書評『小柴一良写真集 FUKUSHIMA 小鳥はもう鳴かない』小柴一良著 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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《話題の新刊 (週刊朝日)》

小柴一良写真集 FUKUSHIMA 小鳥はもう鳴かない 小柴一良著

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朝山実書評

 強烈に迫ってくるのは「半野生化した犬」の見開き写真だ。2015年に福島県飯舘村で撮影されたもので、路上に立つ犬の眼に思わず、ぞわっと怯んだ。

 原発事故後の福島に「水俣」を見たと著者はいう。補償金が出たといえば被災者に嫉妬や非難が浴びせられる。そっくりだと。

 墓石越しの一枚。眼下にフレコンバッグの山がつらなる。飯舘村は「日本で最も美しい村」と呼ばれたが、公園に人気はなく、雑草が生い茂る。一見何気ない交差点に立つ二人の男性。撮影の2年後に一人は「癌で死亡。右の人は癌で闘病中」とキャプションがつけられている。

 福島の「その後」を追った点景の中に、当時胎内にいた子供たちの、小学校での笑顔があらわれる。子供のさりげない写真が多いのは、ちいさな民に希望をつなげたいからだろう。(朝山実)


週刊朝日  2019年3月29日号


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