乾いていると、免疫力が落ちてかぜを引きやすくなる心配も。鼻の乾燥感やムズムズ感が気になる人は、肺の潤いをしっかり養うよう心がけましょう。 <摂り入れたい食材>●肺の潤いを養う梨、百合根、オレンジ、はちみつ、枇杷の葉、葛、白きくらげ、杏仁 など 肺の潤いを養う食材「百合根」 イラスト:Hanae / PIXTA(ピクスタ) 【タイプ3】目の乾燥(ドライアイ) <気になる症状>目の乾燥・ゴロゴロ感、目薬の使用回数が多い、視力減退、目のかすみ・痛み、舌の色が淡く乾いている※目の疾患、シェーグレン症候群などの症状にも注意 <改善ポイント> 目は「血(けつ)」が運ぶ栄養や潤いによって健やかに保たれています。そのため、血を十分に養い、血を蓄える「肝(かん)」(肝臓)の働きを整えることがドライアイ対策の基本に。また、目の酷使は血の消耗につながるため、長時間のスマホ使用などにも注意しましょう。  <摂り入れたい食材>●血を養い目の働きを整える菊花、クコの実、ほうれん草、桑の実、ブルーベリー、ぶどう、桑の葉、にんじん など 血を養い目の働きを整える食材「クコの実」 イラスト:きだ / PIXTA(ピクスタ) 【タイプ4】肌の乾燥(ドライスキン) <気になる症状>皮膚の乾燥(カサカサ感)、皮膚のかゆみ、化粧ノリが悪い、舌の乾燥※日焼け、エアコン、慢性疾患、乾皮症、アトピー性皮膚炎などが原因になることも <改善ポイント> 肌の状態は「肺」と深く関係しています。ところが、肺は乾燥に弱いため、空気が乾燥する時期は肺の働きが低下しやすく、乾燥肌やかゆみなどを起こしやすくなるのです。潤い肌を保つためにも、体内の潤いをしっかり養い、肺の働きを健やかに保つよう心がけましょう。 <摂り入れたい食材>●肺の潤いを養い、皮膚の潤いを守る鶏の手羽先、玄米、豚足、はちみつ、オリーブオイル、鶏スープ など 肺の潤いを養い、皮膚の潤いを守る食材「はちみつ」 イラスト:ねもとしょうが / PIXTA(ピクスタ) 【タイプ5】腸の乾燥(便秘) <気になる症状>便秘気味、排便時間が長い、便がコロコロしている、舌の乾燥※慢性疾患による潤いの消耗、痔、加齢などが原因になることも <改善ポイント> 体内の潤いが不足して「腸」が乾燥すると、便も乾いて固くなり、便秘を起こしやすくなります。また、腸と肺は深く関係しているため、肺が乾燥のダメージを受けると、腸の潤いも不足しがちに。秋は特に乾燥の影響を受けやすいので、腸と肺の潤いを十分保つよう心がけましょう。 <摂り入れたい食材>●腸と肺の潤いを養い、通便を良くいちじく、キウイフルーツ、バナナ、パパイヤ、りんご、マンゴー、プルーン、白菜 など 腸と肺の潤いを養い、通便を良くする食材「いちじく」 イラスト:Keiko Takamatsu / PIXTA(ピクスタ) ■ポイント 暮らしの潤い対策 ・睡眠は十分に!体内の潤いを守ります。・水分をたくさん取るよりも潤いの多い食材選びを。・ローションやクリームを塗って肌の乾燥対策を。・目の使い過ぎはNG!血を消耗し、ドライアイの原因になります。・辛いもの、塩分の取り過ぎに注意して。 監修:菅沼 栄先生(中医学講師) 監修:菅沼 栄先生(中医学講師) 1975年、中国北京中医薬大学卒業。同大学附属病院に勤務。1979年、来日。 1980年、神奈川県衛生部勤務。中医学に関する翻訳・通訳を担当。 1982年から、中医学講師として活動。各地の中医薬研究会などで薬局・薬店を対象とした講義を担当し、中医学の普及に務めている。 主な著書に『いかに弁証論治するか』『いかに弁証論治するか・続篇』『漢方方剤ハンドブック』(東洋学術出版)、『東洋医学がやさしく教える食養生』(PHP出版)、『入門・実践 温病学』(源草社)など。 本記事は、イスクラ産業株式会社監修の中医学情報サイト「COCOKARA中医学」より、一部改変して転載しました
病気病院
dot. 2022/12/11 07:00
元KalafinaのKEIKO、3rdアルバム『CUTLERY』2023年2月リリース決定
元KalafinaのKEIKO、3rdアルバム『CUTLERY』2023年2月リリース決定
