新潟市の降雪量が周辺の地域より少ないのは、佐渡島が海からの季節風をブロックしているからではないか──。これまで、まことしやかにささやかれながら実証されていなかった「佐渡ブロック」説が、このほど、過去の気象データやコンピューターシミュレーションによって確かめられました。小中学生向けのニュース月刊誌『ジュニアエラ2024年1月号』(朝日新聞出版)からお届けします。
【図】もし佐渡島がなかったら…?シミュレーション結果はこちら気象関係者の間では知られていた「佐渡ブロック」を初めて検証
冬になると、日本列島の北西にあるシベリア方面から冷たい季節風が吹いてくる。この季節風は、周囲の空気に比べ温かい日本海の上を通過するときに、熱や水蒸気をたっぷり含んで雪雲を発達させ、日本海側にたくさんの雪を降らせる。山間や農村だけでなく、都市にも大量の雪が積もる。ところが、新潟市だけは、他の都市に比べてなぜか積雪量が少ない。
その理由は、風上にある佐渡島が季節風をブロックしているからではないか──。そんな、気象関係者や住民の間では知られているが検証されたことのなかった「佐渡ブロック」説を、筑波大学計算科学研究センターの日下博幸教授らの研究チームが、過去の気象データやコンピューターシミュレーション(※)を通して詳しく調べ、興味深い結果を発表した。
※コンピューターシミュレーション:コンピューター上で模擬的に実験をすること。実際の天気予報でも、今回のシミュレーションと同じ原理のものが使われている。コンピューターのサッカーゲームなども、選手のデータをもとにシミュレーションをしている。
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