●レンズ:10群14枚。最短撮影距離:約40センチ×2 ●撮像素子:有効約2000万画素(×2)。1.0型。出力画素数約2300万画素 ●マイク:4ch ●シャッター速度:電子シャッター:1/2万5000~60秒 ●記録画素数(ピクセル):6720×3360 ●動画撮影機能:3840×1920/29.97fps、1920×960/29.97fps ●通信機能:無線LAN(IEEE802.11 a/b/g/n/ac)、Bluetooth v4.2 ●内蔵メモリー:約19GB ●大きさ・重さ:48×132.5×29.7ミリ・約182グラム ●価格:オープン(税込実売12万6900円)
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●レンズ:10群14枚。最短撮影距離:約40センチ×2 ●撮像素子:有効約2000万画素(×2)。1.0型。出力画素数約2300万画素 ●マイク:4ch ●シャッター速度:電子シャッター:1/2万5000~60秒 ●記録画素数(ピクセル):6720×3360 ●動画撮影機能:3840×1920/29.97fps、1920×960/29.97fps ●通信機能:無線LAN(IEEE802.11 a/b/g/n/ac)、Bluetooth v4.2 ●内蔵メモリー:約19GB ●大きさ・重さ:48×132.5×29.7ミリ・約182グラム ●価格:オープン(税込実売12万6900円)

 全天球カメラの代名詞となったリコーのTHETA。スリムなポケットサイズで前後に円周魚眼レンズがついたカメラを持ち、ワンショットで360度全てを瞬時に撮れる手軽さは画期的だったが、いかんせんセンサーが1/2.3型ということもあり、画質に限界があった。でも、本体の写り込みを極限まで減らすべく薄く細くなったボディーに大型センサーを入れるのは無理だろう……と思っていたが、THETA Z1はそれを実現したのである。センサーサイズが1/2.3型から1型と、約4倍の面積になったのだ。普及型から高級コンパクトデジタルカメラへステップアップと考えると、画質がぐんと上がったのも理解できよう。

【このカメラで撮影した写真はコチラ】

コントラスト差が大きなシーンを選んで撮影し、THETA360.comへアップしパソコン上でフルサイズ表示にしてぐるぐる回しながら鑑賞中。任意の画角やアングルで画像を回しながら見てもらえる。上下前後左右すべてを楽しんでもらうにはよい。ダイナミックレンジも広がっていてディテールもちゃんと描写されている。このクオリティーは素晴らしい
コントラスト差が大きなシーンを選んで撮影し、THETA360.comへアップしパソコン上でフルサイズ表示にしてぐるぐる回しながら鑑賞中。任意の画角やアングルで画像を回しながら見てもらえる。上下前後左右すべてを楽しんでもらうにはよい。ダイナミックレンジも広がっていてディテールもちゃんと描写されている。このクオリティーは素晴らしい

 それでいて、基本デザインはそのまま。さすがに一回り大きくなったが、センサーサイズを考えると画期的。薄くおさめるために、センサーをレンズの真下に設置、プリズムを使って3回屈曲させるという構造だ。そのおかげでダイナミックレンジが広くなり、解像感も上がり、高感度時のノイズも減って室内や暗所での撮影にも強くなった。出力される画像は6720×3360ピクセルなので、全天球画像から一部分を切り出して超広角写真として扱っても使えるレベルだ。本体に表示パネルがついたのも朗報。バッテリー残量や撮影モード、残り枚数が表示される。またFnキーが新設され、標準ではセルフタイマーにセットされているので、単体での撮影も便利になった。

スマートフォンからリモート撮影。少しプラスの補正をかけるのがおすすめ。モニタリング時もあらゆる角度から確認できる
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スマートフォンからリモート撮影。少しプラスの補正をかけるのがおすすめ。モニタリング時もあらゆる角度から確認できる

 画像表示用のモニターはないので、スマートフォンは不可欠。専用アプリを使うことでモニタリングしながら撮影したり、マニュアル露出撮影をしたりできる。ノイズ低減モードやHDR撮影もあり、撮影をコントロールしたいときによい。撮影した画像はスマートフォンに転送し、同社の THETA360.comのほか、全天球画像に対応したSNS(LINEやFacebookなど)にアップロードすれば、360度画像としてぐるぐる回しながら楽しめるほか、スマートフォン用のTHETA+アプリを使えば一部分を任意の形式で写真として切り出せる。

全天球画像からTHETA +を使って切り出した写真。短辺が1770ピクセルの写真になる。彼女にTHETAを持ってもらいリモート撮影した
全天球画像からTHETA +を使って切り出した写真。短辺が1770ピクセルの写真になる。彼女にTHETAを持ってもらいリモート撮影した

 画質がワンランク上がったうえに、RAW撮影にも対応したため、趣味の360度カメラから実用の360度カメラに進化したといっていい。残念なのは、ストレージが内蔵約19GBだけなことと、動画性能に大きな進化が見られなかったことくらいだろう。

写真・文=荻窪 圭

アサヒカメラ2019年6月号より抜粋