元KalafinaのKEIKO、3rdアルバム『CUTLERY』2023年2月リリース決定  Kalafinaのメンバーとしても活動していたKEIKOが、ニューアルバム『CUTLERY』を2023年2月8日にリリースすることを発表した。  『CUTLERY』には、2022年7月から毎月連続配信リリースされたデジタル・シングル「ひとりじゃないから」「Alcohol」「夜の嘘と」「キライ。」「Close to you」の5曲に加えて、新たに12月7日に配信される「天邪鬼」、そしてアルバム用に制作される新曲4曲を含む全10曲が収録される。  Blu-ray/DVDでは、本作品のために収録されたスタジオ・ライブ映像【LIVE Session at Amazon Music Studio Tokyo】が収録されており、初回生産限定盤はフォトブックとアナログ盤が入った豪華ボックス仕様のスペシャル・パッケージとなっている。  さらに、2023年3月にはビルボードライブ横浜・大阪にてライブを予定しており、詳細は追って発表される。 ◎KEIKOコメント 3枚目のアルバム『CUTLERY』を2023年2月8日にリリースさせて頂きます。とても嬉しく、携わってくださった方々に本当に感謝の気持ちです。アルバムを1年に1枚というスピードで制作させて頂くと、自分と向き合う時間がかなり増えました。自身の小さな変化も敏感に感じて、ソロ活動当初には自分には難しいかなって思っていた当たり前の日常を切り取った音楽が『CUTLERY』で表現されています。毎日の生活に当たり前にある食事のお供のcutlery。少しだけおしゃれに彩りをくれるctulery。そんな曲たちを美味しく召し上がって頂けたら嬉しいです! ◎リリース情報 アルバム『CUTLERY』 2023/2/8 RELEASE <初回生産限定盤CD+Blu-ray+アナログ> AVCD-63417/B~C  14,300円(tax in.) <CD+DVD> AVCD-63418/B 5,280円(tax in.) <CD>  AVCD-63419  3,520円(tax in.)
billboardnews 2022/12/07 00:00
和楽器バンド、ボーカル不在の非常事態を乗り越え掴んだものとは? 全国ツアー【ボカロ三昧2大演奏会】超ロングレポート
和楽器バンド、ボーカル不在の非常事態を乗り越え掴んだものとは? 全国ツアー【ボカロ三昧2大演奏会】超ロングレポート
和楽器バンド、ボーカル不在の非常事態を乗り越え掴んだものとは? 全国ツアー【ボカロ三昧2大演奏会】超ロングレポート  2022年11月25日、和楽器バンドが宮城・トークネットホール仙台公演をもってツアー【ボカロ三昧2 大演奏会】を完走した。  “8人組、デビュー8周年”を掲げリリースしたボカロカバーアルバム『ボカロ三昧2』を引っ提げ、8月にスタートしたツアー【ボカロ三昧2 大演奏会】。ところが、7本目の島根公演後、ボーカルの鈴華ゆう子が体調不良のため緊急入院。その後ボーカル不在のまま7人でツアーを続行するという異例の事態を乗り越え、ファンが見守る中、全23公演を完遂した。  ファイナルの約2か月前、筆者は、9月14日に行われたツアー6本目の東京・中野サンプラザ公演に足を運んでいた。デビューアルバム『ボカロ三昧』から8年。オリジナル作品も数多く生み出してきた“今”の和楽器バンドだからこそ可能なアレンジと表現で、満を持して制作された『ボカロ三昧2』。並大抵のスキルでは不可能な、超絶技巧尽くしのアルバムでもある。雑誌掲載用に行なったインタビューでは、その難易度の高さゆえのレコーディング苦労話がメンバー自身の口から語られてもいた。生身の人間が歌ったり演奏したりすることを想定していない、原曲の自由自在なメロディーライン、複雑なリズム。なおかつ、和楽器の持ち味を活かした独自フレーズを織り込みながら、斬新なアレンジにまとめ上げるのは至難の業だったはずである。それをライブでいかに実演するか?は大きな関心事だったが、中野サンプラザ公演で目の当たりにした8人は、音源の再現に留まらず、エネルギーに満ちたパフォーマンスを繰り広げていた。凄まじい声量と歌唱力を轟かせるステージ上の鈴華は、ツアー開始前、実演に向けて不安を口にしていた女性と同一人物とは信じられないほど、強く見えた。その余韻にまだ浸っていた頃、冒頭で述べた通り、鈴華が緊急入院したとのニュースが飛び込んできたのである。  