(左から)大島洋平、平野佳寿、田中将大
(左から)大島洋平、平野佳寿、田中将大

 昨年、上原浩治氏と藤川球児氏が名球会の「特例入会」を認められた。投手にとって、入会規定の「日米通算200勝以上、または250セーブ以上」は不可能かもしれないという声も聞こえる。ここでは今季、名球会入りが予想される選手を紹介していく。(通算成績は昨年まで)

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 第5回WBCで侍ジャパンを牽引したダルビッシュ有(パドレス/日米通算188勝)。37歳を迎えるシーズンで異例の6年約140億円の新契約を結んだ。2016年に黒田博樹氏(日米通算203勝)が名球会入りを果たしているが、「先発投手の名球会入り」となれば、ダルビッシュはそれ以来となる。

 西口文也氏(西武・現2軍監督)が15年を最後に通算182勝で引退、三浦大輔氏(DeNA・現監督)が16年を最後に通算172勝で引退。「通算200勝は現代野球において、かくも難しいものなのか」「黒田博樹が最後の先発200勝投手なのか」とも思わせた。

 だが、ダルビッシュは20年にコロナ禍ながら、12試合に先発して8勝を挙げ、日本人初の「MLB最多勝」のタイトルを手中に収めた。本来MLBでローテーション主力投手は30試合以上先発するので、単純計算なら20勝の価値がある。また、ダルビッシュは13年に野茂英雄氏(1995、2001年)以来の「MLB最多奪三振」のタイトルを獲得している。

 日米通算190勝の田中将大楽天)。メジャー経験先発投手では、野茂氏が日米通算201勝で名球会入りを果たしている。楽天は05年創設なので、19年目にして初の名球会入り選手誕生の可能性がある。近鉄がオリックスに吸収合併されて消滅したため、楽天出身なら近鉄の系譜を継ぐといえなくもない。

 田中は鳴り物入りでプロの世界に入り、1年目から11勝を挙げ、「マー君、神の子、不思議な子」と野村克也監督(当時)を喜ばせた。150キロのストレートも素晴らしかったが、それ以上にスライダーとコントロールが武器だった。13年には無傷の24勝0敗1セーブで楽天初優勝の原動力となる。楽天はシーズン82勝59敗3分けで貯金23だったので、田中がすべての貯金を稼いだ計算だ。

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