悪化の一途をたどる制作現場の労働環境 (1/3) 〈GALAC〉|AERA dot. (アエラドット)

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悪化の一途をたどる制作現場の労働環境

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白石草GALAC#仕事#働き方
白石草(しらいし・はじめ)/1969年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業。制作会社、東京メトロポリタンテレビジョンで映像記者を経験した後、2001年にインターネット放送局「OurPlanet-TV」を設立、05年にNPO法人化。著書に『メディアをつくる』『ルポ チェルノブイリ28年目の子どもたち』などがある。

白石草(しらいし・はじめ)/1969年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業。制作会社、東京メトロポリタンテレビジョンで映像記者を経験した後、2001年にインターネット放送局「OurPlanet-TV」を設立、05年にNPO法人化。著書に『メディアをつくる』『ルポ チェルノブイリ28年目の子どもたち』などがある。

 映像ワークショップを主宰して市民の立場から映像制作を後押しするNPO「OurPlanet―TV」代表の白石草さん。技術系プロダクションなどテレビ報道の現場で働いた経験もある白石さんには、非正規の人からの相談も少なくない。

●常に不安定な非正規の人たち

──白石さんから見て、今テレビの現場はどう映っていますか。

 キー局は人員規模が大きくて、正社員は給料が良いけれど、非正規は使い捨てで、かつてに比べ、将来に対する希望が持ちにくい状況だと思います。テレビの現場で身体を壊し、辞めてからしばらく経って私たちのワークショップに参加し、独自に映像を撮るようになる人も少なくありません。非正規では自分のやりたいこともできず、番組契約であればその番組が終われば契約は打ち切り。もし別の番組で働けたとしても、編成の都合で仕事のない期間があったりずいぶん待たされたり、とにかく非常に不安定です。長時間労働を強いられていても、非正規労働の実態を把握する仕組みはありません。

 最近は記者職にも派遣の人がいます。原子力規制庁でパソコンを打っている某局の記者は、派遣社員だと聞き、びっくりしました。

 テレビ業界は昔から上下関係が厳しく、私がいた技術系制作会社でも、部下に土下座をさせる、あるいは蹴るなどのパワハラ行為がありました。今でもテレビの取材を受けた人がスタッフのパワハラ行為を見て怖かったという話を聞きます。

 またスタッフが突然来なくなったという話もよく聞きます。非正規の場合、あまりに条件が悪いなかで働かされているので、突然姿を消すしかなくなる。働かなきゃならないから働いている感じで、本当は働きたくないのに働き続けている人もすごく多いんですね。

●ネット系番組の非正規スタッフの高齢化

──制作の現場では、若い人が定着せず、高齢化が進んでいるようです。

 この間私のところに来た40代の女性は、テレビ局が制作するインターネット番組を担当していましたが、制作費も少なく、番組時間も2、3時間と長いのに、一人で担当しているので本当に大変だと言っていました。とにかくほかにスタッフがいないので、全部自分がやらなきゃいけない。身体はボロボロになったと。

 非正規の制作者が高齢化しているのも、最近の傾向です。若い人が定着しないため、常に人材不足の状況で、残っている人は高齢の人ばかり。彼女も若いほうと言っていたけれど40代後半です。あまりに悲惨な実態なので、そもそも若い人があまり入って来ない。局員なら管理職をやっていそうな50代前後の人たちが、ボロ雑巾のように現場で働いていると。みんな老体に鞭打って、体力の限界まで働いているというのは、とても怖いことです。


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