コロナ禍にあっても音楽の灯を決して消すまいと、エンターテインメント界の先頭を走ってライブ活動を果敢に継続してきた和楽器バンドを襲った、それはあまりにも大きく深刻な試練だった。一旦中止や延期をして万全の態勢で再開する、という方法もあり得ただろう。しかし、彼ら・彼女らは、7人でツアーを続行することを決断した。何がベストの選択だったのかは、現時点で誰も明言することはできない。はっきりと言えるのは、このツアーを走り抜けた和楽器バンドが一回りも二回りも大きくたくましく成長した、という事実。仙台でのツアーファイナルで目にし、耳にしたすべてがそれを物語っていた。  18時30分の開演時間が近付くにつれ、和装アイテムを取り入れるなどした個性的なファッションに身を包んだ観客が一人、また一人と場内へ入っていく。Overtureに乗せて、黒流(和太鼓)、町屋(ギター&ボーカル)、亜沙(ベース)、山葵(ドラム)、いぶくろ聖志(箏)、神永大輔(尺八)、蜷川べに(津軽三味線)が観客に手を振りながら登場。客席からは大きな拍手と、SEのリズムに合わせたクラップが鳴っていた。アルバム同様、1曲目はリード曲「フォニイ」。始まってすぐ「ツアーファイナル、仙台! 行くぞ!」と黒流がテンション高く叫び、観客を煽った。ステージ中央には台の上にマイクスタンドが置かれ、鈴華の姿はないが、彼女のボーカル音源が会場に鳴り響く。ヴォーカリストがいない状況をロックバンドとして一体どう補うのか?と、ライブを観る前は率直に不安を抱いたし、彼女が欠けている状態はもちろん、バンドとしての完全体では決してなかった。「本人映像をヴィジョンに投影するのだろうか?」などと演出の想像もしたのが、鈴華の居場所は概念としては“空席”のまま守られていた。鈴華のマイクスタンドの前に誰かが立つことはあっても、それは一時的なものに過ぎなかった。“7人しかステージにはいなくても、8人の心は共にあるのだ”と示すように。  「エゴロック」「グッバイ宣言」と、アルバム収録曲を連打。その楽曲の鈴華の歌声に、ユニゾンしたりハーモニーを奏でたりと、まずは町屋がボーカルを補っていく。曲の世界観を表すカラフルなアニメーションに重ね、LEDビジョンに投影される歌詞。文字は曲に合ったフォントが選ばれ、縦書きだったり横書きだったり、列が乱れてバラバラに散っていったりする一連の演出は、どこか動画投稿サイトを想起させる。ステージを観ているようで、パソコン画面の前にいるような錯覚に時折捉われた。しかしそれは目の前で繰り広げられている紛れもないリアルだということを、7人の姿、そこから放たれる熱量はまざまざと教えてくれた。  MCでは「デビュー8周年、ツアーファイナルでございます。一時はどうなることかと思いましたが……皆さんのおかげでここまで走ってこられました」「我々本来は8人バンドですけれども、(今日は)7人での公演になります。それぞれが100%以上の力を出しつつ、ファイナルなので、いいライブをつくるには皆さんの力が必要です」などと語り掛けた町屋。観客に対してメンバーは、「宮城県の方? 近隣二、三県の方? ちょっと時間を掛けて来たよっていう方?」(町屋)、「子どもたち~?」(蜷川)、「初めての方?」(黒流)など様々なパターンの呼び掛け、総力戦で“出席確認”を行なっていく。  四つ打ちで軽妙に始まる「Surges」は海の映像をバックに爽やかに送り届け、「天ノ弱」ではロックバンドらしい熱さ、疾走感をアピール。「8年も経っているとボカロのシーンも変化していて、『ボカロ三昧』の時よりも更に楽曲は速く、より難解になった印象があります」と続け、同様のコンセプトであっても必然的に内容が異なることを示唆した。町屋が速弾きを含む複雑なフレーズをギターで奏でながらボーカルを務め、加えて、手の振りも合間にしっかりと盛り込んでいたのは驚異的。これは町屋に限らずメンバー全員に言えることだが、メンバーは観客と頻繁にアイコンタクトをはかり、演奏の手をもちろん決して疎かにしないまま、合間に拳を突き上げて煽り、一体感を常に大切にしながらライブに向き合っている姿が印象的だった。その頻度や親密度は、中野サンプラザ公演時よりもグッと高くなっているように感じた。黒流は力強い和太鼓演奏に加え、ヘッドセットを装着し、観客の煽りや進行を担当。その全身全霊さによって、終盤にはすっかり声を枯らしてしまっていたほど。身を捧げてライブを盛り上げようとしているのが痛いほど伝わってきた。  