「極道の妻たちダラケ」2月9日放送、3月23日(木)21時~再放送予定
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●「世の中にこんな人がいるの!?」

 テレビは社会を映す鏡といわれた時代があった。あった、と書いているのは、もはやそうとは言えないということである。時代とともに地上波の役割が変わってきたことはもちろん、テレビ局の体質そのものが変わったことが大きい。一流企業としてのコンプライアンスやリスク回避の意識が浸透(蔓延?)したことで、世の中のメインストリームやトレンドばかり追いかけるようになり、アングラ文化や見えざる闇の部分に、半ば目を背けるようになってしまった。

 かつての「11PM」や「トゥナイト」など深夜のナイトショーが華やかし頃は、怪しい人物ルポや風俗最前線など、一般的にはいかがわしいとされるアングラ情報を当たり前のように放送していた。それは視聴者の下世話な好奇心に応えるだけでなく、見えざる部分にもカメラを向けることで、テレビが社会の隅々までウォッチする大衆的なメディアであることを証明する点で、意味があった。

 さまざまな理由によって失われてしまったテレビの下世話なまでの大衆目線(あるいは「不良性感度」とも言い換えられる)を、BS(CS)で体現しようとしている番組がある。BSスカパー!の「ダラケ!」だ。同番組はクイズバラエティというスタイルを採ってはいるものの、きわめてアングラかつ刺激的な情報が前面に押し出されている。「興味深い世界の体験者だらけを集めたクイズバラエティ」というキャッチフレーズに違わず、毎回濃厚な人生を送る人たち(“ダラケさん”)が3組登場し、ときに耳を疑うような体験談を披瀝する。

 2014年10月9日の放送第1回では「まくら営業をしているキャバクラ嬢」、続いて「全身にタトゥーを入れた人」「美容整形医」「AV男優」「レズビアンカップル」「女性霊能者」が登場。全6回を1シーズンとして、17年1月末現在で計9シーズン制作されてきた。安村将史チーフプロデューサーはいう。

 「今の地上波ではできないこと、見られないものをやるということで、番組のスタイルが確立していきましたが、どんな世界であっても、ひたむきに頑張っている人を取り上げたいというのが基本にあります」

 BSスカパー!は、スカパー!加入促進のためのガイド(ショーケース)チャンネルとしての役割を持ちつつも、既加入者への特典として「おまけチャンネル」と呼ぶオリジナルの番組を制作している。その一つが「ダラケ!」であり、堀潤MCの「モノクラ~ベ」であり、ロンブー淳MCの「田村淳の地上波ではダメ!絶対!」である。すべてに共通するのは「地上波では見られない番組」だ。

 「ダラケ!」のメインMCを務めるのは、千原ジュニア。地上波でもバリバリの売れっ子だが、この番組ではジュニア流のマシンガントークは抑えめに、“ダラケさん”たちの聞き役に回る。エゲツナイ話には顔をしかめ、ときに絶句するジュニアのリアクションが実に可笑い。またアシスタントの米田弥央(元劇団カムカムミニキーナ)の何があっても動じないキャラクターと仕切りも、番組の欠かせない要素となっている。

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