カメラは今の歌舞伎町も記録した。外国人観光客で溢れネオンできらめく歌舞伎町で、若い女性を「買う」ために集団でたむろする男たちの姿を捉えていた。アダルトグッズ店で、2次元で描かれた幼女の性器を模した「オモチャ」が無数に並べられているのを目撃した。

 日本は美しく、日本人は優しく、日本は安全で、どの町にも24時間営業のコンビニがあり、電車が時刻通りにくる便利な国……という良いイメージがあるが、フェミニストの視点でのぞいてみると、まったく違う顔が見えてくる。なかでもドイツ人ジャーナリストを混乱させたのは、「日本のかわいさ」と「暴力性」だった。

「男性が支配的な国で、なぜこんなに子供っぽいものが多いのか?」

 街中のポスターや、アダルトショップで販売されている幼稚なパッケージを前に何度もそう聞かれ、「幼稚」と「暴力」はこの国では1本の線でつながっているのだと気が付かされる。ここは成熟を求められない国。成人女性が高く幼い声で幼い仕草で幼い言葉で「自分を小さく見せる」ことに全力をかける社会。成人男性の性欲はありとあらゆる方法でエンタメ化され、「ほしいものは手に入れられる」と幼稚で尊大な自己肯定感を膨らませ続けられる社会。

 外国から見た「日本の性」といえば、最近、Netflixで公開されたトーク番組が話題になっている。韓国のテレビで下ネタを解禁したといわれる有名な司会者が中心になり、日本の性産業に従事する人々らと対話するもので、AV女優、AV男優、AV監督、ホスト、男性向けオナニーグッズ制作会社の社員らが出演している。AV産業の#MeTooについては一切触れられず、AVの撮影現場は安全で、プロフェッショナルな職業人の集まりの場であり、女優にとっては仕事であり、またセックスの冒険の場であることが強調されるつくりだった。たとえばAV出演被害者の多くは顔に精子をかけられる暴力性や苦痛を訴えてきたが、この番組では 精子を目に入れないように顔にかけられる男優の技ってすごい! それって女優への気遣いだよね! という方向になっていた。AV出演被害者は性感染症や妊娠の恐怖を訴えてきたが、この番組では「男優に中出しされちゃった(笑)」と冗談のように語られていた。

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「男性の夢」としてのホストクラブ