『ボカロ三昧2』の収録曲は、CD・配信それぞれの限定曲含む13曲もれなく披露。ボカロカバーアルバム『ボカロ三昧』でデビューした彼らにとって、原点回帰とも言えるコンセプトだが、ボカロシーンは8年前にも増してBPMの高速化が進み、メロディーが激しく乱高下するなど、難易度も高い傾向があるという。それをただ機械的に再現するのではなく、原曲には含まれていない和楽器を使っていかに表現をするか?は、アレンジ面でも演奏面でも、メンバーの腕の見せ所になってくる。通常ロックバンドのライブでは目にすることのない楽器の数々を目にしたり、その音の響きを生で聴いたりするだけでも新鮮で、刺激的な体験だ。蜷川の背後には、ファイナルのこの日に1棹増えて、全8棹の三味線がラインナップ。KOGEI Nextとのコラボレーションで生まれたという、世界に一台だけの蜷川べに専用エレキ三味線“Lycoris”をツアーで初めてお披露目したのだが、漆塗りの赤いボディーは遠目にも艶やかに輝いていた。蜷川は和ロック中心だった『ボカロ三昧』と比べて『ボカロ三昧2』は、「デジタルな音が多くて」と振り返り、「それを和楽器でいかにして表現していくか? 元々の楽曲もリスペクトしつつ、ちゃんとしたものに仕上げていこう、というところで私たちも気合が入っていた」とのこと。そして必然的に「どんどん楽器が増えて行った」のだという。  『ボカロ三昧2』収録曲の中で1曲だけ、しっとりとした和の魅力を湛えたバラード曲「紅一葉」は、和楽器バンドを世に広く知らしめた『千本桜』の作者・黒うさPの手掛けるナンバー。青の世界に差し込む紫のピンスポットに照らされながら、いぶくろの雅やかな箏の音色から曲はスタート。今回は4面の箏(※合計でピアノの鍵盤数と同じ88弦)がステージ中央に並び、それだけでも壮観な眺めである。いぶくろは、4面の端から端まで動き回ったり大きく腕を伸ばしたりしながら、ダイナミックに、時に優雅に爪弾いていく。月が浮かぶ夜空を思わせる映像を背に、蜷川がセンターに立ちボーカルを披露。普段は、ボーカルは元より、コーラスもしない蜷川がメインボーカルをとることが大きな驚き。ファルセットを交えた艶やかな歌声に6人は寄り添うように音を重ねた。続く「アイデンティティ」では鈴華のボーカル音源の1オクターブ下を町屋が歌唱。ポップなメロディーラインとは裏腹に、山葵の屈強なキックが身体にビシビシと伝わってきて痛快だった。ダークはエレクトロサウンドが小気味よいSEから突入した「ナイト・オブ・ナイツ」は、町屋、亜沙、山葵の3人による切迫感に満ちたインストセッションに息を呑む。ポップと闇とを行き来するジェットコースターのような「ド屑」は、ポップな部分はオリジナルに忠実にキュートに、そして闇の領域には和楽器バンドらしさを炸裂させた。いぶくろの箏、蜷川の津軽三味線、神永の尺八、雷鳴のような黒流の和太鼓、極めつけは鈴華の伸びやかな節調(※詩吟の技法)が響き渡り、会場には異世界の濃密な気配が立ち上った。  「ファイナルですよ。めちゃくちゃ感慨深いです、ありがとうございます」と黒流はしみじみ語ると、「ボーカルのいないロックバンドのライブ、ツアーですよ。言葉にするとヤバいよね(笑)。それを皆さんに支えていただいて、この大変な時にパワーをいただきました。本当にありがとうございます」とコメント。ツアーを振り返り、メンバーとしばし想い出話に興じると、「ファイナルのこの仙台は、盛り上げて騒いで全部出し切って、日々のあれやこれやを全部ここで落としていってもらいたいと思います!」(黒流)と語り掛け、テンション高く煽って「ベノム」へ。ジャンプを繰り返すなど、神永は尺八を吹きながら身体を大胆に動かし、ステージを隅々まで勢いよく走り回って会場を大いに盛り上げた。「いーあるふぁんくらぶ」は、力強くキックを踏み続ける山葵が、中国語のなめらかな語りを披露。客席をTEAM黒流とTEAM山葵にエリアで分け、観客を巻き込んで黒流と打楽器対決を繰り広げる「ドラム和太鼓バトル~打演飛動~」ではパワフルなドラミングに加え、上着を脱ぎ捨て、鍛え上げた筋肉を見せつける一幕も。メンバー一人一人に主役となる見せ場があり、音楽と共にキャラクターも伝わってくる、総合的なエンターテインメントショウが繰り広げられていく。  再び蜷川が歌唱した「キメラ」は、1曲だけ撮影が許可され、ハッシュタグを付けたSNS投稿をOKに。