木村伊兵衛が写した漁師町「佃島」の生活風景 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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木村伊兵衛が写した漁師町「佃島」の生活風景

連載24 木村伊兵衛の「傑作が生まれる瞬間」

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田沼武能dot.#アサヒカメラ
東京・佃島(1972<昭和47>年)

東京・佃島(1972<昭和47>年)


■東京・佃島は漁師の町。開けっ広げな生活風景が撮れた

 東京・佃島は木村伊兵衛も土門拳も好んで出かけた撮影地である。銀座から歩いて30分足らずで行けるが、この町には東京湾で漁を営む漁師たちが住んでおり、商人街とはひと味違う風情があったからだ。彼らは開けっ広げな生活をしており、飾らない日常生活が撮れる。

 木村が今回の作品を撮りに出かけたのは昭和47年、亡くなる2年前だった。佃の渡し舟に乗って桟橋に着き、その足で住吉神社を訪ねている。

 境内で幼稚園児の一団に出会ったようで、しばらくその姿を追っている。園児は鳥居の前で体操を始めた。その姿を少し離れた場所から見守るお母さんたちを入れ込み遠慮気味にスナップしている。

 その後神社を出て町並みや古井戸、子どもの遊びを撮って再び戻った。何か変化があるか見回したが、最初のような感動のシーンはなかったのだろう。この日は体調がすぐれなかったのか、巧妙に情景をとらえているが、いつもの迫力は感じられない。

選・文=田沼武能(たぬま・たけよし)
1929年、東京・浅草生まれ。49年サンニュースフォトス入社と同時に、木村伊兵衛氏に師事。アメリカのタイム・ライフ社との契約を経て72年に独立。日本写真家協会の会長を20年間務め、現在、日本写真著作権協会会長。

※アサヒカメラ2019年5月号より抜粋


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