自国開催の世界選手権で素晴らしい演技を披露した“かなだい”ペア
自国開催の世界選手権で素晴らしい演技を披露した“かなだい”ペア

「finally」「やっとできた!」「ありがとう」

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 世界選手権のアイスダンス・フリーダンス、さいたまスーパーアリーナの最上階まで埋め尽くした観客が拍手を送る中で、高橋大輔と村元哉中はそんな声をかけ合っている。高橋がシングル時代に怪我により出場を辞退した2014年世界選手権の会場で滑り切った、『オペラ座の怪人』だった。

「自国開催の世界選手権でそんな演技が出せるまでになったんだなという喜び、成長というか。哉中ちゃんが(アイスダンスに)誘ってくれなかったら、そんなことはなかったので」(高橋)

「シングル時代の大ちゃんの『オペラ座の怪人』が印象に強く残っていて、それをまさか日本開催の世界選手権で一緒に滑れるとは想像もしていなかったので。ただただ感動と、滑っている一つひとつの瞬間を楽しみました」(村元)

 大会開幕前日の21日に行われた公式練習後、高橋はさいたまでの世界選手権に出場することについて問われ、次のように答えている。

「『ここに戻ってくるためにその頃は縁がなかったんだな、そういう意味だったんだな』と思うような世界選手権にしたい」

 24日に行われたリズムダンス、村元と高橋はスピード感あふれる滑りで観客を熱狂させたが、ツイズルで高橋が回り過ぎるアクシデントがあった。一瞬動きのずれがあったものの、冷静に対処してレベル4を獲得、目標のトップ10入りまであと一つの11位発進となった。ミックスゾーンで、高橋は「シーズン1年目だったら、多分相当焦って最後までひきずっていたかもしれない」と振り返っている。

「3シーズン目になってから、結構いろんなミスがあるのですが、その中でも動揺しなくなりました」

 高橋は「久しぶりに日本で開催される世界選手権に今回カテゴリーを変えて出場することができて、本当に貴重な体験を出来ているなと思います」とも語っている。

「日本で開催される世界選手権は当分この後ないでしょうから、人生としては最後になるのかなと思うので。初めて世界選手権で『オペラ座の怪人』を滑って(シングルの)メダルをとってから、明日『オペラ座の怪人』をまたカテゴリー違いで(滑る)。その時の僕自身は今の自分を想像できていなかったと思うのですが、こういった形でさいたまの、日本の世界選手権で自分が滑れているということに感謝しながら過ごしたい」

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「もう素直に嬉しい」