書評『リベラルという病』山口真由著 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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《今週の名言奇言 (週刊朝日)》

リベラルという病 山口真由著

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斎藤美奈子書評#今週の名言奇言

リベラルという病

山口真由著

978-4106107290
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リベラルは、人間の理性がすべての困難を乗り越えると信じている。

 突然の解散総選挙を受け、民進党と希望の党の合流騒ぎの末に立憲民主党が誕生。「リベラル」という言葉がにわかに注目を集めている。メディアも「リベラルとは何か」の解説に余念がないが、この言葉をアメリカの現実に即して解説しているのが山口真由『リベラルという病』である。

 日本でいうリベラルには、原発再稼働に反対し、首相の靖国参拝に反対し、安倍政権下の解釈改憲に懸念を示し……みたいなイメージがある。だが、〈こうした「リベラル」な主張が、どうも腹に落ちなかった〉と著者はいう。

 アメリカにおけるリベラルと、その対概念であるコンサバ(保守)は建国以来の歴史と文化だと彼女はいう。コンサバは宗教(キリスト教右派)と深いかかわりを持つが、リベラルもまた宗教じみた信仰に近い。彼らにとっての最重要課題は「人種間の平等」で、それは「すべての人間の平等」へと拡大したが、半面、行き過ぎたPC(ポリティカル・コレクトネス)という病を生んだ。〈リベラルは理想を信じる。しかし、その一方で、彼らが鼻持ちならない傲慢さを持つと思われるのは、この理想主義ゆえである〉

 それはまーあるかもね。日本のリベラルだって、理想主義ゆえの不寛容や鼻持ちならなさと無縁ではない(それはリベラリズムがインテリに支持される舶来の思想だったからだと私は思う)。

 政府がコントロールを利かせ、「大きな政府」を志向するのがリベラルな民主党、政府の介入を最小限に抑え「小さな政府」を求めるのがコンサバな共和党。という基準に照らせば、昔の自民党はリベラルだし、緊縮財政好きな旧民進党はむしろコンサバだった。

 もっとも、アメリカの共和党と民主党だけを基準に考える必要はないのよね。〈リベラルは、人間の理性がすべての困難を乗り越えると信じている〉というのはその通りだと思うけど、リベラルがそんなに込み入った概念なら、立憲民主党は中道左派と呼ぶのがいいんじゃないか。あ、左派と呼ばれるのも嫌? 面倒だなあ、もう。

週刊朝日  2017年10月20日号


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