書評『U 相模原に現れた世界の憂鬱な断面』森 達也著 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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《話題の新刊 (週刊朝日)》

U 相模原に現れた世界の憂鬱な断面 森 達也著

朝山 実書評#話題の新刊#読書

 オウム真理教の信徒たちを写した映画「A」の監督が、知的障害者19人が殺害された神奈川県相模原市の津久井やまゆり園事件の深層に迫るため、裁判や報道にかかわった精神科医やジャーナリストらと話し合う。

 著者は被告との面会時に抱いた違和感や疑問を対話の相手にぶつけていく。1989年に発覚した宮崎勤事件を追ったノンフィクション作家吉岡忍との対話では、同事件を境にメディアは加害者に対する報道がおざなりになり、警察情報に頼り、聞き込みを疎かにするようになったと指摘。

 刑事司法の精神鑑定に詳しい精神科医の松本俊彦は、裁判員裁判が始まってから「分厚い鑑定書は裁判員が読めないからA4で2~3枚の分量にしてくれと裁判所から指導がくる」と証言。動機にからむ被告の成育環境への調査力が弱まっている司法や報道の現状を批判する。(朝山 実)

週刊朝日  2021年3月26日号


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