書評『村山司が選ぶ「生き物を愉しむ本」ベスト5』 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

《週刊図書館 番外編 (週刊朝日)》

村山司が選ぶ「生き物を愉しむ本」ベスト5 

このエントリーをはてなブックマークに追加
村山司(東海大学海洋学部教授)書評#番外編

深海ザメを追え

田中彰著

978-4800219602
space
amazonspace

amazon.co.jp

space

タコの教科書

リチャード・シュヴァイド著/土屋晶子訳

978-4767818245
space
amazonspace

amazon.co.jp

space

 海に暮らす生き物は実に多彩である。海洋生物と言えば、まずは魚であろうが、あまたある魚の本のうち『魚のおもしろ生態学』からは、魚の夏眠や子育てなど、ふしぎな行動をいろいろ教えてもらった。だが、ここでは少し趣を変えた角度から、海の生き物に目を向けてみたい。
 浜辺でたいていの人がするのが貝拾いだ。しかし、もう少し貝のことを知れば、貝拾いはもっと楽しくなるだろう。『おしゃべりな貝』では、拾った貝の種や特徴、生態、生息する環境といったことが、著者の体験や出会った人々とのやり取りなどを通して語られている。また、よく見るものから珍しいものまで、すべての貝がスケッチになっているのもわかりやすい。何気なく拾った貝にも、秘められたメッセージがあるのだ。
 昨年、NHKで特集されてから人気が高まっているのが深海ザメだ。『深海ザメを追え』にはいろんなサメの種類や生態のほか、獰猛なホホジロザメや最近話題をさらったメガマウスの話、そして古代に生きたサメや深海底にうごめく深海ザメたちの暮らしぶりなどが描かれている。番組の撮影秘話や著者の長年にわたるサメ研究で体験したエピソードもあり、手軽にサメを知る一冊と言える。
 海の動物として忘れてならないのがイルカだ。イルカの種類や生態を紹介した本や図鑑は多いが、拙著『海に還った哺乳類』では、イルカの「賢さ」を中心に紹介している。数がわかり、三段論法で考え、そして、ことばまで覚え始めた……。そんな知性を思いながら、水族館のイルカを見つめてみてはいかが。
 このほか、変わりダネとして『タコの教科書』がある。日本人になじみ深いタコの驚異の知能や生態、人との関わりの歴史などを垣間見ることができる。
 夏は海の生き物の神秘に触れる季節である。

 むらやま・つかさ=1960年、山形県生まれ。著書に『イルカの認知科学』『ナックの声が聞きたくて!』、共著に『ここまでわかったイルカとクジラ』、編著に『海洋生物学入門』など。

週刊朝日 2014年8月15日号


トップにもどる 書評記事一覧

続きを読む


関連記事関連記事
このエントリーをはてなブックマークに追加
あわせて読みたい あわせて読みたい