吉田真次氏の事務所開きであいさつをする安倍昭恵氏
吉田真次氏の事務所開きであいさつをする安倍昭恵氏

 衆院補欠選挙が4月11日に告示される。その結果は岸田文雄首相にとっては“中間評価”でもあり、今後の政権運営を占う指標にもなる。岸田首相自ら現地入りした山口。二つの選挙区の現状を追った。

 4月9日、大阪ダブル選と奈良県知事選の結果を見て、自民党の幹部は渋い表情でこう話した。

「大阪のダブル選は想定内だったが、奈良県知事まで維新に取られた。このあと統一地方選の後半戦、国政の衆参補欠選挙もある。結果次第では、岸田(文雄)首相が考える解散時期が前倒しになるんじゃないか」

 岸田首相がとりわけ気をもむのは、衆参の補欠選挙だろう。

 すでに参院大分選挙区が4月6日に告示された。11日からは衆院の山口2区、4区、和歌山1区、千葉5区の4選挙区でも選挙戦がスタートする。

 なかでも山口の二つの選挙区は、安倍晋三元首相と岸信夫元防衛相の兄弟が地盤だった選挙区。「安倍家」「岸家」というブランド力が健在なのか、陰りを見せるのか注目されている。

 山口4区は、昨年7月に凶弾に倒れた安倍元首相の「後継」として、下関市議だった吉田真次氏(38)が自民党から出馬を予定している。立憲民主党は、前参院議員で旧統一教会を長年追及してきたジャーナリストの有田芳生氏(71)を擁立した。

 選挙告示が迫ったある日、下関市内に安倍元首相の支援者が少人数で集まっていた。そこにやってきたのが吉田氏と安倍元首相の妻・昭恵さんだった。

「吉田氏は慣れていないせいか、落ち着かない様子で頭を下げていました。昭恵さんはその保護者のようで、さすが安倍先生の妻という感じでした。昭恵さんは『吉田さんを絶対勝たせてください。主人がとった票数の上をいきたい』と熱がこもっていて、安倍先生の代理選挙のように感じました」

 と集会に参加していた支援者が話した。

 地元では、吉田氏は「安倍家の名代」という印象がある、といった声をよく聞く。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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