ファンはうれしそうに一斉にスマートフォンを構え、ステージに向けた。高揚感の中雪崩れ込んだ「マーシャル・マキシマイザー」では、激しく髪を振り乱しながらベースを掻き鳴らす亜沙。熱狂の中、神永の尺八がそこはかとない哀愁を漂わせた。打ち上げ花火が映し出されるLEDスクリーンを背に本編を「Fire◎Flower」で締め括ると、オーディエンスは大きな熱い拍手を送った。  アンコールの「亜沙カメラ」コーナーでは、動画カメラ片手に独自のシュールな世界観を炸裂させる亜沙。かと思えば、MCでは「『ボーカルのいないライブをやりきれるのか?』って感じだったんですけど、皆さんの力を借りて、甘えさせていただいてやりきることができた」と真摯に感謝を述べ、自分たちのパフォーマンスは「皆さんがいてこそ完成するものだと思います」とファンを労った。その後、亜沙自身がボカロPとして生み出し今年10周年を迎える大ヒット曲「吉原ラメント」を自ら熱唱。蜷川もこの日ライブで初お披露目となった、世界で一番美しい津軽三味線“Lycoris”を弾きながら、センターへ歩み出て、町屋と背中合わせになってマイクを執った。亜沙がハイトーンで長く響かせたシャウトからは、言葉にならない想いが伝わってきた。  続くMCでは、コロナ禍で始めた“たる募金”プロジェクトについて、いぶくろが代表して解説。日本の伝統芸能文化をサポートするための寄付活動で、第四弾の今年は沖縄伝統文化・芸能への支援が決定。ロビーには、鈴華の私物である三線が展示されているとアナウンスした。終演後に展示エリアを訪れると、展幼い子どもが興味深そうに見入っている姿があり、この活動が未来への着実な種まきになっていることを実感した。  会場に拍手が鳴り響く中、ラストは彼らの代名詞でもあるボカロ曲「千本桜」を披露。蜷川が再びセンターに立ちボーカルを務め、黒流も大きく口を開けて口ずさみながら鮮やかなバチさばきで和太鼓を強打。もはや、全員が演奏を通じて“歌って”いた。怒涛の迫力で歌い奏でるステージ上の7人に負けず劣らず、客席でペンライトを振るファンの手の動きもパワフルで、強い想いがこもっているのが分かる。終盤で立ち上がり、渾身の力を込めてドラを鳴らす山葵。町屋、亜沙、神永、蜷川は目まぐるしく立ち位置を入れ替わり、華やかにステージング。かき回しの末に音を止めると、全員で前へ出て「ありがとうございました!」と声を揃え、深い礼をした。約2時間はあっという間に過ぎ去り、ツアーは幕を閉じた。  ボーカリストという、ロックバンドの顔がいないステージ。その埋めようのない絶対的な空白をどうにかして埋めようと全身全霊でパフォーマンスしていた7人の熱量は、想像以上に胸を打つものがあった。鈴華の戻って来る場所、“8人の和楽器バンド”の未来を守るために、7人は走り続けなければならなかった。ステージ上の7人だけでなく、それを応援し見守るファンと一緒に作りあげたライブ空間は、一生忘れられない光景となるだろう。困難に挑み、そして乗り越えた和楽器バンドはこれから益々強くなっていく――そう確信した仙台の一夜だった。 TEXT:大前多恵 PHOTO:KEIKO TANABE ◎公演情報 【ボカロ三昧2 大演奏会】 2022年11月25日(金) 宮城・トークネットホール仙台 <セットリスト> 00. Overture~ボカロ三昧2 大演奏会~ 01. フォニイ 02. エゴロック 03. グッバイ宣言 04. Surges 05. 天ノ弱 06. 紅一葉 07. アイデンティティ 08. ナイト・オブ・ナイツ 09. ド屑 10. ベノム 11. いーあるふぁんくらぶ 12. ドラム和太鼓バトル ~打演飛動~ 13. キメラ 14. マーシャルマキシマイザー 15. Fire◎Flower <ENCORE> 亜沙カメラ 16. 吉原ラメント 17. 千本桜
billboardnews 2022/12/07 00:00
辻村深月×加藤シゲアキ 作品の文庫化は「いよいよ手を離れる緊張感がある」
辻村深月×加藤シゲアキ 作品の文庫化は「いよいよ手を離れる緊張感がある」
