モササウルス類を知っていますか? 恐竜が陸上を支配していた約9800万年前に出現し、海で栄えた大型爬虫類で、恐竜時代の”海の王者”としても知られています。体長が10mを超えるものもいて、魚やウミガメ、小型の首長竜などを捕食していました。モササウルス類の化石は、日本も含めた世界中から70種以上が見つかっています。こうした化石のうち、2006年に和歌山県で発見されたものが、これまでに見られない特徴をもつ新種であることがわかり、日本だけでなく世界の古生物研究者やファンの間で注目されています。どんな化石から、どんな動物の姿が現れてきたのでしょうか?小中学生向けのニュース月刊誌『ジュニアエラ2024年3月号』(朝日新聞出版)からお届けします。
【写真】カブトムシVSスズメバチの戦い どっちが強い?18年前、大学院生が通い慣れた山でモササウルス類の化石を発見
最初の化石発見は18年前にさかのぼる。2006年2月、当時京都大学大学院で古生物学を学んでいた御前明洋さん(現在は北九州市立自然史・歴史博物館学芸員)が、和歌山県有田川町の鳥屋城山という山で、沢ぞいの岩の表面に、骨が削れて中が見える状態の化石を見つけた。
御前さんはこの近くで生まれ育ち、中高時代は毎週のように鳥屋城山や周辺の山地で化石採集をしてきた。加えて研究者として動物化石の知識も豊富だったので、その場で、白亜紀の大型動物の骨だとすぐにわかった。周囲には、ほかの骨も数個見えていたので、まとまった骨がこの近くに埋まっていると考えられ、大発見かも!と興奮したそうだ。
「でも、簡単には掘り出せないので、掘りやすそうな骨だけを採取して持ち帰り、大学の骨化石専門の先生に見てもらうことにしました」
これをきっかけに、京都大学と連絡を受けた和歌山県立自然博物館による共同調査が行われ、御前さんの予想どおり、この付近には大量の化石があることがわかった。3年後の09年、見つかった骨の化石はモササウルス類のものとわかった。
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