DeNAの松尾汐恩
DeNAの松尾汐恩

 まもなく開幕から1カ月となるプロ野球。ルーキーたちの現状はどうなっているのだろうか。開幕前から注目度が高かった選手を中心に探ってみたいと思う。

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 まず投手でここまで最も活躍している選手と言えば金村尚真(日本ハム2位)になるだろう。3試合に先発して勝ち負けこそ1勝1敗ながら防御率2.45、奪三振率9.82、WHIP(イニングあたりの被安打+与四球)0.98といずれも見事な数字を残している。大学時代は早くからチームの大黒柱となったこともあって、少し力をセーブしているような投球も多かったが、プロ入り後はしっかり登板間隔を空けて調整できるようになったことで、ストレートが見違えるように力強くなった印象だ。元々の持ち味である制球力も一軍で十分通用するレベルにあるように見える。4月18日の登板後に右肩の違和感を訴えて登録抹消となったのは気がかりだが、コンディションさえ万全なら新人王争いに加わってくる可能性は高いだろう。

 一方のセ・リーグで開幕からローテーションを守っているのが即戦力の呼び声が高かった吉村貢司郎(ヤクルト1位)だ。しかしこちらは金村とは対照的に勝ち星なし、防御率5.66と苦しいスタートとなっている。社会人で好調だった時に比べると少しストレートの勢いが物足りないように見え、そのことで変化球の威力も落ちているというのが現状だ。ただコントロールは安定しており、失点はしながらも4回の登板全てで5回を投げ切っているという点だ。特に最初の2回の登板は味方の援護に恵まれなかっただけで、勝ち星がついてもおかしくない内容だった。それだけにここから巻き返す可能性も十分にあるだろう。

 野手は森下翔太(阪神1位)や蛭間拓哉(西武1位)などがプロの壁に苦しんでいる一方で、早くも一軍の戦力になっている選手も確かに存在している。最大のサプライズはやはり茶野篤政(オリックス育成4位)だろう。育成ドラフトでのプロ入りながら3月24日に支配下登録されると、開幕スタメンに抜擢されてヒットを量産。4月6日からは10試合連続で1番も任されている。打率は徐々に低下しているが、守備と走塁でも大きな戦力となっていることは間違いない。今後も外野の戦力として期待できるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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