書評『「サル化」する人間社会』山極寿一著 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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《話題の新刊 (週刊朝日)》

「サル化」する人間社会 山極寿一著

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谷本束書評#話題の新刊

「サル化」する人間社会

山極寿一著)

978-4797672763
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 ゴリラやチンパンジーなどの類人猿やほかのサルたちと人間は同じ霊長類だが、社会のありようはそれぞれ異なっている。ところがいま、人間社会はサルの社会そっくりに変わりつつあるという。人間の社会とは、人間らしさとは何なのか。霊長類研究の第一人者がゴリラの社会を通して、人類の秘密を探る。
 荒くれ者、と思われがちなゴリラだが、実は人間よりずっと平和主義者だ。メンバーは平等で勝ち負けの概念がない。目をじっと見ることで争いを避け、相手の気持ちを読むことにも長けている。これに対し、サルの社会は力の優劣で上下が決まるピラミッド型で、互いに気持ちを通じ合わせることはない。
 特筆すべきはゴリラが食べ物を分け合い、皆一緒に食べること。社会基盤が家族なのだ。サルは分け合わず一匹で食べる。家族に縛られず、自分の欲求が最優先。現代社会がまさしくサル型であることにギョッとする。
 自然界ではどっちが悪いわけでもないが、「ゴリラっていいやつだなあ」と共感する私たちは本質的にゴリラ型だろう。彼らに学ぶことはたぶんたくさんあるのだ。

週刊朝日 2014年10月10日号


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