矢萩:やっぱり見るべきは、本人が楽しんでいるかどうかだと思うんですよ。楽しいのであればどんな難しいことをやらせてもいい。逆に楽しんでいなくて、厳しいんだったら今じゃないと思うんです。中学受験の難しいところは、成長期とはいえ、ひとりひとり発達段階はみんな違うのに、4年生になったらスタートしましょう、といった横並びのタイミングや同じスピード感に合わせなければいけないところにあります。やっぱり中学受験が合っている子もいれば高校受験で力を発揮する子、大学受験で花開く子、それぞれいます。ちょっとずつ成長していく過程で受験というイベントがあるだけの話なので、中学受験にとらわれすぎずに常にいろいろな選択肢を持っておいたほうがいいと思います。今は大学も総合型選抜などが一般的になっているので、大学からでもいろいろな選択肢を選びやすい時代になっています。

■どんな教科でも知識は「実体験」があったうえで身につく

安浪:今、親世代で小さい頃にガリガリ勉強させられた人の話を聞くと「あの時は嫌で嫌で仕方なかった」と言う人が多いのですが、その後の意見は二つに分かれますね。「でも、そのおかげであの学校に行けて、あの大学に行って、今があると思うから感謝している」と言う方と、「二度とあんな思いはしたくない、子どもにはさせたくない」と言う方。ハイブリッドとして「あれだけ勉強したから、その後の大学入試や国家試験はつらく思わなかったから、そのことには感謝している。だた、わが子も自分の母校にも入れたいけれど、自分の時ほど勉強一色にさせたくない」とか。捉え方は人それぞれですね。

矢萩:僕はそれでいうとすすめない派ですね。もっと遊んだらいいって思う。どんな教科でも知識というのは自然体験などの実体験があったうえで、座学が入ってくることで初めて身につくことが多いのは明らかなんです。中学以降になると座学が先んじる意味が出てくるものもありますが、それは基礎がある場合の話です。全ての基盤となるような体験は幼少期にしておいたほうがいい。合理的、効率的にって考えるなら、なおさら先に座学じゃないんですよ。

NEXT周りがやっているから、という程度だったらやらないほう
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