三浦春馬さん(撮影/朝日新聞出版写真部・東川哲也)
三浦春馬さん(撮影/朝日新聞出版写真部・東川哲也)

18日、俳優の三浦春馬さん(享年30)が亡くなって1年となる。この1年、三浦さんが出演した数多くの作品が繰り返し鑑賞され、再評価されてきたが、ひとつだけ未公開の作品が存在する。日米合作「映画 太陽の子」(8月6日公開予定)で、三浦さんの新たな演技は本当に見納めとなる。同作の黒崎博監督(52)が三浦さんとの撮影秘話を語ってくれた。

【写真】繊細で家族思いの軍人役を演じた三浦さんのメイキングショットはこちら

*  *  *

 黒崎氏が三浦さんと最後に会ったのは、彼が亡くなる10日前の昨年7月8日だった。

 広島市のNHK広島放送局で、映画に先だって公開されたドラマ版「太陽の子」の完成披露試写会だった。キャストの有村架純(28)、柳楽優弥(31)も出席した。

「春馬君は僕に『とっても大切な作品ができました』と話してくれました。僕も『これからどうやってお客さんに届けて行くか、一緒に頑張っていこう』と答えました。春馬君は元気そうで、いつもと変わらない、エネルギーの塊のような感じでした。お互い、帰りの飛行機の便が違っていたので、『またね』と広島の会場で別れました。それから10日後、亡くなったと聞いて衝撃を受けました。春馬君をまた撮りたいなと強く思っていたんです。それだけに、心に血が流れるような、本当につらい思いでした」

『映画 太陽の子』
<br />8月6日(金)全国公開
<br />配給:イオンエンターテイメント
<br />(C)2021 ELEVEN ARTS STUDIOS / 「太陽の子」フィルムパートナーズ
『映画 太陽の子』
8月6日(金)全国公開
配給:イオンエンターテイメント
(C)2021 ELEVEN ARTS STUDIOS / 「太陽の子」フィルムパートナーズ

 黒崎氏は現役のNHK職員だ。肩書は、NHK制作局<第4制作ユニット>ドラマチーフ・プロデューサー。大ヒットした朝の連続テレビ小説「ひよっこ」や現在放送中の大河ドラマ「青天を衝け」など、数々のヒット作品を手がけてきた。

 そのなかでも、「太陽の子」は黒崎氏が脚本と演出を担当。特に思い入れの強い作品だった。

「映画を最初につくって、それを編集してドラマ版をつくったんです。もともとは映画が完成形なんです」

 映画とドラマはそれぞれ違う視点から描かれるという。

 広島市でのドラマ版の制作発表から1年たった今年7月7日。映画版の完成披露試写会が開かれ、舞台あいさつに俳優の柳楽優弥、有村架純、國村隼(65)、黒崎氏が登壇した。

著者プロフィールを見る
上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

上田耕司の記事一覧はこちら
次のページ
「こんなに短い髪は何年ぶりだろう」