対談では文庫ならではの「解説」についても思いを語り合った。誰に書いてもらうかは悩ましく、解説は一つのご褒美のようでもあるという/photo 写真映像部・東川哲也 hair & make up 松橋亜紀(辻村さん) KEIKO(Sublimation)(加藤さん) styling 吉田幸弘(加藤さん)  著作『傲慢と善良』、『できることならスティードで』がそれぞれ文庫化した辻村深月さんと加藤シゲアキさん。作品の魅力と文庫ならではの楽しみを語り合った。AERA2022年11月28日号の記事を紹介する。 *  *  * ──人気小説を次々と世に送り出す辻村深月さんと、アイドルでありながら作家としても活躍する加藤シゲアキさん。二人が著作の文庫化に伴い、作品の作り手として、そしてお互いの作品の読み手として、じっくり語り合った。共感に次ぐ共感で盛り上がった対談とは──。 辻村深月(以下、辻村):雑誌連載、単行本化を経て文庫化する時って、いよいよこの小説が自分の手を離れるんだという緊張感があると同時に、文庫は長く残るし、広く読まれるという嬉しさもありますよね。 加藤シゲアキ(以下、加藤):今回、『できることならスティードで』は単行本から約2年半後の文庫化なんです。 ■書き手としての誠実さ 辻村:『傲慢と善良』は3年半後の文庫化なので、私より1年はやいですね。 加藤:エッセイ集だし、世相の反映もあるので、「はやく出そう」と言われました。 辻村:物理的な移動のある旅だけでなく、時間というものの旅だったり、ちょっとした非日常的な体験だったりもあって、読者としていろんな旅を体験できました。私は、最終章をどう書くか迷ったり考えたりしている文章がすごく好きでした。一冊の本になる時にどういうものを届けたいか深く考えていらして、エッセイの書き手としての加藤さんの誠実さがすごく出ていました。 加藤:本当ですか。嬉しいです。 辻村:印象的だったのは、ふたつの別離について書かれた章です。お祖父さんとの別離と、ジャニー喜多川さんとの別離。 加藤:どちらも最初は、書いていいのか迷いがありました。祖父のことを書いたのは、祖父が喜ぶだろうな、という思いがありました。もともと、ブログで祖父が亡くなる前に見舞いに行った話を書いたことがあったんです。その話を完結させることが祖父に対する弔いになるだろうと思いました。亡くなったジャニー喜多川(前)社長については、ジャニーズ事務所に所属していて、書く仕事をしている僕が書かないのも無責任な気がしたんです。(前)社長はものを作る、言葉にするという姿をずっと見せてくれていたから、それに対して作品で返すのが弔いなのかな、と思って。 辻村:個人的な出来事をこの形で読ませてくれるのか、と読者として感激しました。 『できることならスティードで』/大阪やパリ、スリランカ紀行から、 故ジャニー喜多川氏との思い出や学校の意義を問う思索まで、広義の“旅”をテーマにした著者初のエッセイ集。文庫版あとがきも収録。解説は朝吹真理子氏。(photo 写真映像部・上田泰世) ■筆のノリが分かる 加藤:僕は辻村さんの『傲慢と善良』を最初、恋愛小説かと思って読んだんです。そうしたらめっちゃミステリーでしたね。結婚願望が強くなかった架(かける)というもうすぐ40歳になる男性が、婚活アプリで出会った真実という女性とつきあいはじめるんですが、彼女はストーカーに追われているという。そんな真実が失踪して、架は彼女を捜すために、彼女の実家や友人たちを訪ねていく。そうして真実の実像がだんだん分かってくるわけですが、僕、最初は、すごく主人公の架に共感したんですよ(笑)。 辻村:おお。 加藤:架はめっちゃできるタイプで、モテなくないタイプで、でも手痛い失恋もしているっていう。絶妙にモテる感じに共感しましたなんて、あまり言いたくないんですけれど(笑)。 辻村:あはは。 加藤:共感したなんていうと、それこそ「傲慢」じゃないですか(笑)。 辻村:架は絶対にモテる男性にしようと思っていました。書いていてめちゃくちゃ楽しかったです。文庫化の際に読み返しても、自分の筆がノッているのが分かるんですよ。 加藤:なんでですか。ややモテる男が苦悩するのが楽しかったんですか(笑)。 辻村:ふふふ。架がなんでモテるかっていうと、鈍感だからなんですよね。 加藤:ああ、たしかに架は傲慢であると同時に、鈍感ですよね。鈍感ってある意味、図太いというか、強いじゃないですか。それが処世術に繋がっているというか。 辻村:そうなんですよ。でも架は鈍感だからこそ、真実の気持ちを考えずに、この子はずっと自分のそばにいるだろうと思いあがってしまっていたんですよね。