上坊牧野の一本桜と為内の一本桜(岩手県八幡平市)
「上坊牧野の一本桜」は広大な牧草地に立つ。牧草地は立ち入り禁止で、道路から南を向き、残雪の岩手山を背景にするのが定番。これを外すには朝日や夕日で赤く染まった瞬間や靄がたなびいた光景をとらえるなど、運を天に任せるしかないだろう。もしくは、立ち位置を左右に振ることで、岩手山を背景から外し、望遠で切り取るオリジナルな作品づくりに挑戦しよう。ほど近い野駄地区の小高い丘に立つのが「為内の一本桜」で、こちらも残雪の岩手山を背景にとらえるのが定番であるが、岩手山を背景から外し、東側からのアングルで朝日に染まる瞬間や夕焼けをバックにねらいたい。
為内の一本桜を朝、北から南へのアングルで撮影
為内の一本桜を朝、北から南へのアングルで撮影

開花時期:5月上旬
アクセス:起点となる上坊牧野の一本桜へは大更駅下車、タクシーで約15分。車の場合、東北自動車道西根ICから約15分
問い合わせ:八幡平市観光協会 0195-78-3500

角館の武家屋敷通りと桧木内川堤(秋田県仙北市)
 角館は桜に包まれた町である。武家屋敷通りの門や黒板塀に降り注ぐようなピンクのシダレザクラの枝をとらえたい。早朝から見物人がいるため、人影が途切れた一瞬が勝負となる。朝日が差した光景も美しいが、光が均等に当たる曇り空でもよいだろう。武家屋敷の桜から2、3日遅れて桧木内川堤の桜が満開となる。約500本のソメイヨシノが約2キロにわたって咲き誇り、桜のトンネルと化す。人影のない桜のトンネルを撮影したいのならば、夜明け前から早朝が勝負となる。夜は裸電球が桜の道をほのかに浮かび上がらせる。川の対岸や古城山公園(角館城跡)から光の帯と化した光景をとらえよう。

桧木内川堤の桜並木
桧木内川堤の桜並木

開花時期:4月下旬
アクセス:JR角館駅から徒歩15分。車の場合は秋田自動車道大曲ICから国道105号で25キロ
問い合わせ:田沢湖・角館観光協会 0187-54-2700

田屋の一本桜(山形県金山町)
 山形県金山町の北東にある、ため池堤に凛として咲くピンク色の一本のシダレザクラ。風のないときには、周辺の山々とともにその可憐な姿が水鏡を成し、「逆さ桜」として見る者をとりこにする。池の東側から西側に向いての順光撮影となり、夜明け前のブルーに包まれた静寂な時の色、背後から朝日が昇り桜を照らした瞬間をねらいたい。ただし、太陽が顔を出し始めると上昇気流で水面を揺らす風が発生するため、辛抱強くシャッターチャンスを待ちたい。水鏡をテーマとしない場合には、西側から東側に向けて農道や駐車スペースから朝焼けの空を背景に写したり、桜が夕日に染まった光景を作画するのもよいだろう。

朝、東から西へのアングルで撮影
朝、東から西へのアングルで撮影

開花時期:5月上旬
アクセス:山形自動車道経由東北中央自動車道東根ICを降り、国道13号を秋田県方面に北上し約60キロ。金山町内から北東に位置する田屋地区へ進み、案内板の指示で農道を約3分走る
問い合わせ:金山町役場観光協会 0233-52-2111

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猪苗代の桜