47都道府県別日本の地方財閥

新書の小径

2014/04/24 15:31

 つい買っちゃうんだな、この著者の「財閥シリーズ」。
 家から駅まで歩いていく道に、いかにも由緒のありそうな豪邸が建っている。こういう家の中はどうなってて、どういう顔の人が暮らしてて、晩ごはんは何食べてんだろう。いや晩じゃなくて朝ごはんとかのほうがうちみたいなビンボー&だらしない家庭との違いが際立つだろうか。などと考えながらぼけーっと豪邸を見ている、というような経験ありませんか。つい、地方財閥の本を読んじゃうというのは、あの豪邸の中を覗いてみたい、という気持ちがどっかにあるからだろう。
 この本は地方財閥の屋敷の間取りとか「財閥当主の一日」なんてことが載っているわけではなく、昭和9年(1934年)発行の『帝国興信所調査 五十万円以上 全国金満家大番附 附全国多額納税者一覧』で各都道府県のベストテンを見ていき、今に残ってる財閥やら、今は消えた家やら、名前は知られてないけど今も隠然とその土地で力を持つ家やら、そういうのを紹介してあるだけだ。でも、読み込んじゃうんですよね。
 それにしても「金満家大番附」ってのはすごいな。悪い人みたいである。この本を読む上での楽しみの一つに、パッとページをめくって適当な県の番付を見るやり方がある。広島の1位、鎌田憲吉とあって、読んでみると株で儲けた「いわば一時的な成金とみられ」とあり、じゃあ現在鎌田さんの一族はどうしてるんだろう、どんな家に住んでるのか、広島だと白島あたりに屋敷があるのか、それとも賃貸か……と、想像は果てしなくふくらんでいくわけです。
 各地方財閥のちょっとした系図も載っている。系図ということは、現在まで続いているわけで、たいがい「ええっ、こんな有名人があんな有名人と姻戚!」という発見があるものだが、地方財閥だとそれほどの有名人が出てこず、でもよく知らない人びとの系図で「娘の名前が桃子かあ」などとぼんやり眺めるのも楽しい。

週刊朝日 2014年5月2日号

47都道府県別 日本の地方財閥

菊地浩之著

amazon
47都道府県別 日本の地方財閥

あわせて読みたい

  • 加藤登紀子が辿る 童謡に懸けた野口雨情の「情熱人生」

    加藤登紀子が辿る 童謡に懸けた野口雨情の「情熱人生」

    dot.

    9/16

    「3大財閥」三菱、三井、住友 ここまで違う

    「3大財閥」三菱、三井、住友 ここまで違う

    週刊朝日

    6/13

  • 士族出身の「三菱」、豪商の「三井」「住友」 財閥解体で見えた“違い”とは

    士族出身の「三菱」、豪商の「三井」「住友」 財閥解体で見えた“違い”とは

    AERA

    3/8

    「梨泰院クラス」を軽く飛び越えていった? 鈴木おさむ絶賛の韓国ドラマ「Mine」
    筆者の顔写真

    鈴木おさむ

    「梨泰院クラス」を軽く飛び越えていった? 鈴木おさむ絶賛の韓国ドラマ「Mine」

    dot.

    7/1

  • 生活保護が救うかもしれない眞子さまと小室さんの困難

    生活保護が救うかもしれない眞子さまと小室さんの困難

    ダイヤモンド・オンライン

    7/5

別の視点で考える

特集をすべて見る

この人と一緒に考える

コラムをすべて見る

カテゴリから探す