過去に一度手痛い振られ方をしているうえに、さらにこういう事態にならないと気づけないのか、っていう。真実も気が弱いようでいて強いわけですが、そういう子は多いですよね。 ■正直、もどかしかった 加藤:真実はアクセルとブレーキのかけかたが下手っていうか。もっとギアチェンジをうまくやればいいのに、いきなり5速に入れてる印象です。ちゃんと言葉で言ってくれないと、気持ちを察するなんて無理だなって僕は思ってしまいました。プロローグが真実目線で書かれているから、彼女の内面がすごく煮えたぎっているのは読者には分かるけれど、でもそれをちゃんと言わないと、架には伝わらないよ、って。 『傲慢と善良』/婚約者・坂庭真実が姿を消した。その居場所を捜すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合う。恋愛、そして人間を描き切り、生きていくうえでのあらゆる悩みに答えてくれる作品。解説は朝井リョウ氏。(photo 写真映像部・上田泰世) 辻村:もどかしかったですか。 加藤:正直、もどかしかったです。ちゃんと伝えてくれずにああいうことをされると、男は本当につらい!(笑) 辻村:女子の「言わなくても気づいてほしい」と男子の「言ってよ!」のすれ違いですよね。婚活に限らず、誰かを選んだり、誰かと誰かを比べる行為ってしんどいなと思うんです。今回、文庫化にあたって、巻末解説を朝井リョウさんにお願いしたんですね。そうしたらその解説が絶妙で、「解説を誰に書いてもらうか選ぶのは難しい」というような話から始まるんです。たとえば、カズオ・イシグロには頼めない、とか。 加藤:高望みするなってことですね(笑)。 ■相手を選ぶ解像度 辻村:断られるのが分かっていますよね。そこから、これは相手を選ぶことの解像度を高めた小説だ、ということを書いてくださったんですけれど、小説で選ぶ難しさを書いている作家も、誰に解説を書いてもらうか相手を選んでいるのだという鋭い指摘で、もう、著者の私にも刺さりまくりました(笑)。 加藤:朝井さんらしい。『できることならスティードで』の解説は朝吹真理子さんにお願いしました。朝吹さんの作品が好きだし、ご本人も旅のエッセイを書かれているので。 辻村:文庫って、巻末に解説がつく楽しみがありますよね。自分に対するご褒美みたいに思っています。 加藤:それもあわせて、読者の方にも、文庫版を楽しんでもらえたら嬉しいですね。 (構成/ライター・瀧井朝世)※AERA 2022年11月28日号
AERA 2022/11/26 12:00
<ライブレポート>SUGIZO、KenKenを擁するSHAGが奏でた濃密で衝動的なステージ
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<ライブレポート>SUGIZO、KenKenを擁するSHAGが奏でた濃密で衝動的なステージ  2022年10月18日、SUGIZO(LUNA SEA、X JAPAN)とKenKen(RIZE、LIFE IS GROOVE)を擁する“サイケデリック・ジャムバンド”SHAGがBillboard Live TOKYOに初登場した。SUGIZO(Gt/Vn)、KenKen(Ba)、類家心平(Tr)、別所和洋(Key)、よしうらけんじ(Perc)、そして松浦千昇(Dr)の6人が届けた即興性に満ちた同公演の1stステージの模様をお届けする。  会場が暗転し、メンバーが階段を降りてステージに登場する。空間的なギターやキーボードの音色からそのまま新曲の「KAMOGAWA~天一FUNK」がスタートする。ゆったりとしたメロウな雰囲気から、途中でスイッチが入ったかのようにパワフルでファンキーなビートに切り変わっていく。次々に登場する各楽器の即興性溢れるソロパートによってどんどんステージの熱量が上昇していくのが分かる。  演奏を終えると軽いMCへ。SUGIZOが「SHAGです。皆様Billboard Liveへようこそ」と挨拶し。KenKenと共にステージと客席の近さに触れて会場の空気を和ませた。  続いて披露されたのは、7月にリリースされた1stアルバム『THE PROTEST JAM』に収録されている「Rebellmusik」。浮遊感のあるサウンドは、例えるなら“音で一つの空間を作り上げている”かのよう。