荒井氏の陣営からも、

「高市氏は地元では絶大な人気を誇っているが、総務省の内部文書問題でもめている今は地元に戻っても票が減る可能性があるのでは」

 との声が出ている。

 自民党の政調担当を長く務めた政治評論家の田村重信氏は、

「高市氏が政権内にいるというのは、安倍晋三元首相を支持していた保守層の受けはいい。高市氏を辞めさせるようなことがあると、自民党にとっては統一地方選で大きなマイナスになる。岸田首相は、当面は高市氏の問題をうまくかわして、選挙に専念ということになるだろう」

 との見方だ。そして、高市氏と奈良県知事選については、

「政治は結果責任。高市氏が連れてきた平木氏が厳しい情勢で、高市氏が応援に入って負けたとなったら高市氏の責任ということになる。それで応援を控えているという側面もあるのでは。ただ、奈良の場合は、負けると知事が維新になる公算が大きい。高市氏は、総理総裁を狙うのであればなんとか地元を動かして勝たないと。勝てば今の逆風から一変するはずだし、敗れれば厳しい状況に追い込まれるでしょう。高市氏は無派閥なので」

 と話している。

 ◇  ◇

 奈良県知事選には3人のほか、元奈良県大和郡山市議の尾口五三氏(72)=共産党推薦、元中学校講師の西口伸子氏(68)、製造会社員の羽多野貴至氏(43)のいずれも無所属新顔の3人が立候補している。

*年齢は投票日現在

(AERA dot.編集部 今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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