効果音的に様々なエフェクトを巧みに切り替えるSUGIZO。淡々と機械のように細かいフレーズで音像を牽引するドラムとパーカッション。音に身を任せるように、踊りながら演奏するKenKen。こちらもつい身体が揺れてしまう。トランペットのダイナミックなロングトーンからどんどんドラマチックな展開に突入していく様子には鳥肌が立った。  SUGIZOがバイオリンを手にすると、同じく1stアルバムから「FATIMA」へ。別所のキーボードと共に幻想的な美しさを奏で始めると、背景のプロジェクションもアーティスティックな模様に変化。他の楽器がアンサンブルに加わり、スリリングに楽曲が加速していく。悲しさも感じる音を奏でるバイオリンが“寒”ならトランペットは“暖”。熱く力強いソロと共にリズムも激しさを増す。と思えば一転してキーボードソロではファンキーに。次々と物語の新しい章に突入している感覚になる。  続くMCでは、メンバーの衣装に統一感が無いという話題で笑いを誘いつつ、「皆が忙しくて中々集まれないので、6人がこうやって集まってこのステージに立てたのが奇跡」という、このメンバーの豪華さを感じさせる言葉が登場した。  チルでジャジーなオープニングからスタートしたのはこの日2曲目の新曲「MEGUROGAWA」。ミュートを使用したトランペットの掠れ気味な音色が作り出すオトナな雰囲気が特徴的だ。そこから徐々に演奏がパワフルになっていき、そのまま類家とよしうらによる激しく衝動的なソロセクションへ。様々なリズムやビートがこちらの耳を刺激する。  そこから立て続けに演奏されたのは、9月に他界してしまった、SUGIZOが敬愛していたファラオ・サンダースの「Love Is Everywhere」のカバー。この日のセットリストの中で唯一のボーカルパートがここで登場。語りやスキャットに近いこのパートをSUGIZO、KenKen、別所がハモる形で担当した。スムーズなベースラインが中心にあるスペイシーな音像が展開されるが、ここでも互いが臨機応変に音で会話しているかのように曲調が変化し、観る者の目と耳を釘付けにする。  演奏を終えると、SUGIZOが改めて同楽曲をカバーした理由を説明し、話題は時間が押しているか否かへ。残り時間が少ないことが判明し、ラストの曲を急いで披露することに。「最後の曲です。一応。本編の」という紹介から「THE CAGE」に突入。長年SUGIZOの様々なプロジェクトで演奏されてきたこの曲。SHAGならではのアドリブ性が追加された、ロックとカオスを行き来するスリリングなアレンジが施されていて、感情が爆発するようなドキドキする楽曲展開のオンパレードが繰り広げられていく。このハイテンションなサウンドが会場を徹底的に揺らした。最後にメンバー紹介をし、バンドはステージを去った。  アンコールを求めるクラップが発生すると、バンドもすぐさま再登場する。SUGIZOが「昨日は師匠の近藤等則さんの命日。一緒に作った曲を最後にSHAGで披露したいと思います」と語ると、ステージのバックのカーテンが開き夜景が広がり、本当のラスト「PRAY FOR MOTHER EARTH」が始まる。心音に聴こえるサンプルやディレイの効いたバイオリンとトランペットがミステリアスな空気感を構築していく。壮大で幻想的な音像にこちらも息を飲んで見入る。雨音に近い質感のキーボードだったり、残響の様なバイオリンによって会場の雰囲気もシリアスな空気になっていく。そして、余韻が残るようなバイオリンの音色でライブは終了。再びメンバーを紹介すると、一同は肩を組んで一礼し、ステージを降りた。 Text:Haruki Saito Photo:Keiko TANABE ◎公演情報 【SHAG】 2022年10月18日(火)東京・Billboard Live TOKYO セットリスト: 1. KAMOGAWA~天一FUNK 2. Rebellmusik 3. FATIMA 4. MEGUROGAWA Percussion & Drums Solo 5. Love Is Everywhere(ファラオ・サンダース) 6. THE CAGE アンコール 7. PRAY FOR MOTHER EARTH
billboardnews 2022/10/27 00:00
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